32ビット・デジタル・エフェクター搭載のコンパクト・ミキサー

MACKIE. CFX・16

REVIEW by 山口 保(朝日放送設備) 2000年2月1日

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MACKIE.社から新型の低価格ミキサーが発売された。CFXシリーズというこの新ラインナップでは、基本性能の充実とともに、高品質の32ビット・デジタル・エフェクターを本体に内蔵していることがセールス・ポイントになっている。アマチュアのライブPAなどにも威力を発揮しそうな実力機だ。チャンネル数の異なる3機種(CFX・12/16/20)のうち、ここでは16ch仕様であるCFX・16のレポートをお届けしよう。

9バンド・グラフィックEQほか
豊富な機能を小型ボディに凝縮

入出力端子はパネル面上部に集中させた配置で、結線の確認は容易だ。AC電源は内蔵するタイプで、外付けのACアダプターがゴロゴロすることはない。CFX・16の場合、重量は9.5kgと軽く、1人でラクラク運べる。XLR端子のMIC入力は12chだが、別にLINE専用のステレオ入力を2系統装備。通常、こういったステレオ・フェーダー部は出力送り先やEQが簡略化されることが多く、泣く泣く入力チャンネルをつぶして使う結果になりやすい。しかし本機では、MIC入力チャンネルと同等に全部のAUX出力やグループにも送れて、4バンドのEQまで備えている。これならCDや外部エフェクトなども安心して接続でき、無駄がない。

MIC入力のトリム範囲は−50〜+6dBとワイドな設計。フォーン・ジャックのライン入力も別に備えるが、低インピーダンスのラインものはXLR端子のままでも歪みなく受けることができた。EQは必要十分な3バンドだが、効きが敏感で効果絶大。特にMid EQは、スイープ・レンジが100Hz〜8kHzと他に類を見ないほどワイドなので、ハウリング周波数をサーチすることも容易だろう。入力フェーダーは60mmとストロークが短めながら、設定カーブが絶妙で、見掛けよりも使いやすい。0dB付近の微妙な調整が容易で、大胆なアップ/ダウンが可能、フェード・アウト時もスムーズだ。また、チャンネルごとにインサート端子や、ミュート・スイッチ、ソロ回路、ロー・カット・スイッチなど、親切装備が目白押し。ファンタム電源も送れる。AUX送りは全部で4系統あって、通常はPOSTフェーダーだが、うち2つはPRE/POST切り替えが可能だ。4つ目のEFX-2は内蔵エフェクトへの送りにもなっている。メイン・ステレオOUTには1/2オクターブ9バンドのグラフィックEQを内蔵する。これも入力チャンネル同様にかなり敏感なタイプで、積極的な音作りに使用できる。ヘッド・アンプはマイク使用時のSN比が十分とれていて、大入力にもかなり強い。ロー・コスト機にありがちな低域のヤセやノイズ感、マスター出力段でのクリップがまったく感じられなかった。

MACKIE.社のミキサーには独特のこだわりが随所に見られる。CFX・16はZERO LEVELという入力インジケーターを各チャンネルに装備しているが、これはヘッド・アンプの基準0dBレベルで点灯を始める。通常のピーク表示とは異なってEQ動作には影響されず、ときどき点灯させるぐらいでよい。これをトリム決定の目安にすると便利だ。さらに、各出力ツマミやフェーダーにはUという文字で基準位置を示すユニティ・ゲインの表示がある。各出力をこのポイントに置き、メイン・ボーカルの入力トリムをZERO LEVELインジケーターに従って設定した上で、必要な音量をパワー・アンプのレベルで調整していけば、歪みやノイズ感のない最適なレベルでPAシステム全体を設定できる。経験の少ないアマチュアや、セッティングに時間のない場合にも最大限のパフォーマンスを発揮することができるだろう。そして、この小型機になんとサブウーファー駆動のための超低域モノ出力が装備されていることも見逃せない。75Hz以下を出力する本格設計だ。また、ブレイク・スイッチと呼ばれる、すべてのチャンネルを一斉ミュートできる便利な機能があるのだが、実はここにステレオTAPE IN入力があって、チャンネル・ミュートとともに瞬時切り替えが可能になっている。サブグループ出力とこのブレイク・スイッチの機能を組み合わせれば、録音時のミックス・ダウンにも有効だろう。PAに限らず自宅録音派にも親切な設計だと言える。

16種の効果が選べる32ビットの
デジタル・エフェクターを内蔵

このCFXシリーズの目玉機能とも言える、EMAC 32ビット・デジタル・エフェクターについて紹介しよう。本体内蔵ながら、ステレオ出力の本格的エフェクターで、基本的なリバーブやプレート、ディレイなど、16種の効果が選択できる。メイン・ステレオ出力以外のAUXへも独立で送りボリュームを持ち、演奏者のモニター・スピーカーにもエフェクトを返したい場合に便利だ。個々のパラメーターも2つのツマミでエフェクトごとに調整でき、524msecのロング・ディレイも可能な本格仕様だ。音質的にはやや硬さはあるものの、さわやかな余韻が自然でSNも良く、十分実用になるレベル。ON/OFFのフット・スイッチ端子もあって、1発ディレイのタイミング取りにも便利。内蔵ながら外部への出力端子があるため、入力チャンネルへ戻してやれば音質調整も可能になる。

ミキサーというのは、使用時の基本性能や使いやすさなど、実際に使い込んでみないと分からない点も多い。その点、MACKIE. CFXシリーズは、ロー・コスト機ながら魅力的な製品だ。購入後のユーザーはきっと満足できるに違いない。

MACKIE.

CFX・16

138,000円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■定格出力レベル/+4dBu(MAIN、SUB、AUX、EFX)
■周波数特性/32Hz〜20kHz@+0dB/−1dB(MICインプット〜各アウトプット、TRIM@0dB)
■全高調波歪率(THD)/0.05%未満@+4dBuアウトプット/20Hz〜20kHz(MICインプット〜メイン・アウトプット)
■入力トリム・レベル可変範囲/−50〜+6dB
■イコライザー特性/Low Cut(100Hz、−18dB/oct)、Mono Channel EQ(High:±15dB@12kHz、Mid:±15dB@100Hz〜8kHz、Low:±15dB@80Hz)、Stereo Channel EQ(High:±15dB@12kHz、High Mid:±15dB@3kHz、LowMid:±15dB@400Hz、Low:±15dB@80Hz)、Graphic EQ(9バンド、Q=1.414、ISO octave centers、±15dB@63/125/250/500/1k/2k/4k/8k/16kHz)
■デジタル・エフェクター/レゾリューション:16ビット/2チャンネル、プリセット数:16
■外形寸法/544(W)×399(D)×127(H)mm
■重量/9.5kg

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