「MACKIE. XR624」製品レビュー:従来機のサウンドを継承したバスレフ型パワード・スタジオ・モニター

MACKIE. XR624

REVIEW by 今本修(DOGLUS MUSIK) 2017年2月28日

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MACKIE.から、新たなスタジオ・モニター・スピーカーのラインナップ、XRシリーズがリリースされた。同社HR824MK2を主軸として音作りをする僕にとって大きなニュースだ。すべての制作に10年以上HRシリーズを使い続けていて、一緒に時と音を共有してきた。僕にとってはMACKIE.のモニター・スピーカーがミュージシャンにおける大事な楽器みたいなものになっている。そんな経緯もあり、このXRも楽しみだ。

HRシリーズのパッシブ・ラジエーターから
ロング・スロートの独自バスレフに変更

さて本題に。このXRシリーズはHR MKIIシリーズの下位機種に当たるもの。ウーファー口径別に6.5インチのXR624と、8インチのXR824の2種類が発表された。僕が普段、スタジオに持ち込むのは8インチのHR824MK2だが、今回試聴するXR624は、自宅作業にはまさに最適で十分なサイズであることを再確認した。そして、XRのデザインは初代HRシリーズを継承したもので、原点回帰とも言える角張ったデザインに戻り、古くから知るものにとってはほほえましい。

実はHRシリーズの歴史としては、初期の木目調の角張ったデザインでシャープなイメージから、筆者が使うMK2では丸みを帯びたデザインに変更された。耳の良いミュージシャンの制作現場などで多く見るのは最新のMK2で、ロゴが“MACKIE.”であった筆者のバージョンからランニング・マンに変更されている。サンレコを愛読している方は、海外のトラック・メイカーやミュージシャンが昔から数多く使っているのをよく見るだろう。僕も大沢伸一さんが初代を使用しているのを聴いて感銘を受け、現在に至る。

ただし、HRシリーズがパッシブ・ラジエーター(電気的には接続されていない低域用ユニット)をリアに搭載していたのに対し、XRはバスレフ型になった。バスレフ化に伴い、ELP低域反射システムを開発し、優れた低音再生能力と高出力を実現。今までに無いような長いスロートを用いることで、気流を抑え、ハイパワーかつ明りょう度の高い低域の伸びを実現しているという。見た目こそ初期HRのようだが、現代に合った最新の音響技術が集約されているとも言えよう。パッシブ・ラジエーターを廃止したことが、かなりの軽量化にもつながっている。

また、パッシブ・ラジエーターを排したことで、アンプやアクティブ回路を通常のパワード・モニターのようにリアに埋め込む形となった。HRシリーズでは電源インレットや入力端子が下向きについているため、スタジオに持って行くとアシスタントから“電源どこですか?”と必ず聞かれていたが、それも解消。背面に壁がある場合にローカットするACOUSTIC SPACEや、ローカット周波数選択、高域EQも従来同様装備し、どんな設置場所でも最適で最高なポテンシャルを発揮できる。ちなみにこれらのスイッチもレバー型になった。見た目も分かりやすくなり、ガリも出にくい。

そのほかアクセサリーとして、2種類のアコースティック・アイソレーション・パッドが付属している。これはスピーカーの下に敷くことで、不要な共鳴を低減し、低域周波数特性を向上させることができるというものだ。角度をつけて設置する際にも便利だろう。

 

HR譲りの高域と自然で豊かな低域
素直でフラットな音作りが可能

肝心の音質は、初期HRのシャープな高域に、最新技術を用いたバスレフによって、さらに立体的かつ自然で豊かな低域を再生。MACKIE.ならではのフラットで原音忠実なサウンドを奏で、HRを知る人はもちろん初めて使う方でも音楽制作に安心感/信頼感をもたらしてくれる。

筆者にとっては慣れたMACKIE.のサウンドは、直感的で、音の固まりが耳に入ってくるような印象がある。スピーカーに向かって作業しているときはもちろんだが、少し離れて聴く際にも、音楽としてスッと耳に入ってくる。とはいえ、先述したように立体的な部分はきちんとあるし、バスレフ化によってキックやベースの位置感も、より明りょうになったような印象がした。

アラに気付かされるような100万円近くする高級で繊細なスピーカーも、派手な音質で勝負する機種ももちろん良いが、素直でフラットな音作りができるこのブランドのスピーカーが好きだ。それがミュージシャンにこよなく愛されるMACKIE.ブランドの最大の武器であり、僕が使い続ける最大の理由でもある。何より重量も軽減され、価格も抑えられているのがうれしい限りだ。

▲入力感度、環境に合わせた補正を行うACOUSTIC SPACE、ローカット、ハイEQ、電源モード・スイッチ。入力端子はTRSフォーンとXLRを装備

▲入力感度、環境に合わせた補正を行うACOUSTIC SPACE、ローカット、ハイEQ、電源モード・スイッチ。入力端子はTRSフォーンとXLRを装備

▲不要な共鳴を低減し低域周波数特性を向上させることのできるアコースティック・アイソレーション・パッド。2種類のパッドの組み合わせで角度を付けた設置も可能となっている

▲不要な共鳴を低減し低域周波数特性を向上させることのできるアコースティック・アイソレーション・パッド。2種類のパッドの組み合わせで角度を付けた設置も可能となっている

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2017年3月号より)

 

MACKIE.

XR624

オープン・プライス(市場予想価格:52,000円前後/1本)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪ユニット構成:6.5インチ(165mm)ケブラー・ウーファー+1インチ(25mm)アルミ・ツィーター ▪アンプ:100W(LF)+60W(HF)クラスD ▪周波数特性:45Hz〜22kHz(−3dB) ▪クロスオーバー:リンクウィッツ・ライリー、2.7kHz ▪最大音圧レベル:107dB@1m ▪ACOUSTIC SPACE(100Hz):0/−2/−4dB ▪ローカット周波数(−3dB):45/80Hz ▪ハイEQ(10kHz):±2dB ▪外形寸法:218(W)×333(H)×320(D)mm ▪重量:10.6kg(1本)

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