18tr同時再生可能で24ビットAD/DAも備えたミキサー一体型HDR

ROLAND VS-1880

REVIEW by 高井康生(Ahh! Folly Jet) 2000年5月1日

20000501-02-001

単なるミキサー一体型HDレコーダーの範疇に留まらず、大型アイコンを使ったイージー・ルーティングの導入による操作性の向上、マスタリング・エフェクトやCD-Rライターとの組み合わせで、いわゆる「CD焼き」の領域までをユーザーに開放する等、常に競合他社マシンをリードし、進化を続けてきたVSシリーズ。そのフラッグシップ・モデルであるVS-1680が、18トラック、24ビットAD/DA仕様に強化された。今回はVS-1680からの変更点を中心に、現時点での”最強のVS”の実力をチェックしてみた。

“CDR”モードの追加などにより
即座にオーディオCDを作成可能

AD/DA部のスペック・アップ以外では、VS-1880での主な変更点としてはまずはカラーリングが黒を基調としたトーンになり、2tr増設に対応してVS-1680におけるトラック7とトラック8がそれぞれ7/8と9/10のステレオ・トラックとなったことが挙げられる。そして、フロント・パネル右上にあった”バリピッチ”ボタン(本機では”SYSTEM”の階層に後退した)が、CD作成やマスタリングのページへの一発アクセス用の”CD-RWマスタリング・ボタン”になった。なお、筺体はVS-1680と同じ物を流用しているようで、基本的にはVS-1680のグレードアップ・バージョンと考えて良いだろう。

VS-1680ではMTP/MAS/MT1/MT2/LIV/LV2の6種類のレコーディング・モードと、48/44.1/32kHzの3種類のサンプル・レートを組み合わせて音質と録音可能時間を選べる設計になっていたが、本機では先日発売されたVSR-880から登場した”CDR”というモードも新たに選択可能になった。このモードはVS-1880内で作成するオーディオCDイメージ・フォーマットのまま録音/編集を可能にするというもので、データ変換の待ち時間が無く、前述の”CD-RWマスタリング・ボタン”との併用で、必要なときに即座にオーディオCDの作成が可能になる。最初からオーディオCDの制作を目的とする場合は非常に便利なわけだが、このモードではCD-Rに書き込むためのイメージ・ファイル用に内蔵IDEハード・ディスクの空き容量が必要になる。そのため使用可能なトラック数が8trに、また録音可能時間も通常の最高音質モードのMTPに比べて約1/2になるという制約も発生する。しかしこれは従来のMASモードとほぼ同等のスペックなので、「CD-RWとの互換性の良いMASモード」といった解釈で使用するとよいだろう。

24ビットAD/DAの装備により
明らかに向上した高域の再現性

信号処理セクションの20ビットAD/DAから24ビットAD/DAへのスペック・アップによって、音質は確実に向上したようだ。筆者の普段使用しているVS-1680と同条件(レコーディング・モード=MTP、サンプル・レート=48kHz)での比較テストを行なったのだが、特に高域の再現性に顕著に違いが現れた。

この結果から思い出したのが、VS-880からVS-1680に乗り換えたときのこと。あのときも「ずいぶん音が良くなったなぁ」と思ったものだが、「上には上がある」ということだろう。VS-1680の音質が色あせて聴こえてしまい、シラケてしまうというほどの差でもないのだが、こういった部分は最終的な仕上がりを左右するのだろうというのが素直な感想だ。

別売りのエフェクト・ボードVS8F-2が2枚装着可能な点も、VS-1680から継承されている。ボイス・トランスフォーマーや3バンド・アイソレーター等の個性的なプログラムを含むこのボードの、音声加工ツールとしてのポテンシャルの高さはVSシリーズの大きな魅力だ。正直なところ今回のスペック・アップに際して新たなプログラムが追加されていればより”ソソる”マシンになったのだが、その辺は追々ということで期待したい。なお、もし従来機からのバージョン・アップがあるのなら、以前本誌の付録CD-ROMにV-Xpandedへのアップデーターが収録されていたように、ゼヒとも無料でのアップデートを一VSユーザーとしてメーカーにお願いしておこう(アレは本当にうれしかった!)。

さて、最後に本機のターゲットについて。VS-1680からの乗り換えを検討している人は、以上のデータと18tr入力+10ch入力の計28ch入力(最大8tr同時録音)に強化されたフル・デジタル・ミキサー部のスペック等を参考にするとよいだろう。VS-1680を購入予定だった人には、もちろん迷わずスペック・アップ&コスト・ダウンされた本機をオススメする。変わったところでは、制作費で苦しんでいるインディー・レーベルのオーナー辺りにも、自宅マスタリング・マシンとしての使用を提案しておこう。VS8F-2の強力なマスタリング・ツールと本機の編集機能は、あなたのレーベルのタイトルのクオリティ・アップに一役買ってくれるはずだ。

ROLAND

VS-1880

169,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■トラック数/18×16
■最大同時再生/録音トラック数/18/8
■AD変換/24ビット64倍オーバー・サンプリング
■DA変換/24ビット128倍オーバー・サンプリング
■サンプル・レート/32/44.1/48kHz(バリピッチ機能により22〜50.48kHzまで可変)
■周波数特性/20Hz〜22kHz(+0.2dB/−0.2dB、48kHz)、20Hz〜20kHz(+0.2dB/−0.2dB、44.1kHz)、20Hz〜14kHz(+0.2dB/−0.2dB、32kHz)
■インターナル・メモリー/ソング数=各機種別(VS-1880/880/1680/880EX/VSR-880)で200ずつ(各パーティション)
■全高調波歪率/≦0.005%(INPUT SENS:0dB、1kHz、規定出力時、レコーディング・モード=MTP)
■接続端子/SCSI(D-sub25pin)、MIDI IN、MIDI OUT/THRU、インプット1〜2(XLR/バランス)、インプット3〜8(標準/TRSバランス)、ギター入力(標準)、デジタル・イン/アウト(コアキシャル/オプティカル)、AUXセンドA/B(RCAピン)、マスター・アウト(RCAピン)、モニター・アウト(RCAピン)、フット・スイッチ(標準)、ヘッドフォン(ステレオ標準)
■外形寸法/554(W)×109(H)×336(D)mm
■重量/6.3kg(内蔵HD除く)

TUNECORE JAPAN