携帯性に優れた高品位な2チャンネル・マイク・プリアンプ

GRACE DESIGN Lunatec V2

REVIEW by 石塚“BERA”伯広 2000年3月1日

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10年以上にわたってレコーディング業界に高性能な製品を送りだしてきた、アメリカはコロラド州のガレージ・メーカーGRACE DESIGN社から、ポータブル性を重視したデザインで、ハイ・クオリティな2chマイク・プリアンプ、Lunatec V2が発売された。携帯性もさることながら、ユニークな性能も備えたこのマイク・プリアンプを早速テスト/検証してみよう。

シンプルな外観からは想像できない
高いスペックと豊富な機能

外観は横幅21cmとハーフ・ラック・サイズより少々広めで、奥行きは突出しているジャック類を抜くと12.7cm。重さは1.1kgで、持ち運び等にも便利な弁当箱サイズだ。パネル周りのデザインも個性が出ており、操作パネルを覆い包む匡体下部には、GRACE DESIGNのロゴとも言える宇宙を感じさせる象形文字が印字されていて、創作意欲をかきたてられる。

この大きさゆえに問題となる入出力端子だが、装備されているのはXLR型バランス入出力端子とRCAピン型アンバランスの出力端子だ。RCAピン端子の装備がありがたいところは、民生機のDATやMD等、RCAピンの端子しか持たない機器に録音する際にもトータル・エフェクターとして使用することが可能になる点だ。必要最低限のラインは十分にパスしている。

さて、Lunatec V2は非常にシンプルなコントロール・パネルの外観からは想像もできないスペックを持つので列挙してみよう。ステレオ・プリアンプ回路(A級動作の回路)、10dBから60dBまで5dBずつのステップで11ポジション可変のゲイン・コントロール、さらに指定したステップ内で10dB可変のトリム・コントロールを装備。また、+48Vファンタム・パワーも供給可能で、入力された信号(−14dB)とPeak(+16dB)を表示する2ポジションLEDも用意されているし、ハイパス・フィルターや、ステレオ・マイキング等で録音する場合に威力を発揮するMSレコーディング・マトリクス機能も装備されている。

特にユニークなのがハイパス・フィルターで、3ポジションのトグル・スイッチで2つの周波数帯のローカット・フリケンシーとオフを選択できる。本体上部の蓋を開けて回路基板上にあるジャンパー・スイッチを設定することで、ローカットのオクターブのスロープを6dBと12dBに設定可能だ。周波数のポイントも、ポジション1(100Hzまたは125Hz)、ポジション2(50Hzまたは75Hz)にそれぞれ設定できる。匡体の蓋はネジ4本で固定されているだけなので、用途によって切り替えるのは簡単だ。

MSモードは、差動方式のステレオ・マイキングでのマトリクス回路だ。これはステレオ・マイキング時、各信号の位相を回路的に調整することでステレオ感を強調するもので、逆にステレオ・イメージを狭めることもできる。この設定も内部ジャンパー・ピンによって切り替えを行なう。

音色は思いのほかファットで滑らか
トータルでかけても好印象だ

最近モバイルという言葉を頻繁に聞くが、本機もモバイル・マイク・プリアンプと言えるだろう。というのも、バッテリー駆動も対応可能になっているのだ。オプションになるが、ECO CHARGE社から出ているバッテリー・システムがあれば、8〜10時間ほど稼動可能だ。私自身もそうだが最近では、ノート・パソコンにPCカード・タイプのAD/DAを挿してレコーディング・システムを組んでいる人も多い。そういった場合には、本機さえあればどこでも録音可能な完全なモバイル・レコーディング・システムになるわけだ。なお、中継車等用に12VDCのモデルも特注可能だ。

さて気になる音色だが、想像していた感じとは、少々違った。真空管を使わないソリッド・タイプということで結構パキッとした音色なのかと思っていたのだが、思いのほかファットで滑らかだ。仕様を見て少々驚いたが、Lunatec V2の周波数特性は6Hz〜250kHzとかなり広い。コンデンサー・マイクで試しに自分の声を拾ってみたところ、常々私は自分の声が低いと思っていたが、つくづく自分の声がキライになった(笑)。どうやら、他の同価格帯のものと比較するとハイ・エンドが気持ち強調されているようである。

また、トータル・エフェクターとしての使い道もなかなかのものだ。2ミックスの素材を通してみたが、歪み感とコンプレッション感はとても良い! 二重マルだ。ピーク・レベルのインジケーターが少々付くくらいまで入れてみたが、印象はかなり良い。過激に歪ませても下品な音色ではなかった。MSモードの印象もなかなか良いが、やはりステレオ・イメージを広げ過ぎると音圧は薄くなる。個人的にはステレオ・イメージを狭めて音圧を厚くする方向での使用が良かった。

結論的に言えば、さまざまなロケーションでの携帯性はもちろん、性能および音質は十分なものだと言えるだろう。個人的な評価はかなり高い。

GRACE DESIGN

Lunatec V2

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■入力/XLR×2
■出力/XLR×2、RCAピン×2
■周波数特性/6Hz〜250kHz
■全高調波歪率/0.0011%(+20dBu out @20dB gain)、0.0011%(+20dBu out @20dB gain)、0.0046%(+20dBu out @60dB gain)
■クロストーク/−109dB
■最大出力レベル/+27dB(バランス)、+21dBu(アンバランス)
■インピーダンス/1,600Ω(入力)、150Ω(出力)
■外形寸法/210(W)×43(H)×127(D)mm
■重量/1.1kg

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