「WALDORF Rocket」製品レビュー:オシレーターで多彩な音作りが行えるドイツ製テーブルトップ・シンセ

WALDORF Rocket

REVIEW by H2 2013年7月15日

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WALDORFと言えばウェーブテーブル式のシンセをイメージする人も少なくないわけですが、Rocketはノコギリ波と矩形波から音を作るオーソドックスなタイプのシンセです。しかしWALDORFのやることですから単純に焼き直しをするつもりは無いようであります。

2つのツマミでさまざまに音色変化
擬似8ポリで和音っぽいサウンドも

ボディは、プラ成形ボディとアルミ・ダイキャスト・パネルの組み合わせで、適度な重量と頑丈さを確立してます。デザインは同社のMicrowave XTなどでもおなじみ、アクセル・ハートマン氏によるもので、マット・ブラックのパネルに浮き出るような文字が、良好な視認性と近未来感を醸しだしてます。ちなみにドイツ製であります。

入出力関連で目につくのがUSB端子。パソコンやAPPLE iPadと接続してのコントロールができるのはもちろん、電源もUSBを介して供給です。なのでスマフォなどでおなじみ、汎用USBポートを持つ電源アダプターが付いてきます。iPadユーザーは専用アプリを入手することで、iPadからのコントロールや音色保存も可能です。

パネルはシンプルですが、驚くほど多彩な表現力を持っています。その要となるのはオシレーター・セクションに用意された波形選択スイッチ、WaveとTuneツマミの3つで、それぞれがどこの位置にあるかで主に波形を変化させるのです。まずは矩形波を選択し、Waveが12時、Tuneが左いっぱいなら普通の矩形波に。Waveを左に回していくとパルス幅が変化し、左いっぱいで音は出なくなります。反対に12時から右方向ならLFOによるパルス・ワイズ・モジュレーションで、ツマミの位置で変調速度が変化。Tuneを加えると、12時から左でデチューン、右だと3度やオクターブ上など違うピッチの音が加わります。

今度はノコギリ波。12時で素の波形、左に回すとSyncモードに入り、隣のTuneでのSyncスタート位置との組み合わせでギュンからギョ〜〜ンって感じのスウィープ音まで幅広く変化させることができます。Waveが12時から右だと最高8つまで波形を重ねられるモードになり、Tuneにより重ねた波形同士のデチューンが可能。12時から右は矩形波同様異なるピッチを加えます。圧巻は両方のツマミを一番右にした場合、8音擬似ポリモードに! 擬似的なポリフォニックではありますが、コードの刻みなどには重宝します。

勘の良い方はお分かりかもしれません。Rocketは8つのデジタル・オシレーターを持っているのです。しかしフィルターはアナログにこだわりたい。8ポリとするにはフィルターなど全部で8個用意しないとならないし、サイズやコストに反映してしまう。ということで見かけはモノにし、デチューンやSync、LFO(パネルのLFOとは別物)、ポリ演奏など必要に応じて裏オシレーターに活躍してもらうという合理的作戦に出たわけですね。

 

アナログのマルチモード・フィルターや
アルペジエイターも装備

さて、アナログ・フィルターはローパス/バンドパス/ハイパスのマルチモードを滑らかなカットオフで使えますから、多彩なオシレーター波形を大きく変調させるのに十分な役割を担えます。外部信号も入力できるのでエフェクトとしても強力なツールに。自己発振も可能なので試しにドラム系の音を作成したところ、野太い音を即時に響かせることができました。このとき重宝したのがパネルにあるBoostスイッチ。チューブ系の温かいひずみが得られ、一度使ってしまうと外せなくなるほど病み付きになること請け合いです。

オシレーターとフィルターのマッチングは総じて見事で、薄くデチューンとパルス・ワイズ変調を組み合わせた極太ベースはとてもナチュラルな質感ですし、カリっカリっのSyncサウンドなど、10万円以上の機種と比較しても何ら遜色の無い出音と働きをしてくれると思いました。あるいはROLAND TB-303系のサウンドが欲しい人にもお薦め。内蔵アルペジエイターの有機的パターンを使うと自動的にグライドがかかりミョ〜ンとなる辺りはTBを意識したものだと思いますし、RocketはTBの代用以外にも使えますからね。

安くて、簡単で、コンパクトで、頑丈で、音が良くて、フィルターがエフェクトとして使えて、いざとなったら(多少の制約はあるけど)和音も出せるという、メーカー泣かせのリクエストに応えてくれたのがRocketだと思いました。

 

▲リア・パネル。左からMIDI IN/OUTとその間にMIDI chセレクト・スイッチ、USB端子(電源&MIDI)、オーディオ・アウト(フォーン)、VCFイン(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)

▲リア・パネル。左からMIDI IN/OUTとその間にMIDI chセレクト・スイッチ、USB端子(電源&MIDI)、オーディオ・アウト(フォーン)、VCFイン(フォーン)、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・ミニ)

 

 

サウンド&レコーディング・マガジン 2013年8月号より)

WALDORF

Rocket

42,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】
▪オシレーター波形/矩形波、ノコギリ波 ▪フィルター/ローパス、ハイパス、バンドパス ▪外形寸法/185(W)×65(H)×185(D)mm ▪重量/1.25kg ▪付属品/USBケーブル、ACアダプター、Wal dorf Edition LE(登録カード)

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