簡単操作で多くの機能を実現するサンプリング・リズム・マシン

KORG Electribe・S

REVIEW by 横川理彦 2000年5月1日

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KORGの新製品ES-1はElectribeシリーズの第3弾で、好評のシンセEA-1とリズム・マシンER-1に次ぐ、リズムに特化されたサンプラーだ。「低価格で、機能をある程度限定しておき、しっかりと遊べる内容にする」というテーマの通り、十分楽しめる仕上がりになっている。

パターン・モードでは
パートごとのエディットが可能

まずは第一印象。外観はこれまでのElectribeシリーズと共通で、パターンやソングの組み方はER-1とほぼ同じ。ER-1では音色はプリセットなのに対し、本機はサンプリングした音を使えるようになっている。デモを聴くと、なるほど、クラブ仕様の軽快なトラックで、随所にディレイ、リバーブ、フィルターなどの飛ばし技が効いている。ここでは一般的な特徴については簡単に述べ、使えるポイントに集中して紹介したい。

サンプル・モードでの作業はとても簡単。スタート、エンド、フェード・アウト(!)などのポイントの設定も容易で、不要な部分のトランケート、音量のノーマライズなども分かりやすい。そしてES-1のサンプリングには、タイム・スライスとリサンプルという2つの面白い機能がある。

1つ目はタイム・スライス。これはリズム・ループのような長いサンプルを自動的に音符ごとに分割する機能だ。分割されるステップ数(音符の単位と数)はサンプルの長さと、設定したBPMによって自動的に判断される。まず、スライスするサンプルを選び(モノラルのみ)、BPMを調整してループが自然になるポイントを探してからスライスを実行すると、ループはステップに分割される。いったんスライスしたサンプルは、あらゆるテンポで個々のステップをON/OFFすることによってループ内の特定の位置の音をON/OFFできるようになる。ただし、1つのパターンの中で使えるスライス・サンプルは1つだけだ。

そして、2つ目はリサンプル機能。ES-1では、サンプルに右上のパネルでさまざまなエフェクトをかけた上でリサンプルすることができる。さらに、このリサンプルはパターンやソングのある部分をサンプリングしたり、リアル・タイムでパネル上で行なった演奏をサンプリングすることも可能だ。これで同時に1種類しかかけられないエフェクトを重ね合わせられる。

パターン・モードでは最大64ステップ、32分音符までのパターンを最大128パターンまで設定でき、50〜75%までのスウィングもかけられる。また、パネル下のステップ・キーとセレクト・キーを併用して最大64個のパターンをセットすれば、リアル・タイムでの切り替えも可能だ。

こうした通常の機能に加えて、パターン・モードではパターンのそれぞれのパート(サンプル×9、スライス・サンプル×1、外部からのAudio In×1)にさまざまなエディットを加えることができる。その種類は、パートごとのエフェクトのON/OFF、ロール、リバース再生、ピッチ、ローパス・フィルター、レベル、パンがある。例えば、各パートに同じサンプルを並べ、それぞれに上記のエディットを加えることで、変化に富んだパターンを作ることができる。

外部オーディオは上記のうちのリバース以外のエディットが可能で、ピッチはゲート・タイムとして働く。外部からギターや歌を入力しておき、オーディオのパターンを組んでゲート・タイムを調節すると、リズムと完全に同期した興味深いパートが出来上がる。

エフェクトはリバーブ/フランジャー/フェイザー/リング・モジュレーター/ピッチ・シフター/コンプレッサー/ディストーション/デシメーター/アイソレーター/レゾナンス・フィルター/ワウの11種類で、それぞれに適切なパラメータが2つのツマミに割り振られている。また、エフェクトとは別系統でパターンのすべてのパートにまとめてかかるディレイがあり、これはBPMと同期させてステップの1/4から8倍まで16段階の設定ができる。

リアル・タイムで使い分けられる
64種のエフェクト

さて、ES-1の最大の特徴になるのはモーション・シーケンスだ。これは、パターン・モードでエディット用のツマミの動きを記録する機能である。パートごとに記録できるのは、ピッチ/フィルター/レベル/パンのうちのどれか1つのツマミの動き、エフェクト、ロール、リバースのスイッチのON/OFFで、パターン全体については、エフェクト2つやディレイ2つのツマミの動きを記録できる。これで、パートごとにパンを動かしたり、サンプルのピッチを変えたり、さらにパターン全体のエフェクトやディレイを連続的に変化させて生き生きとしたパターンを作ることもできる。例えば、外部オーディオ用にモーション・シーケンスだけを組んだパターンをパターン・セットとして登録しておけば、リアル・タイムで64種のエフェクト(MIDIでのテンポ同期も可能)が使い分け可能だ。ライブ・パフォーマンス用の強力なエフェクターにも成り得ると言えよう。

以上、特急で説明してきたが、とにかくES-1はサンプラーとエフェクターをうまく組み合わせたユニークな製品だ。店頭で、ここで紹介した機能をぜひ試してみてほしい。

KORG

Electribe・S

46,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■音源方式/サンプリング
■パート数/12パート
■メモリー容量/128パターン、16ソング
■シーケンサー/パターン:パートごとに最大64ステップ、モーション・シーケンスはパートごとに1パラメーター、64イベント/ソング:1ソング最大256パターン、イベント・レコーディング最大357,000イベント
■インプット/標準フォーン・ジャック
■入力レベル/−10dBu(ライン)、−40dBu(マイク)
■出力レベル/−10dBu
■サンプリング周波数/32kHz
■MIDI/IN、OUT、THRU
■外形寸法/300(W)×55.4(H)×224.9(D)mm
■重量/1.28kg

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