「ECLIPSE TD-M1」製品レビュー:シリーズ初のワイアレス対応パワード型タイムドメイン・スピーカー

ECLIPSE TD-M1

REVIEW by Mine-Chang(prime sound studio form) 2014年1月15日

TD-M1-main_1402

良い音のスピーカーとは何か?という問いに対して、タイムドメイン・コンセプトに基いてインパルス応答性能=音の正確さを追求するECLIPSE TDシリーズ。シリーズ初となるアンプ内蔵モデル、TD-M1をクリエイター/エンジニアの視点でテストしてみたいと思います。

USB直結やAirPlayにも対応
フィルターを排除したDAコンバーター

インパルスとは時間幅が無限小で高さが無限大のパルス波形のことで、それを入力して測定することで、位相ひずみや音のにじみ具合を測定することができます。ひずみやにじみは、画像に例えるとボケたりブレているような状態であり、そのような画像では細部の認識が困難であるのと同様に、スピーカーでの出力にも“にじみ”や“ボケ”が影響するわけです。

TD-M1はインパルス応答に優れたフルレンジ・スピーカーを、回折(反射)を避ける卵形のエンクロージャーに(しかもエンクロージャーそのものからは切り離して)マウントすることで、インパルス応答の正確なスピーカーを実現しています。そこまでは従来のTDシリーズの流れを汲むものですが、さらにパワー・アンプとDAコンバーターを搭載。またUSBで直接コンピューターと接続できるため、従来はオーディオ・インターフェースやアンプなど多くの機器を介していたのと比べると、直接接続できることは正確な音の再生に有利であり、また設置が手軽に行えるメリットがあります。

そのほかAPPLE AirPlayでのワイアレス対応などのトピックもありますが、個人的に興味があるのはDAコンバーターが非オーバー・サンプリング式で、フィルターを用いない方式になっているところです。高域のエイリアス・ノイズ低減と引き換えに、プリ&ポストエコーを発生させるフィルターをDAコンバーターに用いていない点にも、インパルス応答を追求する姿勢が伺えます。

 

シャープな音像定位と解像度
スタジオのスモール・モニターにも便利

第一印象として、素直な音質でバランスが良いスピーカーと思いました。精度が高く、左右の音質の差が非常に小さいため、定位に優れます。インパルス応答の正確さゆえ、生楽器録音時の弦を弾く、たたく、空気を吹き込んで共鳴させるなど、それぞれ楽器独特の特徴的な音の立ち上がり、歌の子音の発音具合を細部まで聴くことができました。と同時に、従来の同サイズのTDシリーズより高域も低域も伸びているように感じます。スタジオでは限られた周波数帯域でも音が立って聴こえるかを確認するのに、必ずミックスを小さなスピーカーでも聴きますが、本機ならその際にもディテールが分かりやすく、判断を誤らないと思います。コンパクトでパワード・タイプなので、持ち運びが容易な点も、スタジオを転々と作業する際のリファレンスに便利だと思いました。

最初は27インチ・ディスプレイの両端、幅65cmほどで設置し、壁から80cmほど離しましたが、壁の反射音との干渉があったので、耳を頼りに調整した結果、筆者の環境では壁に1cmまで近づけた方が影響は少なくなりました。さらに左右の間隔を離して、120cmほどにしたところ、見事にピントの合ったシャープな音像定位と素晴らしい空間再現性を得られました。

実際に制作のモニターとして使用してみましたが、多くの楽器の入り混ざった、レベルが張り付いた音源制作においてもその内容が把握しやすいです。特にEQやコンプ、また空間エフェクトの量の調整がしやすい印象で、これにより行き過ぎたエフェクトを防ぐことができます。コンプレッサーなどで意図的に付加したパチっという速いアタック音も、スピーカーの共振によって原音に無い余計な音を付帯してしまうことがなく、非常に作業しやすく思いました。

TD-M1はAirPlay対応などに見られるように、機能的にはリスニング・スタイルを問わないモデルですが、モニター・スピーカーとしても空気感や演奏のディテールを正確に聴き取れ、正しく判断することができます。クリエイターにとって、小音量でも分析的に聴くことのできる、高解像度モニターとしての性能を有した製品です。

 

▲端子部(Rch)。電源入力、AUX(ステレオ・ミニ)、USBA(iPhone/iPod Touch用)、USB B(コンピューター用)、Lchへの出力ケーブル(ステレオ・ミニ)、アンテナ入力

▲端子部(Rch)。電源入力、AUX(ステレオ・ミニ)、USBA(iPhone/iPod Touch用)、USB B(コンピューター用)、Lchへの出力ケーブル(ステレオ・ミニ)、アンテナ入力

 

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2014年2月号より)

ECLIPSE

TD-M1

131,250円(ペア)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪周波数特性:70Hz〜30kHz ▪定格出力:20W(THD=0.1%)片チャンネル駆動時 ▪高調波歪率:0.08%(10W出力時、1kHz) ▪SN比:90dB以上 ▪分離度:60dB以上 ▪入力感度:900mVrms(20W出力時) ▪外形寸法:155(W)×242(H)×219(D)mm(スピーカー単体) ▪重量(ペア):5.3kg ▪付属品:保護ネット×2、ACアダプター、電源ケーブル、アンテナ

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