24ビットAD/DAを搭載したデュアル・エフェクト・プロセッサー

LEXICON MPX500

REVIEW by 宮原弘貴(デジタル・マグネット) 2000年7月1日

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LEXICONといえば、224XLや480L、PCMシリーズといったスタジオ御用達のハイ・エンド機のイメージが強いのですが、今回紹介するMPX500は、PCMシリーズの流れをくみながら、低価格を実現したエフェクト・プロセッサーです。早速その実力をチェックしていきましょう。

240のエフェクト・プリセットを
独立2系統の信号に使用可能

本機は、完全に独立した2系統の信号を扱えるデュアル・エフェクト・プロセッサーで、AD/DAコンバーターには24ビットのものが採用されています。またS/P DIFの1系統のみですがデジタルI/Oも装備されており、DAWやデジタル・コンソールとの接続など、デジタル環境での使用に威力を発揮するでしょう。

エフェクト・タイプは、リバーブがホール/ルーム/プレート/ゲート/チェンバー/アンビエンスなど、ディレイは最大5.5秒(モノ)の6ボイス・マルチタップ・タイプ、そのほかにモジュレーション系としてコーラス/フランジャー/ロータリー/トレモロ/ピッチ・シフターなどを備え、計240プリセットとなっています。

フロント・パネルはスイッチやノブが比較的少なくシンプルな印象ですが、4つあるパラメーター・ノブと大きめのディスプレイが目を引きます。最近の製品のユーザー・インターフェースの優秀さにはとても感心させられますが、本機にもその様子がうかがえます。

リア・パネルには、まずアナログ入出力としてXLR端子のステレオ(バランス)I/OとTRSフォーン(バランス/アンバランス)のステレオI/Oがあります。一方、デジタル入出力としては先述のようにRCAピン(コアキシャル)のS/P DIFを装備。アナログ入出力時の+4/−10dBの切り替えスイッチなどはありませんが、入力レベルはフロント・パネルのインプット・トリムを絞り切った状態で+4dB、フルの状態で−10dBとなります。また、出力レベルもシステム・パラメーターで+4/−10dBの切り替えができるので問題ありません。リアにはその他にMIDI IN、OUT/THRU(システム・パラメーターで切り替え)、フット・スイッチ端子が装備されています。なお、フット・スイッチでは、エフェクトのバイパスやタップ・テンポを外部からコントロールすることが可能になっています。

リバーブ・プログラムは
“さすが”という印象

では、音質やプリセットの音色をチェックしてみましょう。今回は、コンソールにアナログIN/OUTで接続してチェックしました。最初にシングル・プログラムのプリセットを聴いてみましたが、やはりリバーブのプログラムは”さすが”という印象です。どのリバーブ・タイプでも残響成分がキメ細かく、減衰部分もとても自然な感じです。プレートは広がり、奥行き感共に申し分なく、特にボーカルやストリングスなどに合うと思います。ルームやアンビエンスも打ち込みのリズムや、ラインのエレキギターに自然な空気感を付けたいときなどに良いのではないでしょうか。

ディレイの音質もとてもクリアな印象で、マルチタップやクロスフィードバックといった機能によって、シンプルなフィードバック・ディレイからパンニングを含む複雑なものまで、さまざまな効果を作り出すことができます。

モジュレーション系はリバーブ機のオマケといった印象は全く無く、どのプログラムもかなり使えるものになっています。フランジャーなども爽やかな感じから、かなりエグいものまでパラメーターの設定次第で幅広いセッティングが可能です。特に面白かったのがロータリーで、その音色もさることながら、LESLIEスピーカーのFast/Slow切り替え時に起きるタイム・ラグまでも再現されているのにはびっくりしました。このFast/Slow切り替えをうまくコントロールすれば、かなりリアルなオルガン・サウンドを再現できるのではないでしょうか。

オーディオ入力を利用しての
エフェクトのテンポ制御にも対応

デュアル・プログラムは、4つのルーティング方法によって2つのエフェクトを組み合わせたものです。リバーブ/ディレイ、リバーブ/コーラスなどさまざまな組み合わせが用意されており、それらをシリーズ、パラレルなどで接続することができます。もちろん、モノIN/ステレオOUTのエフェクター2台として使うこともできます。ただ、組み合わせるエフェクトに多少の制限があり、同じエフェクトを2つ組み合わせることはできません。

そのほか、本機にはディレイ・タイムやモジュレーションの周期をコントロールするタップ・テンポ機能が装備されていますが、フロント・パネルのタップ・ボタンを押して設定するほかに、オーディオ入力を使用しテンポをコントロールするオーディオ・タップという機能もあります。曲に合わせて演奏して、そのテンポの1拍分のタイムを割り出すというのがノーマルな使い方だと思いますが、音が入力されるたびにタイムが変化するので、複雑なリズム・パターンの演奏や、リズム・ループを入力すると思いがけない効果を得ることができます。ただ、テンポのタイム・ベースが4分音符に固定なのが残念なところです。3連などの設定ができるとさらに面白かったと思います。

では、最後に操作性を見てみましょう。本機は、どのプログラムもパラメーターが最大16個に設定されており、ディスプレイに4つのパラメーターが同時に表示されます。これらをフロント・パネルにある4つのエディット・ノブでダイレクトに操作することができるので、ストレスなくエディットすることができます。また、パラメーターも簡略化されているので、その点でもエディットしやすいといえるでしょう。

全体的に見て、本機のコスト・パフォーマンスは非常に高いと思います。24ビットAD/DAコンバーターの音質も優秀で、自宅スタジオ等のメインのリバーブやレコーディング・スタジオでも、十分通用する製品ではないでしょうか。

LEXICON

MPX500

89,800円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■プリセット数/240
■アナログ入出力端子/XLR/TRS(バランス)
■入力インピーダンス/50k(バランス)、25k(アンバランス)
■出力インピーダンス/<600Ω
■AD/DA変換/24ビット(デルタ、シグマ方式)、20Hz〜20kHz±1dB
■デジタル入出力端子/コアキシャル(S/P DIF)
■サンプリング周波数/44.1、48kHz
■MIDI端子/IN、OUT/THRU
■外形寸法/483(W)×45(H)×102(D)mm
■重量/1.4kg

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