「UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin」製品レビュー:小型ながらUAD-2プラグインも使えるThunderboltオーディオI/O

UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin

REVIEW by 松前公高 2014年3月15日

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UAD-2システムとオーディオI/Oを合体させたApolloシリーズに、アナログ2イン/6アウトで小型デスクトップ・タイプのApollo Twinが登場。1月のNAMMショウでの衝撃的な発表を経て、同日から発売された。従来のUAD-2プラグインに加え、Unisonテクノロジーによって入力信号をモデリングのチューブ・マイクプリで増幅できるという画期的な製品だ。最大24ビット/192kHzのレコーディングに対応し、接続はThunderboltでMac専用。DSPにSHARCプロセッサーを1基搭載したSoloと、2基搭載したDuoの2機種がラインナップされている。

所有欲を満たすハードウェア構成
出力レベルはアナログ回路でコントロール

ずは入出力端子を見ていこう。リア・パネルにはマイク/ラインのアナログ・イン×2(XLR/フォーン・コンボ)、モニター・アウトL/R(フォーン)、ライン・アウト3/4(フォーン)、ADATとS/P DIFに両対応したデジタル入力(オプティカル)、そしてパソコンと接続するためのThunderbolt端子、不意に抜けることがないようにしっかりとロックできる電源アダプター端子などをぎっしりと配置。一方、フロント・パネルにはインストゥルメント・イン(フォーン)とヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)も用意されている。

続いてトップ・パネルの操作子をチェック。パネル中央に大きなツマミ、その少し下の左右に2個のボタン、そして中央下部に6個のボタンというシンプルな構成。メーター類も含め、大きく分けて左側は入力関係、右側は出力関係となっており、左にあるPREAMPボタンは押すたびにch1/ch2の入力設定が交互に表示される。その際、中央のツマミが入力用となり、ツマミ左にあるメーターを見ながらゲイン・コントロールが可能。下部に並ぶ6個のボタンも入力用で、一番左にあるINPUTでマイク/ラインの切り替えが行える。ちなみにch1のみHi-Z対応のインストゥルメント・インが利用でき、フロントにある端子にプラグを挿すと入力も自動的に切り替わる。そのほかローカット・フィルター、+48Vファンタム電源、−20dB PAD、位相反転、2つのチャンネル用リンク・ボタンが並ぶ。

一方、右側にあるMONITORボタンを押すと、中央のツマミがモニター・アウトとヘッドフォン・アウトの出力レベル設定用に切り替わる。それぞれでレベル設定が可能な上、モニター・モード時にツマミを軽く押し込むとモニター・アウトがミュートされる。1人でボーカル録音をしているときなど、ワンタッチでモニター・アウトだけミュートできるのはすごく便利だ。またこの出力レベルはデジタルではなくアナログ回路でコントロールしているため、小音量でも高品質のサウンドというのも特長。ボディ、端子、ツマミなど各部の高級感はかなりのもので、オーディオI/Oながら所有欲を満たす感じが本当に素晴らしい。

 

610-Bは真空管らしいサウンド
出力音の鮮明度も特筆モノ

UAD-2シリーズはDSPによって同社のプラグイン・エフェクトをCPUの負荷なく使用できる人気製品であり、ApolloシリーズはそれとオーディオI/Oが合体した形になっている。そのメリットは入力信号に直接プラグインをかけられることにある。通常、DAW内のミキサーでもリアルタイムにプラグイン・エフェクトをかけることは可能ではあるが、かなりのレイテンシーが発生してしまう。しかしUAD-2ならばそれがほぼレイテンシーが無い状態で行える。さらに素晴らしいのは、このApollo Twinから新たにUnisonというアナログ/デジタルのハイブリッドなマイク・プリアンプ・モデリング技術が搭載されたことだ。そのUnison対応のプラグインとして付属しているのが、同社が発売しているチューブ・プリアンプ610をシミュレートした610-Bだ(画面①)。

画面① UNIVERSAL AUDIO 610をシミュレートしたプリアンプ・プラグイン、610-B。新開発のUnisonテクノロジーによってハードとソフトが連動し、実機のゲイン・コントロールやインピーダンスなどを再現する

▲画面①UNIVERSAL AUDIO 610をシミュレートしたプリアンプ・プラグイン、610-B。新開発のUnisonテクノロジーによってハードとソフトが連動し、実機のゲイン・コントロールやインピーダンスなどを再現する

本機に入力されたサウンドは、Consoleという専用ミキサー画面(画面②)で出力設定を行う。

▲画面② 入力のモニター設定が行えるConsoleソフトウェア。入力音に対してプリアンプの610-Bをかけられるのはもちろん、その他のUAD-2プラグインをインサートしてモニター/かけ録りに両対応する

▲画面② 入力のモニター設定が行えるConsoleソフトウェア。入力音に対してプリアンプの610-Bをかけられるのはもちろん、その他のUAD-2プラグインをインサートしてモニター/かけ録りに両対応する

Apollo Twinと連動しているので、本体のボタン類での設定も即座にここへ反映される。Console画面の左にある2chがアナログ入力のチャンネル・ストリップで、中段よりやや上にあるPREAMPというスロットに、先ほどの610-BなどUnison対応プラグインを立ち上げる形となる。また通常のUAD-2プラグインもその下にある4個のインサート・スロットで使用できる。このインサート・エフェクトは、モニターのみに使用することもかけ録りすることも可能で、画面右にあるINSERT EFFECTSスイッチで簡単に切り替えられる。またモニター用のAUXトラックも2系統あり、ここにも4個のインサート・スロットが用意されている。ちなみに、このConsoleの設定はMac本体の電源を切ってもそのまま本体内に残るので、Macオフの状態でもS/P DIFインにCDプレーヤーを接続して聴いたり、マイク/ライン入力のモニタリングも行える(ただしApollo Twinの電源を一度落とすとエフェクト設定は外れる)。

本製品には前述の610-Bのほかにも、Teletronix LA-2A Legacy、1176LN/SE Legacy、Pultec EQP-1A Legacy、Realverb-Pro、CS-1、SOFTUBE Amp Room EssentialsといったUAD-2プラグインが付属している。それ以外にもUAD-2にはレコーディング・スタジオで定番のエフェクトを模したプラグインが多数用意されており、UNIVERSAL AUDIOのWebサイトで追加購入が可能だ。NEVE 1073、FAIRCHILD 660、SSLのチャンネル・ストリップ、EMT 140リバーブなどが自宅で使用できるのだから夢のような世界だ。また、今後もApolloシリーズで威力を発揮するようなギター関係のエフェクトやUnison対応のマイクプリ・プラグインが発売されることが予想できる。さらなる進化が楽しみだ。

さて、肝心の音質についてだが、まずマイクプリで610-Bを選んで使ってみると、ビンテージの610と比較したわけではないが、真空管のシミュレートらしいわずかな温かみのあるサウンドで、存在感が強くなる印象だ。中低域がふっくらとして、太くなるのが分かる。シンセやギターの高域も、ちょっと耳につく感じが消え、インプット・ゲインを調整すれば心地よいひずみが得られる。特にギターでは低域が太くなってコード演奏がまとまった感じになった。もちろん、クリアに録音したいときは610-Bを通さないという選択も当然アリだと思う。

アウトプットの音質に関しては、低価格のものと比べたらもう一皮も二皮もむけたような鮮明度がある。明らかに周波数レンジが広い。筆者が今まで使用してきた20万円程度のオーディオI/O数種類と比べても、時代によるテクノロジーの差もあるものの、恐らく本機の方が良いのではないかと思う。

 

本レビューではApollo Twin Duoを使ったが、Console上のプリアンプに610-Bを使用して1176LN LegacyをインサートでかけたときのDSP使用量は、1DSPの約39%。さらにインサートに別売のNEVE 1073を、AUXにEMT 250とCooper Time Cubeを立ち上げても1DSPの59%だった。入力時はこれで十分だが、実際にはDAWでミックスを行う際にもUAD-2プラグインをAudio Units/VST/RTAS/AAXとして使用できるので、大量のプラグインを使う予定があるならばSoloよりもDuoを強くお薦めする。またほかのApolloシリーズやUAD-2システムとの併用もできるので、さらにDSPパワーが必要な場合はそれらを追加すると良いだろう。Thunderbolt対応のMacBook、Apollo Twin、スピーカー(ヘッドフォン)があれば、これだけでレコーディング・スタジオと同等のエフェクトがそろったハイクオリティな環境が実現できるのだ。しかもカバンに入れて持ち運びも可能!

 

▲リア・パネルの入出力端子群は、左からADAT&S/P DIFデジタル・イン(オプティカル)、Thunderbolt、ライン・アウト3/4(フォーン)、モニター・アウトL/R(フォーン)、マイク/ライン・イン1/2(XLR/フォーン・コンボ)。フロント・パネルにはインストゥルメント・イン(フォーン)とヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)も備える

▲リア・パネルの入出力端子群は、左からADAT&S/P DIFデジタル・イン(オプティカル)、Thunderbolt、ライン・アウト3/4(フォーン)、モニター・アウトL/R(フォーン)、マイク/ライン・イン1/2(XLR/フォーン・コンボ)。フロント・パネルにはインストゥルメント・イン(フォーン)とヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)も備える

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2014年4月号より)

UNIVERSAL AUDIO

Apollo Twin

Solo:オープン・プライス(市場予想価格:75,000円前後) Duo:オープン・プライス(市場予想価格:95,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪接続タイプ:Thunderbolt ▪オーディオ入出力:10イン(ADAT使用時)/6アウト ▪最高ビット&レート:24ビット、192kHz ▪マイクプリ数:2 ▪外形寸法:150(W)×57(H)×152(D)mm(突起部含まず) ▪重量:1.05 kg 【REQUIREMENTS】 ▪Mac:Mac OS X 10.8/10.9(64ビット)、2GB以上のハード・ディスク空き容量、Thunderboltポート(Thunderbolt 2対応)、1,024×800以上のディスプレイ、UADソフトウェアVer.7.4.2以降、Au dio Units/VST/RTAS/AAX(64ビット)対応ホスト・アプリケーション

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