「MACKIE. Reach」製品レビュー:メインとモニターを兼用できるミキサー内蔵のスピーカー・システム

MACKIE Reach

REVIEW by 増田聡(Astroglia) 2016年5月26日

Reach_main

MACKIE.からデジタル・ミキサー内蔵のパワード・スピーカー、Reachが登場。本機のコンセプトは“セルフPA向けスピーカー”としての特徴を強く打ち出したものになっています。

最大で水平250°のカバー・エリア
リモート・コントロール可能なミキサー

Reachの前面部は5つのドライバー・ユニットから構成されており、最上段と最下段に6.5インチ低域ドライバーが、中段に1インチ高域ドライバーが3連でマウントされ、高域ドライバーの2つは左右に大きく振られているのをメッシュ・カバー越しに確認できます。このARCアレイ・テクノロジーという独特な構造により、カバー・エリアは水平150°と広大です。加えてエンクロージャーの左右側面には4インチのフル・レンジ・ドライバーが1つずつ搭載されていて、つまりこのスピーカー、横からも音が出るんです! なので、メイン+サイドの合計カバー・エリアはなんと250°にも及ぶ超ワイド設計となっています。

また、本機は4chのモノラル入力とステレオ1系統のAUXインを備えたデジタル・ミキサーを内蔵しています。iOS/Android対応の無償アプリ、Mackie Connectを使えば、Bluetooth接続によりすべての設定/ミキシング・コントロールをモバイル・デバイスで行うことができます。リモート・アプリを使わない場合でも、サイド・パネルにあるコントロール部でほぼすべての機能を操作可能です。ミキサーにはシーンに応じて使い分けられるメイン用の基本EQが4種類、各チャンネルにも3バンドEQが備わり、16種類から選べる基本的なエフェクトを内蔵。エフェクトのセンド量はチャンネルごとに調整可能です。さらにBluetooth対応プレーヤーとワイアレス接続することでストリーミング再生が可能です。

 

セッティングやハウリング対策などの
煩雑なPAオペレートから解放してくれる

今回は本機1台での試用でしたので、キーボード/ボーカル、マニピュレーター/ボーカルから成る2人ユニットの演奏を想定し、ポール・マウントした本機をセンターに置いたセッティングでチェックしました。キーボードはモノラル、コンピューターはステレオ・ミニでケーブル接続し、リモート・アプリを立ち上げたAPPLE iPad(画面①)をコンピューターを載せたテーブルにセット。ちょうどキーボード側にミキサーのコントロール部が向いていますので、演奏者自身で各パートのレベル調整を行う形です。まさにセルフPAですね(写真①)。

▲画面① APPLE iPadに映し出されたMackie Connectのミキサー画面。シンプルなインターフェースにより直感的に操作できる

▲画面① APPLE iPadに映し出されたMackie Connectのミキサー画面。シンプルなインターフェースにより直感的に操作できる

▲写真① 今回のテスト現場の様子。2人組ユニットによるセルフPAを想定したセッティングだ

▲写真① 今回のテスト現場の様子。2人組ユニットによるセルフPAを想定したセッティングだ

ボーカル・マイクはSHURE Beta 58Aをつなぎました。声を出して分かるのは、このスピーカーがボーカル・マイクのハウリング・マージンを考慮してチューニングされているということです。また、本機に搭載されているFEEDBACK DESTROYERは、ハウリングが発生している周波数を検知し、ピンポイントで補正してくれます。セルフ・コントロールのPA作業でも、ハウリングに対して神経質にならなくて済むので助かりますね。それでいて出音は物足りなさを感じさせず、フラットな音質を保った素直なレスポンスだと感じました。

テスト現場はキャパシティ100人程度のライブ・ハウスでしたが、本機のサイズ感はベスト・マッチだったように思います。パワー感は十分で、やはり素晴らしいのはそのカバー・エリアの広さ。定位センターのモノラルであることを忘れるほどです。

続いて、サイド・スピーカーに注目してみましょう。結論から言うと、モニター・スピーカーとして大変有用です。位相/明りょう性ともに不快なものは何も無く、十分に音量も稼げますし、スピーカーの真横に居なくてもしっかり聴こえます。また、メインとは別にレベルを調整できるので、立ち位置に合わせて最適な音量を出せる立派なサイド・フィル・モニターです。

メインとサイドを合わせたスピーカーのカバー・エリアが水平250°というのは、数字以上に体感してみるとすごいこと。結果的に1台で客席はおろか、ステージ内のほぼすべてに音を届けてしまいました。つまり、メイン・スピーカーとして設営すれば、同時にサイド・フィル・モニターも設置完了ということです。

§

ReachはセルフPAの煩雑なオペレート部分から使用者を解放してくれます。単なるパワード・スピーカーを超えた素晴らしいシステムとして、さまざまなシチュエーションで活躍してくれるでしょう。

 

▲サイド・パネルのミキサー・コントロール部。各チャンネルのレベル調整や、メイン/サイド・スピーカーの出力レベルの調整ができる。また、FXやEQのプリセットなどの選択も可能だ

▲サイド・パネルのミキサー・コントロール部。各チャンネルのレベル調整や、メイン/サイド・スピーカーの出力レベルの調整ができる。また、FXやEQのプリセットなどの選択も可能だ

▲リア・パネルの入出力部。4chの入力(XLR/フォーン・コンボ)のほか、スマートフォンなどを接続できるAUXイン(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)、内蔵エフェクト用フット・スイッチ(フォーン)、別のパワード・スピーカーと接続するためのリンク・イン/アウト(フォーン)が並ぶ

▲リア・パネルの入出力部。4chの入力(XLR/フォーン・コンボ)のほか、スマートフォンなどを接続できるAUXイン(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)、内蔵エフェクト用フット・スイッチ(フォーン)、別のパワード・スピーカーと接続するためのリンク・イン/アウト(フォーン)が並ぶ

製品サイト:http://mackie-jp.com/reach/

サウンド&レコーディング・マガジン 2016年5月号より)

MACKIE

Reach

オープン・プライス(市場予想価格:132,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪スピーカー構成:6.5インチ低域ドライバー(メイン)×2+1インチ高域コンプレッション・ドライバー(メイン)×3+4インチ・フル・レンジ・ドライバー(サイド・フィル)×2 ▪周波数特性:50Hz〜20kHz(-10 dB) ▪最大音圧レベル:126dB ▪アンプ出力:720W(ピーク) ▪指向性:最大250°(水平) ▪外形寸法:218(W)×711(H)×24 1(D)mm ▪重量:14.2kg

TUNECORE JAPAN