40年以上の歴史を誇るコンデンサー・マイクC414の最新型2機種

AKG C414B-XLS & XLII

REVIEW by 速水直樹(湾岸音響) 2004年10月1日

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はやり廃りの激しい録音現場において、その姿を見ないことはないと言っても過言ではないほど広く定着してきたマイクロフォンAKG C414シリーズ。1962年にその原型とされるC12Aが発表されて以来、40年以上も姿を消すことなく常に現役でいたこのシリーズに、新機種の登場であります。1993年のマイナー・チェンジを除けばC414B-ULSの発売から、実に18年ぶりのニュー・モデルと言うんですからただ事ではありません。しかも同時に2機種です。その名もC414B-XLSとC414B-XLII。日本に届いたばかり、できたてほやほやを紹介いたしましょう。

徹底したノイズ対策でさらに高音質化
内部ショック・マウント構造も採用

まず外観ですが、大きくなりましたね。これは旧機種の使い回しではないことを強く我々に訴えかけています。もちろんサスペンション・ホルダーも専用設計。ロゴ・マーク側に指向性の切り替え、背面にハイパス・フィルターとパッドを装備している辺りの操作性は今までと変わりませんが、指向性にワイド・カーディオイドが追加され5パターンになり、パッドのレベルは従来の0、−10、−20dBの3段階から0、−6、−12、−18dBの4段階へ、ハイパス・フィルターも0、75、150Hzの3段階から0、40、80、160Hzの4段階へ変更。選択された内容はそれぞれに付けられたLEDで確認可能と、パフォーマンスが著しく向上しているのが見た目にも確認できます。すべてが新しく生まれ変わっているんですねえ。切り替え方も、これまではカチカチッとスイッチをスライドさせて切り替えていましたが、新たに外来ノイズや湿度変化の影響を受けにくい低インピーダンス電子スイッチ回路を採用。LEDの上に付いている矢印を押すと、10秒ほどかけて設定が完全に切り替わります。さらにマイク・ケーブル1本でリモート・コントロールにも対応できるようになったという素晴らしさですよ。これでコントロール・ルームに居ながらにして、マイクの設定を即座に変更することができるんですねえ。ワタシ、ますます動かなくなって太ってしまいます。ちなみにこのリモート・コントローラーは年末に発売予定だそうです。

続いて内部に目を向けていきますと、今回のモデルは2機種とも出力にトランスレス回路が採用されています。オール・メタル・シャーシに高品位な実装部品の採用で、ここでもノイズや湿度などの環境変化の影響を受けにくくデザインされ、温度変化−10〜+60℃、湿度95%などという環境下でも信頼性を発揮してくれるという頼もしさであります。自己雑音も従来比−6dBと良くなっています。技術革新のたまものですね。

振動ノイズ対策も怠っておりません。今まではダイアフラムが本体に2点で固定されていたのですが、新モデルではゴムを使って4点から支持するエラスティック・サスペンションを採用。クモの巣にかかった獲物のような状態を想像してみてください。これにサスペンション・ホルダーを併せて使うことで、振動対策は万全であります。

旧機種よりも芯がはっきりした印象
状況に合わせてさまざまな設定が可能

ではお待ちかね、実際に音を拾ってみましょう。ファンタム電源を送ってみると、それぞれのLEDが緑色に光ります。いいですね。指向性切り替え部には2カラーLEDを使っていて、なんとマイク出力がオーバーロードする2dB手前で赤く点灯する仕様! 芸が細かいです。

初めにスティール・パンのオーケストラ・セッションで試してみました。30人近いメンバー、40台以上のドラム缶が立ち並ぶ中で、キャラクターの豊富な指向性が大変役立ちました。スーパー・カーディオイドでリード奏者をオフ気味に狙ってみたり、新規追加のワイド・カーディオイドにして少人数のセクションを録ってみたり、数人を輪にして中央から無指向性で録音するなど、どちらのマイクも優れたパフォーマンスで作品に貢献してくれました。感度の向上、134dBのダイナミック・レンジはダテではなく、演奏の表情をリアルに伝えてくれます。

続いてボーカルの録音では、両機種を正面に立てて、質感の違いをチェックしてみました。この2種のマイクの大きな違いはダイアフラムにあるそうで、XLSの方がXLIIに比べるとフラット。旧機種よりも芯がはっきりした印象で、ドラムのアンビエンスやパーカッション・セットを録音するのに効果が期待できそうです。XLIIはややエッジの効いたキャラクターに仕上がっているので、アンサンブルの中でほかよりも際立たせたいパートに使ってみるといいかもしれません。ボーカルはもちろん、アコースティック・ギターのストローク、ベースのスラップなど、比較的音源を選ばずに使っていけそうです。マッチングされたステレオ・ペアも用意されているので、2本買うならこちらがオススメですね。ウィンド・スクリーン、ポップ・フィルター、サスペンション、ハード・ケースといった付属品も充実しています。

状況に合わせていろいろな設定で幅広く使えそうな新しいC414B。とても扱いやすいマイクに進化しています。ぜひこれからの録音で使っていきたいマイクであります。

AKG

C414B-XLS & XLII

C414B-XLS:165,900円
C414B-XLII:176,400円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

●C414-XLS、C-414-XLII共通
■周波数特性/20Hz〜20kHz
■感度/23mV/Pa(−33dBv)±0.5dB
■SPL/140dB(PAD=0)
■SN比/88dB
■インピーダンス/200Ω以下
■外形寸法/50(W)×160(H)×38(D)mm
■重量/300g(本体)
●ステレオ・ペア・セット/C414B-XLS/ST(367,500円)、C414B-XLII/ST(388,500円)

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