「SOUNDWARRIOR SW-HP100」製品レビュー:バランス接続にも対応するスタジオ向けセミオープン型ヘッドフォン

SOUNDWARRIOR SW-HP100

REVIEW by yasu2000(origami PRODUCTIONS/big turtle STUDIOS) 2019年10月6日

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 今年で95周年を迎えるSOUNDWARRIORが、初のセミオープン型ヘッドフォンの開発を行い、本機SW-HP100を発売した。これまでのSW-HPシリーズの密閉型ヘッドフォンは、プロ視点の高い音質や耐久性が意識されていた。今回セミオープン型になることで、音抜けも良く、長時間のリスニングにも適するというSW-HPシリーズの新境地が期待できる。早速、使用感をレポートしていこう。

透明感×奥行き×ワイドな音像
高解像度で輪郭を感じるサウンド

 SW-HP100のイア・パッドやヘッド・バンドのクッションは、感触がとても柔らかく、つなぎ目はしっかり編み込まれている。形状も特徴的で、ドーナツ型というより下半分は四角く面積が広めに作られており、装着した時の耳たぶの前方側のすき間と、耳の後方(裏側)にある乳様突起と言われる骨とのすき間をピタリと覆い隠すような形だ。このすき間にこれほどまでフィットするヘッドフォンは数少ないだろう。重さも220gと軽いので、長時間付けていても首が疲れることが無い。
 また、左右にわたるコードが露出していないので、断線の心配も無い。ステレオ・ミニ・プラグのケーブルから、オプション品のバランス型XLRケーブルへの変更が可能だ。このケーブルは、同社のSWD-HA10などのヘッドフォン・アンプと接続して使用できる。ハウジング内部の構造が左右完全対称とのことで、左右の安定感も緻密(ちみつ)に調整されている。
 実際に音楽を聴いてみた印象は、低音がブーミー過ぎず弱過ぎもせず程良い厚みが感じられた。高域はつややかというより、解像度が高くて痛くないレベルのエッジがある。セミオープンなので圧迫感も無く、透明感や奥行きがあって音抜けも良い。音像がワイドで左右のヘッドフォンの幅を超えて聴こえてきた。

 ここからは音楽のジャンル別にリスニングしてみた。すると、音の隙間が多いヒップホップやポップスのスネア、クラップ、ハイハットなどのキレが良い高域の響きが奥に消えていく様子がよく見えた。上下や、左右の分離も良く、前後の位置もつかみやすいので立体的な印象だ。
 ロックは特にひずんだエレキギターの2kHzから12kHzの辺りがキンキンせず耳に痛くなくて心地良い。1970年代以前の古いクラシックやジャズは、一つ一つの楽器が立体的に聴こえてくる。大きく包み込むサウンドというより、音の一つ一つの輪郭を崩さないで、空気感と存在感が重要視されているような印象だ。
 エレクトロを聴いてみたところ、特にテクノではパキパキとした硬い鉄のような音は少し抑えられていて、ザラザラとしたテープのような音は強調されて解像度が高く聴こえてきた。個人的によく聴いていた1990年代ヒップホップの、レコード・ノイズを含めた音を低ビット・レートのサンプラーでサンプリングしたザラザラした音も、ソリッドな音を解像度良く響かせるこのヘッドフォンの特長によってさらに耳に心地良かった。

 

オプションでバランス接続にも対応
長時間の作業でも耳が疲れにくい

 今度はバランス型XLRケーブルに変更し、前述のSWD-HA10に接続して同じように聴き比べてみた。全体的な印象は、音の粒の密度が濃くなってパワフルになった感じ。音のすき間が多いヒップホップや、ポップスのスネア、クラップ、ハイハットの消えていく残響も分かりやすく聴こえた。エレクトロは打ち込みのメリハリ感と硬さが少し増して、低音も少しブーミーに聴こえた。1990年代ヒップホップも、1kHzあたりのザラザラ感が強調されていた。

 

▲別売りのバランス型XLR接続コード、SWA-HP20-XLR(写真左)。対象機種は、SW-HP100、SW-HP20(SW-HP20-B)。長さは2.5mで、プラグはXLR3ピン。右はSWA-HP20-XLRに対応する同社のヘッドフォン・アンプSWD-HA10

▲別売りのバランス型XLR接続コード、SWA-HP20-XLR(写真左)。対象機種は、SW-HP100、SW-HP20(SW-HP20-B)。長さは2.5mで、プラグはXLR3ピン。右はSWA-HP20-XLRに対応する同社のヘッドフォン・アンプSWD-HA10

 モニター用ヘッドフォンとしてミックス作業を行ってみた。長時間の作業でも耳が疲れないところがとても楽で、没頭できる。EQ処理がしやすく音の一つ一つが立体的に聴こえるので楽器の細かいニュアンスを見つけて強調させることが容易だった。テープ・シミュレーターやアンプ・シミュレーターなどプラグイン・エフェクトのひずみが解像度高く聴こえるので、細かい調整もしやすい。分かりにくい30Hzから100Hzくらいまでの低域の処理もシャープに聴こえるので、ベースやキックなど低音楽器の分離がしやすかった。ボーカルは立体感があり歯切れが良い。ブレスがよく聴こえるので、吐息を使ったアプローチの処理や痛い子音のカットもしやすかった。ヘッドフォンとモニター・スピーカーで聴いたときの印象も大差なく優秀だと感じた。

 SW-HP100は、セミオープン型ならではのワイドな音像や透明感をうまく利用した調整がされており、そこに解像度の高いエッジがある高域と立体的で奥行きのある中域、シャープでメリハリのある低域を兼ね備えた新しい感覚の音質である。テープやレコードのような音が好きな方にも好まれそうなので、幅広い年齢層に受け入れられる製品なのではないだろうか。さらに重量も軽く、耐久性にも優れているので持ち運びにも優れた万能なヘッドフォンだ。

 
サウンド&レコーディング・マガジン 2019年10月号より)

SOUNDWARRIOR

SW-HP100

17,500円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪構造:セミオープン・エア・ダイナミック型 ▪出力音圧レベル:98dB@1kHz(1mW) ▪周波数特性:10Hz~35kHz ▪最大許容入力:150mW ▪インピーダンス:38Ω ▪ヘッド・バンド:ビニール・レザー ▪プラグ形状:モノラル・ミニ×2 ▪ケーブル:両出し/着脱式 ▪重量:220g(ケーブルを除く) ▪付属品:ステレオ・ミニ・プラグ接続コード(長さ2.5m)、ステレオ・フォーン変換アダプター ▪オプション品:SWA-HP20-XLR(バランス型XLR接続コード)

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