「ZOOM LiveTrak L-8」製品レビュー:6つのサウンド・パッドを備える8chデジタル・ミキサー/レコーダー

ZOOM LiveTrak L-8

REVIEW by 森田良紀(studio foresta) 2020年1月31日

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 ZOOMから8ch仕様のデジタル・ミキサー/マルチトラック・レコーダー、LiveTrak L-8(以下、L-8)がリリースされました。普段からライブ配信を行っている筆者としては、発表時からとても気になっていた製品です。

ミックス・マイナス機能を使用した
スマートフォン音声の入力が可能

 まずフロント・パネルの上部左側には、マイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)を6つ搭載し、そのうちch1とch2はギターなどのハイインピーダンス出力を受けられるHi-Zボタンを装備しています。ch3〜6には−26dBのPADが付いており、最大+24dBu@0dBFSまでの業務用レベルも問題無く受けられる仕様です。またch1〜6は48Vファンタム電源の供給が可能。ただしch1〜6のすべてに同時に適用されるため、ライン機器やダイナミック・マイクなどを混在させるのは避けた方が無難でしょう。
 フロント・パネルの上部中央には、2系統のライン入力(フォーン)を備えています。これらch7と8は最大+3dBu@0dBFSまでの信号が受けられるので、キーボードなどの入力に使用するのが良いでしょう。またINPUT SELキーを押すことで、スマートフォン/USB接続したコンピューター/INPUT SELキーの下部にある6つのサウンド・パッドのステレオ入力へと切り替えることができます。ここが、既に発売されているほかのLiveTrackシリーズ製品との大きな違いです。
 スマートフォンを接続するには、付属の4極ミニ・ジャック・ケーブルをch7とch8の間にあるスマートフォン用インプット(TRRSフォーン)に挿し込めばOK。このケーブルは、スマートフォンからの音声をch8にステレオ入力しつつ、L-8のマスター出力をモノラルでスマートフォン側に戻すことができます。この際、L-8側から戻ってくる音声にはスマートフォンからの入力は除かれるため、音声がフィードバック・ループしてしまうことはありません。このミックス・マイナス機能は、例えば配信の現場に居ないゲストにスマートフォン経由で参加してもらうときに有効でしょう。
 コンピューターとのUSB接続についてですが、12イン/4アウトのUSBオーディオI/O機能を装備しているため、直接配信ソフトに音声入力することができますし、DAWで録音することも可能です。USB端子はL-8の底面に装備されており、L-8のch7がコンピューターのch1とch2、同様にch8がコンピューターのch3とch4を受けることができます。コンピューターからのBGMやカラオケの伴奏などを流すのに良さそうですね。ちなみに、この際ch7とch8はそれぞれステレオ・フェーダーとして機能します。

 

3バンドEQや空間系エフェクトを内蔵
4系統のヘッドフォン出力を搭載

 ch7とch8にある6つのサウンド・パッドにはサンプラー機能が備わっており、それぞれオーディオ・サンプル(WAV)をステレオ再生することができます。サウンド・パッドには、L-8内部に格納された13個のプリセットや、SDカード内の音源をアサインすることが可能です。またその場で録音した音源も使用できるので、ジングルや効果音の再生以外にも幅広い使い方ができるでしょう。
 さらにL-8では、ch1〜8の各入力に対して3バンドEQ(100Hz/2.5kHz/10kHz)、ローカット(75Hz、−12dB/oct)、8種類の空間系エフェクト、パンを使用できます。エフェクトには専用のリターン・フェーダーがあるため、番組のコーナー・タイトルを言うときだけリバーブをかけるといったことが容易にできるので便利です。
 ステレオ・マスターを含む最大12trの同時録音機能も搭載。最高24ビット/96kHzに対応し、SDカードに直接記録ができます。ゲイン通過後の音が録音されるため、本番中にフェーダーが下がっていても大丈夫。後からでもバランス調整ができるので、これは役に立つ仕様です。
 フロント・パネルの上部右側には、メイン・アウトL/R(XLR)に加えて4つのヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)を装備。そのうちMIX A/B/Cと記載された3つのヘッドフォン・アウトは独立してバランスを変更可能です。2〜3人で同時歌唱する場合、自分の声だけ大きく聴きたいときなどで活用できるでしょう。
 実際にマイクをつないでみたところ、昨今のZOOMらしい癖の無い音質です。3バンドEQの周波数ポイントは固定されていますが、ちょうど良い帯域に設定されているため、抜けの良い音を簡単に作ることができます。優秀なヘッド・アンプのおかげでレベルを調整するのには苦労しないでしょう。
 最近は、配信中にゲストが電話で参加するという案件も多いため、スマートフォン専用の入力があるのは本当に助かります。これだけで筆者は“購入する!”と思いました。ほかにはUSBバス・パワーや、単三電池×4本で約2時間半の連続駆動が可能というのもポイントです。もちろんモバイル・バッテリーでも使用でき、5,000mAhでは約7〜8時間の連続駆動が確認できました。コンパクト・サイズなので可搬性に優れており、どこでもミキシングが行えるというのも特徴でしょう。

 何よりこれだけの機能を備えていながら、安価なオーディオI/O1台分の価格でL-8が手に入るのですから驚きです。これから配信を始めてみたい人はもちろん、より配信の音質を良くしたい人にはお薦め。電源が確保できない路上ライブなどにも使えそうですね。

 

▲リア・パネル。左から電源スイッチ、SD/SDHC/SDXCカード対応のスロットを備えている

▲リア・パネル。左から電源スイッチ、SD/SDHC/SDXCカード対応のスロットを備えている

 
サウンド&レコーディング・マガジン 2020年2月号より)

ZOOM

LiveTrak L-8

オープン・プライス(市場予想価格:36,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪入力端子:マイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)×6、ライン入力L/R(フォーン)×1、スマートフォン用ステレオ入力(TRRSフォーン)×1、コンピューター用ステレオ入力(Micro USB)×1 ▪出力端子:メイン・アウトL/R(XLR)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)×4 ▪録音ファイル形式:16/24ビット/44.1/48/96kHz WAV ▪USBオーディオI/O機能:12イン/4アウト(24ビット/48kHz) ▪周波数特性:20Hz〜20kHz(−1dB) ▪外形寸法:268(W)×74(H)×282(D)mm ▪重量:1.56kg ▪付属品:TRRSケーブル、USBケーブル

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