電池駆動に対応するトップ・アドレス型単一指向コンデンサー・マイク

RODE M3

REVIEW by 山本哲也(anonymass) 2007年10月1日

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10年ほど前、RODEのマイクを初めて使ったのは、確かコンデンサーのNT2だったと思います。それまで、コンデンサー・マイクはダイナミック・マイクに比べて値段も高く扱いもシビアで、個人所有というと一部のプロ以外にはなかなか難しい状況でした。しかしNT2の登場はコンデンサー・マイクを一気に身近にし、自宅録音でもダイナミック・マイクと使い分けることを可能にしました。そのRODEから、定評あるNTシリーズよりもさらに手ごろなコンデンサー・マイクM3が登場しました。

ずっしりとした金属製のボディを採用
ローカット/PADスイッチも搭載

黒いカラーリングが施されたM3。アルミと思われる金属製のボディは削りだしで、ずっしりしていて作りもいい感じです。指向性は単一で、ダイアフラムが上を向くトップ・アドレス型。周囲からノイズが回り込みやすい自宅録音でも扱いやすいでしょう。また、ドラムのトップやボーカル用マイクに使うこともできると思います。

フロント側にはスイッチがあり、下からミュート、ローカット・オフ、同オンの3段階。本機はファンタム電源(24〜48V)だけでなく9V電池でも駆動できるのですが、ミュート時にはバッテリーの電源をオフにできます。ローカット・フィルターは80Hz/−12dB/octです。さらに、マイク下部の内部には電池ケースとPADスイッチがあります。PADはオフ/−10/−20dBの3段階です。

付属品は、マイク・ホルダー、ウインド・スクリーンと、これらも含めて収納できる樹脂製ケース。外に持ち出すときに重宝しますし、自宅に置いておく場合の湿気対策にも便利でしょう。

コンデンサーならではの高域の伸びと
ダイナミック的な扱いやすさ

さて、肝心の音を聴いていきましょう。まずはボーカルから試してみます。マイクプリとしてMACKIE. Onyx・800Rを使い、軽くリミッターをかけた後DAWに録音。今回、普段使っているマイクとの厳格な比較はできなかったのですが、結果はちょっとびっくり!なくらいいい感じです。オケの中でも埋もれず、ちゃんと真ん中にいてくれます。ダイアフラムの口径が小さいためか、やや音像が小さく感じられるのですが、その分ミックスでまとめた形に近い感じで録音できると思いました。続いてアコースティック・ギターでも試したのですがやはりボーカルと印象は同様。周波数特性は、ラージ・ダイアフラムのモデルほど低域は出ていませんが、高域の伸び方にコンデンサーらしさが出ています。

ここまではファンタム電源でのテストだったのですが、さらにアコースティック・ギターで電池駆動に変えて録音してみることに。そうするとかなりの変化がありました。具体的には音像が一段上にシフトしたような、抜けの良さが出てきたのです。この音色の傾向を把握して、状況に合わせて使い分けるのもいいと思います。EQで補正すると位相が崩れたりしますが、その問題も気にせずに音作りができそうです。

また、ドラムの録音にもトライ。しかもスネアの表側にオンで立ててみたのですが、PAD無しでも問題なく使えました。ダイナミック・マイクが不得意とする繊細なタッチもきちんととらえてくれます。ただし、指向性はダイナミック・マイクより広いのでカブリも大きくなります。特に低域が気になるのですが、そこはローカットを積極的に使っていけば大丈夫でしょう。リハーサル・スタジオにあるマイクと本機があれば、さまざまなバリエーションでドラムも録音できそうです。

一通り録音してみての感想は、価格からは想像もできないくらいいいです。コンデンサー・マイクらしい音質とダイナミック・マイクのような扱いやすさを兼ね備えています。これまでもコスト・パフォーマンスの良さとそれに見合った性能で期待を裏切らなかったRODEならではの製品だと感じました。今回は1本でのテストだったのですが、初めてコンデンサー・マイクにチャレンジするという人も、1本と言わずにステレオ対応で2本同時に購入するのもいいかもしれません。ペアでドラムのトップやアンビエンス、ピアノなど、いろんな使い道ができると思います。さらに、電池駆動を生かして屋外に持ち出してのフィールド・レコーディングに使うのも面白そうですね。僕の作業場にも欲しいな〜。もちろん2本で。

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▲本体内部。上はPADスイッチ(−20/−10/0dB)で、下が9V電池(006P)用ボックス(電池は別売り)

RODE

M3

オープン・プライス(市場予想価格/11,800円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/単一指向
■周波数特性/40Hz〜20kHz
■ローカット・フィルター/80Hz(12dB/oct)
■出力インピーダンス/200Ω
■感度/−40dB(±3dB)1V/Pa@1kHz(6.3mV/Pa@94dB SPL)
■等価ノイズ/21dBA SPL(A-weighted/IEC651)■最大出力/+9.22dBu(1%THD、1kΩ負荷)
■ダイナミック・レンジ/121dB(IEC651)
■最大入力音圧レベル/142dB(@1kHz、1%THD、1kΩロード時)
■SN比/73dB SPL(@1kHz、1Pa)
■バッテリー寿命/200時間以上
■外形寸法/33(φ)×225(H)mm
■本体重量/390g
■付属品/樹脂製キャリー・ケース、ウインド・スクリーン、マイク・ホルダー

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