バッテリー使用も可能な高性能コンデンサー・マイク

RODE NT3

REVIEW by 鎌田岳彦 2000年9月1日

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ローコストながら、今まで驚きのスペックのマイクを提供してきたRODEが、今年2000年に発表したNT3。この辺りの価格帯が当たり前になって来ちゃったのか、数年前にはとても考えられなかったようなすごい価格での登場です。過去のNTシリーズの印象とも比較しながらNT3の実力の程をチェックしてみましょう。

スタイリッシュな
コンデンサー・マイク

最初に外見から見ていきましょう。今までのNTシリーズよりも、グンと細身で長身なスタイル! 仕上げも、シャンパン・ゴールド系(最近流行りなのかな?)の洒落た色合いと手触りです。重量感もなかなかあり、価格からは想像がつかないような高級感のある、綺麗な仕上げになってます。マイクの外見というのは結構重要で、ミュージシャンや歌い手の人たちは、セッティングされたマイクに向かって演奏したり歌ったりするわけです。”いい音しそう”なスタイルのマイク(顔つきのいいマイク)は、それだけで演奏や歌に集中できますからね! そういう意味で、このマイクは、NTシリーズの中でも一番スタイリッシュなモデルと言えるでしょう。

また、NT3の特徴は、今までのNTシリーズとは多少異なります。指向性の向きは、ダイナミック・マイクや細身のコンデンサー・マイクなどの多くのタイプと同じ向きで、マイクに対して直線的方向になっています。つまり、このマイクを使うときは、楽器や歌い手に対して垂直にセッティングをします。そして最大のポイントは、バッテリー(9V)でも使うことができる設計になっている点です。ファンタム電源が使えない状況でも、自在に使うことができるのですからね。あとは、NT1と同様に指向性、パッド、ローカットなどの回路を一切省略したシンプルな設計ですが、SPLが140dB以上とスペック・アップしていて、今まで以上に過大入力にも対応しています。

明るいトーンで
ガッツのあるサウンド

それでは、実際にマイクの音を聴いてチェックしてみましょう。今回は、一般的にもよく知られているNEUMANNのU87Aiと比較しながらチェックをしてみました。たまたま、今回の比較対象マイクも新品で使い始めて間もなく、ユニットや各パーツの経年変化も無いので、チェックにはちょうど良かったです。

まず、マイクを使ってみて最初に感じたのはSN比の良さです。実際には、U87Aiとの出力差、4〜6dBの差があるので(2本のマイク本来のSN比だけじゃなく、マイク・アンプのSN比も加算されてしまうので)、NT3の方が分が悪いのですがね……。

それでは、スタジオのスタッフに協力してもらって男性/女性のストレート・トークをチェック! 思いのほか、違いがはっきり出ました。全体的にNT3の方が抜けが良く、明るいトーン。特に女性の声にはいい結果が出ましたが、”サシスセソ”が少々強調気味になる傾向があります。近接効果もU87Aiよりは少なく感じました。ただ吹かれには弱く、極オンマイクでのセッティングには、ウインド・スクリーンなどの工夫が必要でしょうね。また、ウイスパー・ボイスのチェック(極小音量のチェック)で気付いたのは、スーパー・ロー(空調や足などのノイズ)はNT3の方が拾っていたこと。スピーカーのウーファーが、ゆっくり動いちゃうほどの低音もしっかり感知してしまうのには驚きました!

次に、アコースティック・ギターでチェック! 先ほどのストレート・トークと同様の結果が出ました。カッティング、アルペジオは共に抜けがよく、ガッツのあるサウンドです。ただ、実際の楽器以上に元気な音になるので、生の音をそのままの雰囲気で収音したいときにはちょっと不向きですが、音楽的にはまとまったサウンドなので、イコライザーなどで無理な加工をしなくとも、マイク・アレンジだけで結構出来上がっちゃうことは多いかもしれません。

これまでのチェックの感想としては、女性ボーカルが思った以上に良い結果が出たと言えます。特にパンチのあるメリハリの効いた歌には、特に存在感あるサウンドで、U87Aiよりも音場がより近く感じられました。思ったほど個性的なカラーにはならず、抜けの良いサウンドが得られます。

さて、最後にバッテリーで駆動させて聴いてみました。バッテリーの方が音がいいかも? 1本のマイクで聴き比べたので、微妙なところまで詳しくチェックすることができなかったのですが、全体的に今までのNTシリーズのマイクよりもスタイル同様、個性的でキャラクターのあるマイクだと思いました。参考までに、電池の寿命は400時間(アルカリ電池9V)とのことです。スイッチさえ切り忘れなかったら、1年以上は持ちそうですね!

このマイクは、電池でも使えるし、ファンタム電源の付いていないコンソールや、ポータブル・マシンでの録音にも使えるので、より多くのユーザーにコンデンサー・マイクの門を開いたことになりますね。コスト・パフォーマンスは言うまでもありませんが、より多くのシチュエーションにも対応できるNT3。RODEのラインナップに、新しいコンセプトが展開することでしょう。

RODE

NT3

28,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■タイプ/コンデンサー
■指向性/ハイパー・カーディオイド
■周波数特性/20Hz〜20kHz
■出力インピーダンス/200Ω
■ノイズ・レベル/17dB
■感度/−39dB re 1volt/pascal(12mV@94dB SPL)+/-2dB
■最大SPL/140dB
■電源/P48-P24-P12ファンタム電源、9Vバッテリー
■外形寸法/約30(φ)×260(H)mm
■重量/375g

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