24ビット/96kHz対応で同期関連機能も豊富な単体16tr HDR

FOSTEX D1624

REVIEW by 原口宏(スパーブ) 2000年5月1日

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FOSTEX D160は安価な16tr単体HDRとして人気だが、いよいよ24ビット・バージョンのD1624が登場した。単体HDRの魅力はやはり「周辺機器との接続における自由度が高い」点にあり、本格的なセットアップのためのI/O周りの充実度が機種選択の基準になることも多い。今回チェックするD1624では、ハイ・ビット化以外にも周辺機器とのデジタル接続環境をより充実させる改良が行なわれているのが注目すべきポイントだ。

D160のキャラクターを受け継ぎつつ
より音楽的なサウンドの24ビット・モード

まずは、D160から進化した主なポイントを挙げてみよう。なお、D1624と同時にリリースされたD824は8トラック・バージョンだが、基本的なスペックはD1624と同等となっている。
■従来の16ビット(44.1/48kHz)に加え 24ビット(44.1/48/96kHz)を選択可能に。ただし96kHz時は8trの録音/再生となる
■WORD IN/OUTを標準で装備
■AES/EBU I/Oカードを装着可能に
■過去の状態に戻れるタイム・ジャンプ機能付きUNDO
■D-Sub9pinリモート端子を装備

では、最も気になる16/24ビットの音色比較から入ろう。予想通り16ビットでは若干荒れ気味だった高域の感じが、24ビットではスムーズで落ち着いて聴こえる。低域も一回り余裕が出る感じだ。しかも元の音源の元気な感じはちゃんと残っている。また44.1/96kHzの比較ではやはり高域の違いが大きく、特に生ギター・ソロなどの撥音楽器の録音で96kHzの方がより繊細に感じられる。

ただし、アナログ・イン/アウトで本機を使った限りでは、録音フォーマットの違いによる音質差は意外に少なかった。しかし、本当に24ビットの恩恵が得られるのは、ミキサーなどの周辺デジタル機器も24ビットで統一できたときだろう。

録音可能なフォーマットが増えたこともあってか、本機では録音ディスクごとに1タイプのサンプリング周波数/ビット数しか選べないようになった。ディスク・フォーマット時にその組み合わせを決定するわけだが、ほとんどの場合24ビットで44.1kHzか48kHzで統一した設定を選ぶだろうから、アマチュアの場合には実用上のトラブルが減るだろう。フォーマットを使い分ける場合は、HDカートリッジを差し替える必要がある。なおADATオプティカルは16/24ビットで44.1/48kHz対応だが、96kHzでは使えない。この場合デジタルI/OにはオプションのAES/EBUボードが必要だ。

WORD IN/OUTを標準装備し
デジタル接続時の自由度がアップ

D160ではオプション・ボードに付いていたWORD IN/OUT端子が、本機では標準装備になった。これは、上記の24ビット化よりも喜ぶべき大きな進化だ。デジタル接続する相手が増えると、必然的にWORD IN/OUT端子が欲しくなる。しかし、これまでは十数万円のシンク・ボードを別途購入する必要があり、思いとどまっていた人も多いと思う。それが本体装備になったのは実に素晴らしい。また、SMPTEのシンク・ボード(TC/SYNCカードの8345)は、完全にプロ用のオプションとなって製品構成としても美しくなった。

パネルのレイアウトなどは、一見大きな変更が無いように見える。しかし各キーのコマンド名もだいぶ違っていて、細かいところでかなり操作法に変更が加えられた。特にSHIFTキーの採用でダイレクトにアクセスするページも増え、操作性が向上している。D160では頻繁に使う必要があるSET UPモードへ入る手順が分かり難かったが、SET UP専用キーが採用されたのもうれしい。

そのほか時計機能が新たに搭載され、録音したファイルの日付と時刻を見ながら過去の編集状態に戻れるタイム・ジャンプ機能付きUNDOも可能になった。もちろんHDの容量をムダにしたくない場合はシングルUNDOも選択できる。また、D160のセールス・ポイントであった「8つのアディショナル・トラック」「WAVファイルでの書き出し/呼び込み」などの便利機能は健在である。

しっかりとした同期関連機能を持っている本機は、自宅録音だけでなくプロのスタジオ・ワークのサブMTRとしても何かと重宝する存在だ。例えば作業上の都合で48trを越えたミキシングが必要な場合では、タイム・コードを供給することで快適なスレーブとして走ってくれる。また、作家の自宅でシンセ類を録音してスタジオのMTRにコンバートする場合でも、3Uラックだけで済むのは大変ありがたい。コンピューター・ベースの録音でも、内部で処理しきれないトラックを本機にコピーして外部でアナログ処理する使い方に便利だ。24ビット対応でAES/EBU I/Oが使用可能になったことで、D1624こそ今もっともリーズナブルで本格的な単体HDRと呼んでいいだろう。

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FOSTEX

D1624

298,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■トラック数/16+8アディショナル(24ビット/96kHz時=8+16アディショナル)
■サンプリング周波数/44.1/48/96kHz
■AD/DA変換/24ビット128倍オーバー・サンプリング、デルタシグマ変調方式
■記録/再生周波数/20Hz〜20kHz(44.1/48kHz時)、20Hz〜43kHz(96kHz時)
■接続端子/インプット1〜8(RCAピン)、アウトプット1〜16(RCAピン)、デジタル・イン/アウト(オプティカル×4+ADATオプティカル or S/P DIF)、MIDI IN/OUT/THRU、SCSI(D-Subハーフ・ピッチ50pin)、WORD IN/OUT(BNCタイプ)、リモート・イン/スルー(D-Sub9pin)、フット・スイッチ(フォーン)
■外形寸法/482(W)×148(H)×381(D)mm
■重量/約7kg(リモート・コントローラー含む)

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