驚異の低価格で高音質を実現したマルチエフェクター

ZOOM RFX-2000

REVIEW by 栗原務 2000年2月1日

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プラグ・イン全盛の昨今、ハードウェア・エフェクターが進むべき方向は? それはコスト・パフォーマンスを充実させながら多機能をウリにしたものか、またはチューブ・コンプやマスタリング専用ユニットなどのように、ある機能を特化させ他では出せないクオリティの高い仕事をこなすもの(その分、値段は張るが)のどちらかだろう。このZOOM RFX-2000は、明らかに前者に属する1台だ。さまざまなエフェクトを超低価格で実現した、驚異のマシンである。

高品位なリバーブをはじめとする
48種類の多彩なエフェクトを搭載

“DIGITAL REVERB & MULTI EFFECTS”と銘打たれたこのRFX-2000は、RFX-300、RFX-1000とリリースされてきた同社のRFXシリーズ最上位に位置するモデルである。

試奏に当たっては、まず100種のプリセット・サウンドをざっとチェックしてみた。第一に感じたのは、うたい文句通りの上品なリバーブ効果が再現されていたことだ。この価格帯のモデルの多くは、原音がぼやけてしまうようなモヤモヤしたリバーブを搭載する傾向にあるが、本機では、そうしたイメージはみじんも感じられない。内部DSP処理24ビットというハイ・スペックがその秘密かもしれない(AD/DAは共に20ビット仕様)。ピアノやストリングスなどのサンプルに適応してみたが、原音のクリアさを保ちつつ、リッチな音場を提供してくれた。もちろん、リバーブ専用機と比較するのは酷だが、自宅録音の環境に1台あるとかなり重宝しそうだ(リバーブ系のプラグ・インは、CPUパワーを食うことだし……)。

また、かなりのロング・リバーブも演出できるようになっているのも驚いた。ホールなどの残響をシミュレートするだけでなく、エフェクティブな効果を狙うのにも応用できそうだ。ちなみにこのリバーブ、121種もの異なるセッティングが用意されている。もちろんルーム、プレートなども瞬時に呼び出すことが可能だ。

こうした多彩なリバーブが収められたREVERBバンクを含め、本機には6つのバンクが用意されている。各バンクはそれぞれ8種類ずつのエフェクト(DELAY+REVERBなどの複合系を含む)を装備し、計48種類のエフェクトを搭載している。ざっとその内訳を紹介すると、DELAYバンクには、最大2,972msecのモノラル・ディレイやディレイ・タイムをBPMと音符により設定できる”リズミック・ディレイ”など、EFFECTSバンクにはコーラス、フランジャー、ピッチ・シフターなどのモジュレーション系、SFXバンクには、ボコーダー、ディメンジョン、リング・モジュレーターなど特殊な音作りのためのエフェクトをラインナップ。さらにクラブ系のサウンド・メイクに便利なLo-Fi、ISOLATOR、LPF、BPF、HPFなどを収録したRE-MIXバンクと、マスタリング用のMIXDOWNバンクを持っている。パネル前面のそれら全名称が記載されたツマミとBANKボタンで即座に呼び出し可能で、フィジカル・コントローラーを装備したハードウェアFXならではの即応性を発揮している。

これらの中で特に音作りに活躍してくれそうなのが、フィルター系やLo-Fiのエフェクトだ。それほど過激ではないがレゾナンスも効くので、ブレイクビーツなどを汚すにはうってつけだ。ツマミによる操作が可能という点を踏まえると、ライブ・パフォーマンスや、DJがクラブでプレイする際に利用するのもいいだろう。

また、MIDIで内部パラメーターをコントロールする機能もサポートされている。シーケンサー(もしくはMIDIコントローラー)からのコントロール・チェンジ情報によりミックス・バランスを調節するなんてことも可能だ。もちろん、本機のMIDI OUTをシーケンサーに入力すれば、ツマミの動きをデータとして記録することもできる。さらに、今回はチェックできなかったが、パソコン用のエディティング・ソフトも付属しているという(Macintosh版とWindows95/98対応版)。これを使うと、31バンド・グラフィックEQや20タップ・ディレイなど、パネル面からは呼び出せないEXTRAバンクに用意された8つの追加エフェクトが利用できるようになるそうだ。

専用エフェクトとデジタル出力で
マスタリング用途にも威力を発揮

最後に、先にも紹介したが、マスタリングを目的としたエフェクトについて触れておこう。最近のシーンの状況をいち早く取り入れているのはさすがである。しかし、単に流行りを取り入れたオマケ程度の試みではなく、その姿勢はかなり積極的だ。というのは、デジタルS/P DIF出力(オプティカルとコアキシャルを装備)を用意しているからだ。入力はアナログのみだが、出力サンプリング・レートが44.1kHzであることを考えると、例えば48kHzの2ミックス(DATやAIFF素材など)の44.1kHzコンバート用途などには便利だろう。その際、MIXDOWNバンクにある4バンドEQと3バンド・コンプの直列エフェクト”FINALMASTER”や”COMP・LIM”などを使えば、簡単に音圧を稼ぐことができる。自宅で作った2ミックス素材などに適用するとベストだろう。

入力レベルや各パラメーターの操作もすべてツマミにより感覚的に行なえるのがいい。テストも、CDが登場した初期の時代の作品(このころのは音圧が低い)をアナログで本機へ入力し、デジタルでDATへ接続、モニターしてみたが(ちょっとしたリマスタリング気分?)、音圧がアップした分、やはりこちらの方が断然聴いていて気持ちが良い。EQも簡素ながらツボを得ている。綿密な設定は不可能だし、通すだけで味のある音になるわけではないが、クセのないクリアなキャラクターを再現してくれるところは評価に値するところ。最近では、手持ちのLPライブラリーをCD-Rに焼き個人的に楽しんでいる人も多いようだが、その取り込み時にレベルを整えるのに本機を活用するのもよさそうだ。

ZOOM

RFX-2000

24,800円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

【SPECIFICATIONS】

SPECIFICATIONS

■プリセット・プログラム/616(8エフェクト×7バンク×11キャラクター)
■プログラム・メモリー/100
■サンプリング周波数/44.1kHz
■AD/DA/AD変換:20ビット64倍オーバー・サンプリング、DA変換:20ビット128倍オーバー・サンプリング
■DSP/ZOOMオリジナルZFX-2(24ビット信号処理)
■オーディオ入力端子/マイク入力(フォーン、−56dBm)、L/MONO&R入力(フォーン、−10dBm〜+4dBm)
■オーディオ出力端子/L&R出力(フォーン、−10dBm〜+4dBm)、デジタル出力(S/P DIF、オプティカル&コアキシャル)
■コントロール端子/MIDI IN/OUT/THRU、BYPASS(フット・スイッチ用)
■外形寸法/482(W)×44(H)×115(D)mm
■重量/1.5kg

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