「YAMAHA DZR315/DXS18XLF/DZR10」製品レビュー:DSPを搭載するライブ用のパワード・スピーカー&サブウーファー

YAMAHA DZR315/DXS18XLF/DZR10

REVIEW by 井上朗(イノックスサウンドデザイン) 2018年11月27日

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YAMAHAからライブ用パワード・スピーカーのDZRシリーズ、サブウーファーのDXS XLFシリーズがフラッグシップとして登場。今回は15インチ径のウーファーを搭載する3ウェイ・スピーカーのDZR315と、18インチ径のサブウーファーDXS18XLF、そして使いやすいサイズで人気が出そうな10インチ径ウーファーを装備するDZR10の3機種をレポートしていきます。

マルチバンド・ダイナミック・プロセッサーで
人の聴感特性に合わせたサウンドに調節

私の音響会社、イノックスサウンドデザインではYAMAHA DXR12を小規模イベントのメイン・スピーカーとして運用していて、かねてからYAMAHAのパワード・スピーカーは高く評価しています。届いたDZRシリーズはフラッグシップにふさわしい高級感のある筐体の質感で、音を出す前からワクワクしました。

まずはDZRシリーズとDXS XLFシリーズ共通のスペックとして、内部処理96kHzの高性能DSPを内蔵しています。これによって、低レイテンシーで、スピーカー・ユニットの性能を最大限に引き出すことが可能です。クロスオーバーはAdv
anced FIR-X Tuningによって振幅特性や位相特性を最適化し、分解能に優れた高音質を実現しています。背面の液晶ディスプレイやメイン・ノブでプリセットやEQ、フィルター、ディレイ、ルーティング……といったパラメーターを詳細に操作できることに加え、設定をリコールしたりUSBメモリーで共有するなど、以前のモデルと比べて利便性が格段に向上。ロック機能も備わっているので、不用意な設定の変更を未然に防げます。

▲DZR315のリア・パネル。液晶ディスプレイ操作用のメイン・ノブやバック・キー、USB端子を装備。下部には入力端子(XLR/フォーン・コンボ)と出力端子(XLR)を2系統ずつ搭載し、入力端子のレベルを調節するノブを備える。THRU/DSP OUTスイッチは、入力端子からスルーした信号か、DSPで処理した後の信号のどちらを出力するかを切り替える

▲DZR315のリア・パネル。液晶ディスプレイ操作用のメイン・ノブやバック・キー、USB端子を装備。下部には入力端子(XLR/フォーン・コンボ)と出力端子(XLR)を2系統ずつ搭載し、入力端子のレベルを調節するノブを備える。THRU/DSP OUTスイッチは、入力端子からスルーした信号か、DSPで処理した後の信号のどちらを出力するかを切り替える

DZRシリーズは新開発のクラスDパワー・アンプで駆動し、このサイズでは最大級の出力となるダイナミック・パワー2,000Wを生み出します。野外などの電源状況が厳しい環境下でも、動作を安定させるPFC(力率改善回路)搭載の高効率スイッチング電源を採用。現場では安心の装備です。

さらにマルチバンド・ダイナミクス・プロセッサーのD-CONTOURを内蔵。アンプの出力レベルをリアルタイムで感知し、人間の聴感特性に合わせた振幅特性にコントロールします。NORMAL/FOH MAIN/MONITORと3種類のモードを用意し、音量にかかわらずバランスの良い迫力のあるサウンドに調節可能です(3ウェイ・スピーカーのDZR315はNORMAL/FOH MAINの2種類のみ)。

 

高品質で伸びやかな音のDZR315は
オールマイティに活躍できるスピーカー

今回は2つの現場で使用しました。最初は300人を収容する公共会館。1モーションの迫り上がりの客席に、仮設舞台が設置された小ホールです。スピーカー台が無かったのでDZR315をツアー・ケースに乗せて、横にDXS18XLFを置いてベルトで固定しました。DXS18XLFの上にインフィルとして弊社所有のDXR12、ウェッジはフロントにDZR10をセッティング。D-CONTOURの設定をFOHモードにし、プリセットを呼び出して全体のバランスを調節しました。

DZR315のツィーターは2インチ・ボイス・コイルのコンプレッション・ドライバーと強力なネオジム磁石を採用しており、高い分解能の中域と伸びやかな高域が特徴です。8インチ径のスコーカーからは、低ひずみで分離感の高い中域が再生されていました。3ウェイ・スピーカーは位相特性がコントロールしにくいのですが、DZR315はポイント・ソースとして伸びやかかつ高品質なサウンドで、十分過ぎるほどのパワーを有しています。展示会イベントなどでもオールマイティに活躍できるスピーカーとなるでしょう。

DXS18XLFは豊かな低域のパワフルなサウンドで到達性に優れ、客席後方でミックスをしてもストレスを感じることがありません。筆者はサブ帯域に余裕がある方がミックスしやすいので、プリセットから3dBほどアウト・ゲインを上げるとちょうどよいバランスになりました。

ウェッジとして使用した2ウェイ・スピーカーのDZR10は高域のホーンを90°ローテーションして横に寝かせて使用。ローテーションはサランネットやホーンを固定しているネジを外し、10分弱で簡単に変更できました。D-CONTOURをMONITORモードで使用したのですが、とても素直で聴きやすいサウンド。楽にチューニングができ、ミュージシャンの反応も良かったです。

次の現場はカフェのテラスで行われたアコースティック・ライブです。片側にDZR10を少し開いてセットし、FOHモードで使用。歌声はクリアに、アコースティック・ギターやキーボードは奇麗な音で再生されていて、担当したエンジニアからも好評でした。

▲カフェのテラスで行われたアコースティック・ライブ。写真右上にDZR10を2台セッティングしている。横長なエリアでステージを囲うような客席だったが、DZR10を少し横に開いてセットすることで均等に音が届いた

▲カフェのテラスで行われたアコースティック・ライブ。写真右上にDZR10を2台セッティングしている。横長なエリアでステージを囲うような客席だったが、DZR10を少し横に開いてセットすることで均等に音が届いた

DZRシリーズは前モデルDXRシリーズの進化系として十分に受け入れられる、相当な実力を備えたスピーカーであると言えます。ちなみにDZRシリーズはDanteに対応したモデルの発売を予定しているとのこと。YAMAHAのデジタル・コンソールからイーサーネット・ケーブル1本で接続できるのは、システム構築にとても有用な機能で、今後の発展性を大きく感じます。


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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年12月号より)

YAMAHA

DZR315/DXS18XLF/DZR10

オープン・プライス(市場予想価格/DZR315:180,000円前後/1本、DXS18XLF:160,000円前後/1本、DZR10:140,000円前後/1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
●DZR315 ▪形式:3ウェイ・パワード ▪ユニット構成:15インチ・ウーファー、8インチ・スコーカー、2インチ・ツィーター ▪最大音圧レベル:143dB SPL@1m ▪外形寸法:550(W)×897(H)×520(D)mm ▪重量:41.6kg ●DXS18XLF ▪形式:パワード ▪ユニット構成:18インチ・ウーファー ▪最大音圧レベル:136dB SPL@1m ▪外形寸法:550(W)×657(H)×720(D)mm ▪重量:48.9kg ●DZR10 ▪形式:2ウェイ・パワード ▪ユニット構成:10インチ・ウーファー、2インチ・ツィーター ▪最大音圧レベル:137dB SPL@1m ▪外形寸法:315(W)×537(H)×345(D)mm ▪重量:17.9kg

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