コスト・パフォーマンスに優れたアナログ・モデリング・シンセ

NOVATION A-Station

REVIEW by 長嶌寛幸(DOWSER) 2002年2月1日

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NOVATIONと言えば、13鍵MIDIキーボードのMM10から会社をスタートさせ、1Uラック・シンセのBass Station、そしてアナログ・モデリング・シンセの決定版Super Novaシリーズを発表し、プロ、アマを問わず圧倒的な支持を得ています。常に筆者の”欲しい物ランキング”の上位にあるのですが、なかなか予算が……。で、この新発売のA-Station、見たところBass StationとSuper Novaシリーズのハイブリッドっぽい感じでお値段はグッとリーズナブル。さて、その実力は?

実用的なシンセ音を網羅し
多彩なエフェクトも装備

まずはスペックをざっと見てみましょう。
●8ボイス・ポリフォニック(マルチティンバーには非対応なので、”ch1はベース、ch2はパッド”とかはできません)
●3VCO、1VCF(−12/24dBのローパス)、1VCA、2EG、2LFO(MIDIシンク可能)
●MIDIシンクが可能なアルペジエイター搭載
●6系統のエフェクト(リバーブ、コーラス/フランジャー/フェイザー、ディレイ、ディストーション、オート・パン、ボコーダー)を搭載(6種類同時に使用可能です!)
●外部インプットを使用して、ボコーダーでのロボ声やフィルターでの変調が可能
●MIDIシンク可能なアウトプットEG
●400プログラム(うち200はファクトリー・プリセット)
……と、なかなかというか、これはもう本格派と言って良いでしょう。テクノ・クリエイター御用達のメーカーだけあって、アルペジエイター、ボコーダー、アウトプットEGといった”使えそうな”機能はバッチリ入っています。

早速プリセットを聴いてみます。NOVATION御家芸のテクノ系プログラムはもちろん、雄大なシンセ・パッドやシンセ・ブラス、ファットなシンセ・ベース、抜けの良いリード、アルペジエイターやエフェクトをうまく使ったFXまでと、実用的なシンセ音が網羅されているのにビックリしました。もっとテクノだけに特化されたシンセだと思っていたのですが、これはうれしい誤算。もちろんバキバキのテクノものの音も満載です。全体的にソリッドな印象の音で、オケの中で埋もれてしまうことはないでしょう。

ダブル・オシレーター機能で
実質6オシレーターを実現

音を作ってみようと思い、ツマミをグリグリ動かしてみました。1Uのスペースによくぞ詰め込んだというぐらいにツマミが付いていますが、それでも”狭くてエディットできな〜い!”という感じはありません。EGやLFOなどのアマウントはツマミのセンターを中心に+/−方向に変わるので、センター・クリックがあればなお良かったと思います。

また、本機のオシレーターは他のアナログ・モデリング・シンセと少し変わっています。3オシレーターのシンセの場合、3つ目のオシレーターはサイン波だけでサブオシレーター的な場合が多いのですが、A-Stationではすべてのオシレーターですべての内蔵波形を選択できます。また、”ダブル波形”という考え方で設計されていて、デチューンを1つのオシレーターで行うことができます! とすると実質6オシレーターということで、これはポイント高いです。オシレーター・シンクとパルスワイズ・モジュレーション、それに2つのLFOを使ったシンク・サウンド(ギョイーンというやつです)はなかなか凶暴で、アナログ・シンセの名機SEQUENTIAL Prophet-5をほうふつさせます。

従来のモデリングものでは苦手とされてきたフィルター発振も非常にいい感じです。Super Novaシリーズと違って−12/24dBのローパスのみですが、音作りで特に困ることはないでしょう。Prophet-5もそうですが、アナログ・シンセのフィルターってローパスだけのものが多かったのですから。6系統のエフェクトとアルペジエイターが、それを補って余る働きをしてくれます。エフェクトのかけ方によってはややS/Nが気になってくる場合もありましたが、オケに混ざったときには気にならない程度です。また、シビアなレコーディングの場合には、外部のエフェクトを使用することでこの問題は回避できると思います。

シンセのエディットはほとんどツマミとスイッチだけでできるのですが、エフェクト、FM、ホイール、アフター・タッチ関係のエディットにはテンキーと2桁のLEDを使います。しかしこれがやや分かりにくいのです。例えばディレイ・レベル(Delay Level)は”dL”、ディレイ・シンク(Delay Sync)は”dy”と略字で表記されます。覚えればなんてことないのでしょうが(後は耳で効果を判断)、取りあえずは手元にマニュアルは欠かせません。また、テンキーで”215″と押してプログラムをBANK 2の15番に変えようとすると、LEDは2桁なので、見た目には下2桁の”15″としか表示されないのです。このとき、BANK 2が選ばれていることを示すためにLED自体が2回点滅をするのですが……う〜ん、ちょっと分かりにくいのが残念です。

操作性についてはやや辛口のコメントになりましたが、それというのも本機の出音を高く評価しているからです。上位機種のSuper Novaシリーズは、残念ながら楽器店の店頭でしか触ったことがないのですが、A-Stationの音の感じはまさしくSuper Novaシリーズと同系列で、それがこの価格(店頭価格で70,000円前後のようです)で手に入ることを考えると、なおのこと厳しく見てしまうわけです。”基本はPCMシンセとサンプラーで済むんだけど、テクノっぽくするときにはやっぱりモデリング・シンセものが必要かな〜。でもマルチティンバーで何音も使うような大掛かりなものは必要無いし、予算もかかるしなぁ〜”というプロの方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。もちろんGM音源1台+シーケンサーというアマチュアの方へ、2台目の音源としてもオススメです。Bass Stationのような大ヒットになる予感ビシビシのA-Station、ぜひ店頭で触ってみてください。

▲リア・パネル。左からアウト(L/R)、イン(モノラル)、MIDI THRU、OUT、IN、電源ソケット(DC9V)

NOVATION

A-Station

オープン・プライス(市場実勢価格70,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■内蔵波形/Square、Saw、Variable Pulse、Tri、Sine、Double Saw、Double Tri、Double Sine
■プログラム数/プリセット:200、ユーザー:200
■接続端子/インプット×1(フォーン)、アウトプット×2(フォーン)、ヘッドフォン・アウト×1、MIDI IN/OUT/THRU(各1)
■外形寸法/483(W)×45(H)×125(D)mm
■重量/1.7kg

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