独特の低域特性で宅録に威力を発揮する低価格コンデンサー・マイク

RODE NT1000

REVIEW by 中村文俊 2001年6月1日

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低価格なコンデンサー・マイクが多く出回るようになった現在、その火付け役となったRODEからまたまたコスト・パフォーマンスに優れるコンデンサー・マイクが発売されました。個人的にも今までClassicやNTV、NT2等の同社のマイクを所有してきた経験を生かし、このマイクは果たして使えるのか?という視点から、さまざまな用途でチェックしていきたいと思います。なお評価に当たり比較対象としたマイクは、本機より何倍、いや何十倍も高級なモデルであるということも頭に入れておいてください。

RODEらしい特徴を持った高域
低域は拾い過ぎない傾向

写真を見ても分かると思いますが、低価格の割に外見は高級感が漂っていて、なかなか好印象です。チェックのためスタジオに持って行ったときも、スタッフが値段を聞いて驚いていました。付属品を最小限にして値段を抑え、逆にマイク本体の性能に力を入れているということでしょう。

音質的には、パッと聴いた印象はやはりRODEだな〜と思わせる高音が特徴で、表現は的確でないかもしれませんが、ギラギラとしたイメージがあるように感じました。あくまでも良い意味ですよ! RODEのマイクにはClassicやNT2のころとNTV以降のラインナップとで、音に大きく分けて2つのキャラクターの違いがあると思っている筆者ですが、このNT1000の音質は後者の仲間に入るでしょう。12kHz辺りにピークを持たせたオープン感のある抜けの良いサウンドを持ったClassicよりも、ピークの音域をやや下げ、より音を前に出して高域に芯を持たせる傾向になっています。実際、NT1000は6〜8kHz近辺にピークを持っていて、録音時に抜けを良くするためのEQを行わなくてもいいようになっているのが特徴です。この特徴や値段から想像するに、本機は宅録やプリプロ・スタジオ等をターゲットにしているのではないでしょうか。特に宅録ではこもりがちになる音をうまく補ってくれるでしょう。

低域に関しては、高域が盛り上がっている分薄いかな?と最初は感じましたが、出ていないわけではなく十分に拾っているので問題は無いと思います。逆を言えばClassicやNEUMANN系ほど重低音を拾わないので、宅録において不用意な”ボンボン”という床ノイズ等を拾いにくく、扱いやすいはずです。付属のマイク・ホルダーはショックマウントではないですが、重低音を拾いにくい特性のおかげで通常使用では問題の無いレベルでしょう。ただし、よく鳴るフローリングの床で使用してみて気になる方はショックマウント・ホルダーを別途用意すると良いと思います。

ボーカルはきらびやかに
アコギはザックリした質感

今回は普通のマンションと、レコーディング・スタジオとでチェックしてみました。まずボーカルでは前にも書いた通り、高域がきらびやかな印象です。しかしハイエンドまで伸びているというほどではなく、その辺はClassicやNT2の方に軍配が上がります。一方でClassicやNEUMANN系に比べ部屋自体のノイズを拾いにくいのは先述の通りです。また、マンションの部屋で一般的なハード・ディスク・レコーダーを使った録音を試してみましたが、高音の抜けが良い分EQで音を作る手間も要らず、そのまま録音することができました。逆にスタジオでは、良い意味で若干高域がつぶれる印象がありましたが、ここはヘッド・アンプ等の組み合わせで解消したいところです。中高域辺りにピークのある女性ボーカルでは、そのままピークを拾ってしまいますので、マイクとの距離で工夫するかティッシュ等を巻くようにすれば、良い録音ができると思います。

アコギに使用した場合は、どちらかと言えばきれい系の音で非常に良い印象でした。バッキングではザクッとしたところがうまく表現されるので音が前に出てきやすいし、低域の変な盛り上がりも無くアマチュアでも録音しやすいと思います。アルベジオでも同じ傾向ですが、きれいというよりはザックリさせたいときに有効でしょう。エレキギターの場合もアコギと同じ印象でしたが、若干高域のピークが気になるので、アンプの音作りで解消すると良いでしょう。ただしSPL(最大入力音圧)が140dBあるとは言え、マイク自体にパッドが付いていないので、大き過ぎる音だとヘッド・アンプ側で歪んでしまう危険がある点に注意が必要です。ちなみに、このマイクでエレキギターを録音した音は私のセミナー「宅録マイキングのABC」のWebの5月号分のページにMP3ファイルを用意して、同一条件で他のマイクと比較できるようにしておいたので、参考にしてみてください。

オフマイクでは、ドラムに使用してみましたが、変な空間も無く録音することができ、キックにマイクを追加するなどして低域を補ってやれば、オフの音を中心とした結構良いドラム・サウンドが録音できると思います。

SN比(残留ノイズ)に関しては他のマイクと比べても全然負けない性能を持つこのNT1000。ある種ダイナミック・マイクの延長線上に位置する印象もあり、ダイナミックからの買い足し派の方でも違和感なく使える、この価格では十分!なコンデンサー・マイクと言えます。決してオールマイティなキャラクターとは言えませんが、宅録等でいつもEQで高音を上げている人! そんなあなたに最適なマイクだと思います。

RODE

NT1000

48,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■指向性/単一指向性
■周波数特性/20Hz〜20kHz(±6dB)
■出力インピーダンス/100Ω(50Ωper leg)
■感度/−36dB re 1V/Pa(16mv@94dB SPL)±1dB
■最大出力/>+13dBu(@1kHz、5%THD into 1k(load))
■ダイナミック・レンジ/>134dB(A-weighted、per IEC268-15)
■最大SPL/>140dB(@1kHz、5%THD into 1K(load))
■SN比/>88dB(A-weighted, per IEC268-15)
■重量/682g(マイク本体)
■外形寸法/55(φ)×210(H)mm
■付属/専用ソフト・ケース、M2スタンド・マウントおよびマイク・ホルダー

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