「ZOOM V6」製品レビュー:ライブ・パフォーマンスに特化したボーカル用マルチエフェクト・ペダル

ZOOM V6

REVIEW by MASAHIRO KITAGAWA 2020年1月6日

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 ZOOMからV6という、ライブ・パフォーマンス向けボーカル専用マルチエフェクト・ペダルがリリースされました。私自身、ビート・メイカーではございますが、シンガーでもありますのでものすごく興味深い機材です。

ボコーダーなど12種類のエフェクトを搭載
設定キーに沿ったハーモニーを自動生成

 フロント・パネルの中央には、VOICE/HARMONY/EFFECTと書かれた3つのセクションとフット・スイッチを装備。それらの下部には、ルーパーの操作やメモリーの選択に使用する3つのフット・スイッチを備えています。またフロント・パネルの右端にはフォルマント・ペダルを搭載。どれも大きくて視認性が良いため、薄暗いステージ上でもスイッチを踏み間違えることがなさそうです。

 フロント・パネル最上部には、左からディスプレイ、設定を保存するためのSTOREボタン、ボーカルにエンハンサーを施すENHANCEボタン、ワンノブ・コンプ、ボリューム・ノブが並びます。誰でも簡単に操作できる仕様です。

 それでは、フロント・パネル中央にあるVOICE/HARMONY/EFFECTと書かれた3つのセクションを具体的に見ていきましょう。一番左端にあるVOICEセクションには、ボコーダー/トークボックス/ピッチ補正など、内蔵された12種類のエフェクトを切り替えるノブと、それらの微調整を行うADJUSTノブがあります。トラップでよく聴くシンギング・ラップのような“ケロケロ・ボイス”も簡単に再現できるでしょう。

 HARMONYセクションには、キーのルート音を固定するFixedボタンのほか、生成ハーモニーの音高を決定するHigher(+5〜6度)、High(+3〜4度)、Low(−3〜4度)、Lower(−5〜6度)の4つのボタン、生成ハーモニーの音量を調整するMIXノブを備えています。両セクションの中間にあるKEYノブでキーを設定し、それに合わせて最大2声までのハモりを自動生成してくれるとても便利な機能です。

 3つのセクションの一番右端にあるのがEFFECTセクション。ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトから、ディストーションなど、全10種類のエフェクトを選択できるノブと、そのかかり具合を調整するADJUSTノブが配置されています。個人的には、“ビート・ボックス”というエフェクトが面白いと思いました。このエフェクトではキック/スネア/ハイハットの各周波数帯域が強調され、全体的にコンプがかかったサウンドになります。ボイス・パーカッション用の音作りを一瞬で行えるのが、魅力的と言えるでしょう。

 

フォルマント・シフトが可能なペダルを装備
3分30秒まで保存可能なルーパー機能

 次にルーパー機能を見てみます。近年、1人で複数のアカペラやボイス・パーカッションを重ねる即興パフォーマンスが人気ですが、V6ではそれが簡単な操作で行えます。V6では最長3分30秒までフレーズ録音が可能で、先述した3つのフット・スイッチを駆使して録音のスタート/ストップ、アンドゥ/リドゥのなどの設定が行えます。実際使って見ると、一つ前のフレーズをアンドゥできるのは非常に便利で、録音時間も十分だと思いました。

 V6に備えられたフォルマント・ペダルについてですが、これがまた最高です。声のキャラクターを変えられるペダルなのですが、これがなかなかありそうで無かった機能! フォルマント・シフトが付いたプラグインはありましたが、パフォーマンス中にフォルマント・シフトをリアルタイムにできるのは、とても面白い機能だと感じます。

 

▲付属の超指向性コンデンサー・マイク=SGV-6。シャープな音像で、エフェクトも奇麗にかかる印象だ

▲付属の超指向性コンデンサー・マイク=SGV-6。シャープな音像で、エフェクトも奇麗にかかる印象だ

 さらにV6には、ショットガン・マイク技術を基にしたSGV-6という超指向性コンデンサー・マイクが付属。自分のお気に入りマイクを使うのもよいですが、ハウリングに強くカブリも少ない仕様のSGV-6は、特にライブ・ステージでは重宝すると思います。

 また、V6はSN比がとても優秀。エフェクターにありがちな急な音やせもあまり感じず、録音にも十分対応できるのではないでしょうか。ちなみにV6は2イン/2アウトのUSBオーディオI/O機能を備えているため、DAWへの録音も即座に可能。V6で音作りし、DAW上でサウンド・マテリアルとしてトラックに組み込んだりするのもお勧めな使い方でしょう。

 そしてUSBバス・パワーのほか、単三電池×4本で約3時間半の駆動も可能。万が一忘れても、単三電池ならどこにでも売っているので安心ですね。

 V6は、ボーカルのピッチ補正はもちろん、ボーカルにハーモニーを足したりエフェクト処理をしたり、さらにはリアルタイムにフォルマント・シフトも可能なマルチエフェクト・ペダル。通常ならプラグインで行うボーカル処理を、ステージ上でもリアルタイムにコントロールできます。声にたくさんエフェクトをかけると音像がぼやけがちになりますが、ENHANCEボタンやワンノブ・コンプが付いているので心強いです。これだけの機能が付いて、ライブはもちろんレコーディングにも使用できるクオリティのV6。正直、期待以上の製品でした。価格が3万円台とは、本当にコストパフォーマンスが優れています。これ一台あれば、誰でも簡単に多彩なボーカル・サウンドを作り出せるのではないでしょうか。

 

▲リア・パネル。左からマイク・イン(XLR)、ファンタム・スイッチ、エフェクトのかかり具合を外部ペダルで調整するためのエフェクト・コントロール(TRSフォーン)、USBバス・パワー供給のほか、コンピューターと接続すればオーディオI/Oとしての役割も果たすMicro USB端子、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)、ヘッドフォン・ボリューム・ノブ、グラウンド・リフト・スイッチ、ライン・アウト(XLR)、電源オン/オフ・スイッチ、DC電源入力端子が並ぶ

▲リア・パネル。左からマイク・イン(XLR)、ファンタム・スイッチ、エフェクトのかかり具合を外部ペダルで調整するためのエフェクト・コントロール(TRSフォーン)、USBバス・パワー供給のほか、コンピューターと接続すればオーディオI/Oとしての役割も果たすMicro USB端子、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)、ヘッドフォン・ボリューム・ノブ、グラウンド・リフト・スイッチ、ライン・アウト(XLR)、電源オン/オフ・スイッチ、DC電源入力端子が並ぶ

 
サウンド&レコーディング・マガジン 2020年1月号より)

ZOOM

V6

オープン・プライス(市場予想価格:31,819円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪周波数特性:20Hz〜20kHz(+1/−3dB) ▪最大入力レベル:+4dBu ▪最大出力レベル:+8dBu ▪パッチ・メモリー数:100 ▪電源:USBバス・パワー、DC 9V、単三電池×4本 ▪外形寸法:320(W)×77(H)×181(D)mm ▪重量:1.56Kg(電池除く) ▪付属品:SGV-6

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