「ETYMOTIC RESEARCH ER2SE/ER2XR」製品レビュー:新開発の高精度ダイナミック型ドライバーを搭載したイアフォン2種

ETYMOTIC RESEARCH ER2SE/ER2XR

REVIEW by 関口シンゴ(Ovall/origamiPRODUCTIONS) 2019年8月30日

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 原音忠実をコンセプトにした高性能なベストセラー・イアフォンER4Sでよく知られている、アメリカのETYMOTIC RESEARCHから新製品のカナル型モデルが発売されます。ERシリーズの新たなラインナップとして、ER2SEとER2XRの2種類が登場しました。ER4Sの、フラットかつ高解像度な音とスタイリッシュなシェイプを受け継ぎながら、さらに進化して求めやすい価格帯になったニュー・モデルです。では、早速レビューしていきましょう。

中高域にハリがありクリアなER2SE
繊細な表現を忠実に再生する確かな技術

 
 今回は、プロのエンジニアやミュージシャンに最適なサウンドを追求して作られたER2SEと、リスニング用に低音を増強したモデルER2XRの2つを紹介します。見た目は、どちらもシンプルで洗練されたデザイン。アノダイズド加工が施されたマットで深い青色のメタル・ボディは高級感がありますね。手に取ってみると光沢感のある筐体は触り心地がとても良く、細部の造りまでしっかりしているのが分かります。

▲ケーブルは着脱式でMMCXコネクターを採用

▲ケーブルは着脱式でMMCXコネクターを採用

 付属品のイア・チップは2つのモデル共通で、3段フランジ・イア・チップとフォーム・イア・チップの2種類が付属されています。装着感はどちらもしっかり耳にフィットして、35dB以上の音まで遮音してくれるのですが、長時間の使用でも気にならず、耳が疲れませんでした。電車や飛行機に乗って長時間移動するシーンや外出先のノイジーな環境でも、快適に音楽をリスニングできると思います。
 

▲付属品は、2モデル共通。“ETYMOTIC RESEARCH”と刻印された小さいキャリング・ポーチから時計回りに、フォーム・イア・チップ、予備用の3段フランジ・イア・チップ、交換用フィルターと交換用ツール、シャツ・クリップを同梱している

▲付属品は、2モデル共通。“ETYMOTIC RESEARCH”と刻印された小さいキャリング・ポーチから時計回りに、フォーム・イア・チップ、予備用の3段フランジ・イア・チップ、交換用フィルターと交換用ツール、シャツ・クリップを同梱している

 また、この2種類のイアフォンには、同社が新たに開発した高精度なダイナミック型ドライバーが片側につき1基搭載されていて、豊かな音圧と解像度の高さが実現されています。しかしER2SEとER2XRは、想定されている用途やサウンドが異なるので、各モデルごとにレポートしていきましょう。
 まずER2SEは、Studio Editionの頭文字を取ったもので、プロのスタジオ作業にも耐えうる全帯域のバランスが良いチューニングが成されています。音の解像度の高さやすっきりとクリアな感触に驚かされました。音の分離も良く高域の伸びもあり、音抜けの良い音像が浮かび上がってきます。生ドラムを聴いた感触はアタックも心地良く、ハイハットの細かい“チリチリ”と震えるニュアンスまではっきりと伝わってきました。シンセ・ストリングスや各楽器にかけられたリバーブの質感も、消え際までしっかり見届けることができます。ウィスパー系のボーカルなども自然で生々しく聴こえてくるので、アーティストの細かい表現や作品の世界観をダイレクトに感じることができますね。また中高域にハリがあり、ボーカルやエレキギター、ピアノが担当する“曲の軸となるようなメロディ”が立って聴こえてきます。この帯域はあまり出すぎると耳が痛く感じる部分でもあるのですが、音の質感にもつやがあり、心地の良い張り出し感です。
 また、自宅でのレコーディングに使用してみたところ、アコースティック・ギターの弦の感触が非常に分かりやすく、アルペジオの演奏なども十分にモニタリングできました。ギターのレコーディングでは、ピッキングのニュアンスがかなり重要なのですが、その辺りの繊細さもきちんと感じられて、原音忠実再生の技術が確かであることを実感させられます。もちろんほかの楽器の録音でも安定したクオリティで使用できそうです。
 

高解像度かつパワーを感じる低音
ビート・メイキングに最適なER2XR

 
 一方のER2XRは、低音域のレスポンスをさらに向上させた、Extended Responseという意味。ER2SEよりも低音が力強いチューニングが成されているので、より楽曲の臨場感を楽しみながらリスニングすることができます。低域に迫力が生まれていて、ヒップホップ系のキックは力強い印象。ウッド・ベースなどの低音楽器は、立体的で野太さを増して再生されますね。しかし、ER2SEが持つバランス感や解像度の高さは、こちらでも全く失われておりません。低域を強調しながらもほかの帯域との調整具合は絶妙で、全体のまとまりもとても良いのです。
 こちらもレコーディングで使用してみたのですが、エレキギターのコード・ストロークはパワーがあって気持ち良く、とてもグルーブを感じながら演奏することができました。特にベースは演奏時の低域の音圧感でテンションが左右されるので、このER2XRはうってつけだと思いました。またキックを打ち込む際でも低音の輪郭や余韻が見えやすく、グルーブをコントロールしやすく感じました。普通のイアフォンではこの辺りはジャッジが難しい部分なのでとてもありがたいですね。

 こうしてレビューしてみると、ER2SEとER2XRは低域のチューニングに違いはありますが、どちらも音楽制作の場で頼れるクオリティになっています。ER2SEはそのバランスの良さからポップスなどとの相性はバッチリですし、クラシックやジャズなどのアコースティックで繊細な表現の音楽にも適していると思います。ER2XRは、やはりヒップホップやR&Bのような重心の低いジャンルの音楽との相性が良いですね。また、最近のポップスにはビートの強いサウンドのものも多いので、そうしたジャンルの音楽も迫力を損なわずに再生してくれるでしょう。リスニングはもとより、外出時にラップトップで作曲や録音、エディット作業をする場合にも適しているのではないでしょうか。
 
サウンド&レコーディング・マガジン 2019年9月号より)

ETYMOTIC RESEARCH

ER2SE/ER2XR

オープン・プライス(市場予想価格:各16,800円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
●共通仕様 ▪形式:カナル型 ▪周波数特性:20Hz~16kHz ▪型式:ダイナミック型 ▪遮音性能:35~42dB ▪インピーダンス:15Ω ▪感度:96dB@1kHz、0.1V ▪最大出力:120dB ▪ケーブル:約1.2m(着脱式) ▪付属品:3段フランジ・イア・チップ、フォーム・イア・チップ、フィルター・チェンジング・ツール、交換用フィルター、キャリング・ポーチ、シャツ・クリップ

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