「MACKIE. SRM-Flex」製品レビュー:1,300Wのパワー・アンプ出力を誇るコラム型ポータブルPAシステム

MACKIE. SRM-Flex

REVIEW by 磯田和宏(D-Merge) 2020年1月13日

Flex_main

 パワード・スピーカーのSRMシリーズに、コラム型PAシステムのSRM-Flexが新たにラインナップされた。MACKIE.はプロ・ユースからコンシューマー向けまで幅広く対応するスピーカーをリリースしてきたが、今回はその中でも少し風変りな製品だ。早速レビューしよう。

アレイは3段階の高さ調節が可能
クリアな高域とパンチのある低域を実現

 SRM-Flexは、6chデジタル・ミキサーが搭載されたベース・モジュールを最下段に配置。その上に、3段階の高さ調節が可能なタワー式のアレイを設置する構造となっている(最高約2m)。プロのエンジニアが仰々しくセットするような感じではなく、演奏者が自ら設置できるという良い意味で簡素化されたミキサー付きのパワード・スピーカーという印象を受けた。
 そして箱から開ける時点で感じたのが、13.4kgととにかく軽いという点だ。別途ミキサーやスピーカー・スタンドが要らない上に、このクラスのスピーカーでは圧倒的にコンパクト。さらに専用のカバーやキャリング・バッグが付属しているのもうれしい。他メーカーの製品の場合、こういった専用のカバー類はおまけ程度の作りのこともあるが、SRM-Flexはかなりしっかりとした構造になっており、持ち運び時の堅牢度もかなり高い。さすがMACKIE.だと思わせてくれる。
 SRM-Flexの見た目はスリムなコラム型のため、一見すると音質面が心配になってしまうが、内蔵のパワー・アンプ出力が1,300Wというだけあり、想像を超えるパワフルな音を再生してくれる。高域の明りょう度が高く、低域もかなり重量感とパンチのあるサウンドだ。そのため、繊細なアコースティックから迫力のあるDJサウンドまで幅広く対応できる。
 水平方向のカバレージも広く、スピーカーとオーディエンスの距離が近くなってしまうような狭い会場でも、端に座る人にまでしっかりと音を届けてくれるだろう。さらに、このアレイ構造の恩恵か、ハウリングもしづらい印象。SRM-Flexを演奏者の後ろにセッティングしたとしても音量に不足を感じないため、モニター・スピーカーが置けない会場でも位置を工夫すればSRM-Flexだけで済んでしまいそうだ。

 

10個のユーザー・セットを保存
専用アプリからの操作にも対応

 ミキサー部も直感的に操作しやすい構造になっている(写真①)。6chの入力のうち、ch1とch2はXLR/TRSフォーン・コンボ入力端子になっており、マイク以外にもギターやベースなどハイインピーダンスの楽器も直接入力できる。2バンドのEQが付いているため音質補正も可能だ。DI要らずで入力できる点も、運搬の物量が減らせるのでメリットは大きい。

 

▲ベース・モジュール上部にあるミキサー。左側のch1とch2の入力はマイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)となっており、上からEQのハイとロー、リバーブ・センド、ボリュームの各ノブ、Hi-Z入力の切り替えスイッチが並ぶ。ch3/4にはボリューム・ノブとライン・インL/R(TRSフォーン)、ch5/6にはボリューム・ノブとBluetooth接続ボタン、ライン・インL/R(ステレオ・ミニ)を備える。ch5/6の下には、ミックス・アウトも搭載。右上部のセクションは、マスター・ボリューム・ノブ、EQモード切り替えボタン、リバーブ・モード切り替えボタンという構成だ

▲ベース・モジュール上部にあるミキサー。左側のch1とch2の入力はマイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)となっており、上からEQのハイとロー、リバーブ・センド、ボリュームの各ノブ、Hi-Z入力の切り替えスイッチが並ぶ。ch3/4にはボリューム・ノブとライン・インL/R(TRSフォーン)、ch5/6にはボリューム・ノブとBluetooth接続ボタン、ライン・インL/R(ステレオ・ミニ)を備える。ch5/6の下には、ミックス・アウトも搭載。右上部のセクションは、マスター・ボリューム・ノブ、EQモード切り替えボタン、リバーブ・モード切り替えボタンという構成だ

 リバーブも搭載しており、アルゴリズムは全3種類。ch1とch2のみだがセンド・レベルを調節できるので、ボーカルやアコギをつなげばより優れた演出が可能になる。ch3/4はステレオ固定だがTRSフォーンのライン・インL/Rがあるので、キーボードやDJ機器の接続にも対応。インプット数が増えてしまった場合も別途ミキサーを用意し、ch3/4に入力すれば増設することもできる。
 ch5/6の入力は、ステレオ・ミニ端子とBluetoothレシーバーを搭載。Bluetooth経由の音源再生に対応しているため、スマートフォンからBGMやカラオケ、バッキング・トラックを再生する用途などで使える。またXLR端子のミックス・アウトも備えているので、SRM-Flexを2台使用したり、モニター・スピーカーを追加することも可能だ。
 そして、各チャンネルにはエンコーダー式のノブがパラメーターごとに付いているため本体だけでも調整ができるのだが、iOSやAndroid端末に専用アプリのSRM-Flex Connectをインストールすれば、Bluetooth経由でSRM-Flexの全機能を操作できる。ワイアレスで簡単にリモート・コントロールできるので、演奏者が自分の立ち位置から動かずに調整することも可能な上、PAエンジニアによる客席からのコントロールも実現する。

 

▲iOS/Android対応の専用アプリSRM-Flex Connectの画面。SRM-Flex本体と同様のコントロールに加え、10セットまで設定を保存可能だ

▲iOS/Android対応の専用アプリSRM-Flex Connectの画面。SRM-Flex本体と同様のコントロールに加え、10セットまで設定を保存可能だ

 さらにSRM-Flex Connectにはシーン・リコール機能が付いており、場面ごとにパラメーターの設定をストアできる。例えばリハーサル時にリバーブやEQ、ボリュームのパラメーターを通常の演奏、バラード、MCなどに分けてストアしておけば、本番時はボタン一つで呼び出せてしまう。最大で10シーンの作成が可能だ。ただ、シーン・リコール機能は、その端末のアプリ側に保存されるため、複数の端末を使い分ける場合は注意が必要である。しかしSRM-Flex本体には、最後に使用したパラメーターが記憶されるので、アナログ・ミキサー運搬時にありがちなつまみが動いてしまい、使用していたパラメーター値が復元できないという心配をする必要は無い。
 またMusic/Speech/Liveという3種類のプリセットから選択可能なアウトプット・ボイシング・モードという機能を搭載している。DJなどの音楽ソースを扱う場合はMusic、会議室などでのプレゼンテーション時はSpeech、楽器を使う場合はL
iveなど会場やシチュエーションに応じて、簡単に出音をコントロールできる。

 軽量かつコンパクトでパワフルな上、ミキサーまで備えたオールインワンのSRM-Flex。100人前後のライブから会議室までさまざまな場所で重宝される一台だろう。

 
サウンド&レコーディング・マガジン 2020年1月号より)

MACKIE.

SRM-Flex

オープン・プライス(市場予想価格:121,700円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪スピーカー構成:10インチ径ドライバー・ユニット(低域)+2インチ径×6ワイド・ディスパーション・アレイ(高域) ▪周波数特性:40Hz〜20kHz@−10d B、50Hz〜20kHz@−3dB ▪最大音圧レベル:118dB ▪指向角度:90°(水平)、40°(垂直) ▪外形寸法:330(W)×2,002(H)×361(D)mm ▪重量:13.4kg

TUNECORE JAPAN