ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「スピーカー・スタンド」

ACOUSTIC REVIVE連載 by 角松敏生、牧野"Q"英司、阪井一生 撮影:北村勇祐 2019年9月24日

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“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回は、スピーカー・スタンドのクロス・レビューをお届けする。

第13回「スピーカー・スタンド」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

スピーカー・スタンドの役目は、スピーカーをしっかりと支えてスピーカー・ユニットのピストン・モーションを正確にすることと、スピーカーからの振動を素早く処理してほかの機材などに振動の影響を与えないようにすることです。スピーカー・スタンドの中には、スタンド自体が共振してしまったりスタンドの素材の癖が強かったりして、スピーカーの再生音に激しい色付けをしたり、位相を乱してしまうものも多く存在します。

ACOUSTIC REVIVEのスピーカー・スタンドは、振動処理に方向性を持たせた画期的な構造。スタンドの上から下にかけて、各素材を徐々に硬度が高くなるよう配置することでスピーカーの振動がスムーズに移動し、支柱内の特殊充填材によって素早く熱エネルギーへと変換され消滅するため、音色的な癖や周波数特性のばらつきのない正確な位相の再生音が実現します。

 

<Price>
●RSS-600:168,000円(2本1組)
天板:200(W)×260(D)mm、底板:260(W)×310(D)mm、高さ:600mm

●YSSシリーズ
▪︎YSS-110HQ:64,000円(2本1組)
高さ:1,100mm
▪︎YSS-90HQ:62,000円(2本1組/上の写真)
高さ:900mm
▪︎YSS-60HQ:54,000円(2本1組)
高さ:600mm
▪共通項目
天板:200(W)×220(D)mm、底板:240(W)×260(D)mm
※高さ、天板寸法、支柱本数などの特注可能(要見積もり)

 

Cross Review

Artist/Producer
角松敏生
TK

<Profile>1981年にデビューし、常に一線で活躍。4月には新アルバム『Breath From The Season 2018』をリリースした。「WAになっておどろう」の作者としても有名。

ダイナミック・レンジが広がる印象で
豊かにきらめきを増す

“とにかく聴いてみてください”とエンジニアの川澄伸一さんにうながされ、自宅スタジオのブースに設置されたシステムを聴いてみて、驚いた。ブース・モニター用に長年聴いてきた小型のGENELECスピーカーを、通常のスタンドとRSS-600に載せ替えた両方を聴き比べ、“これはつまり単純に言えば、スピーカーを載せる台を替えただけだよね?”と、思わず聞いてしまった。それほど激変したからだ。

直近にプロデュースしたばかりの作品を聴いたので、細部にまでその違いを感じ取れた。シンプルに表現するなら、音がたっぷりとするのだ。打ち込みの作品でエッジの立ったトラックを試聴したのだが、そのエッジのデジタル的な角が絶妙に緩和されている。と言っても、こもっているような丸みではない。ダイナミック・レンジが広がる感じで、豊かにきらめきを増す。

以前、AVID Pro ToolsなどのDAWが台頭してきたとき、最終マスターをどこに落とすかということでエンジニア内沼映二さんといろいろ試したことがあった。RSS-600は、24ビット/96kHzの音をハーフ・インチのアナログ・テープに落とし込んだときの変化と似ている気がした。電気的な所作を何一つ加えることなくここまで音が変わることに当初戸惑いを感じたが、スピーカーというのは、物体の振動を空気に伝えるという至極アナログな機器だ。そう考えると“載せる台を替えるだけで音が変わる”というのは自然なことなのだろう。さまざまなスピーカーの個体一つ一つが本来はこういう鳴りをしていたのだ、という発見をさせてくれる。これは“買い”だ

 

 

Recording/Mixing Engineer
牧野”Q”英司
QM

<Profile>都内のプライベート・スタジオを拠点とするフリーのエンジニア。Coccoやアンジェラ・アキ、BUMP OF CHICKEN、スピッツ、MONGOL 800などを手掛けてきた。

低域が締まり定位感が向上
一切の妥協を感じない製品

RSS-600にBAREFOOT SOUND MicroMain 27を設置してチェックしました。これまで使っていた木製のスタンドは、結構な重さだったものの大音量時に少し揺れていたんですが、RSS-600は音を鳴らしているときに本体を触っても、ほとんど振動を感じないんです。これは言わずもがな、モニター音の改善に直結します。

まずは、やっぱり低域が違います。前はちょっと緩いというか、何かもう一工夫したい感じでしたが、RSS-600に替えると200Hzくらいから下がすっきりとする。無くなってしまうのではなく、引き締まるんです。それにより中〜高域がキュッと前に出てきて、定位もバシッと見えるようになります。一膜張っていたのが、取れた感じですね。これはもちろんミキシングにとってもメリットで、部屋の事情などを加味した“予測込み”でやるのではなく、“音がきちんと見えている状態”での音作りが可能になります

大音量時にも音がブレないRSS-600はすごいスタンドですし、製品として一切の妥協を感じないクオリティです。

 

 

Artist
阪井一生
S

<Profile>flumpoolのギタリスト/コンポーザー。2008年のデビュー以来、楽曲リリースや国内外のライブ活動を精力的に行っている。音響機器への感度も高い。

無駄な振動が抑制され
解像度や位相感が良くなる

今回、YSS-90HQを設置したことで、プライベート・スタジオの音の環境が驚くほど変わりました。サウンド・チェックに使ったソースは、自身の楽曲のデモ音源と、聴きなれたflumpoolの楽曲です。音を出してみたところ、まず低域の締まりが格段に良くなりました。これによりキックやベースのすみ分けがハッキリとしたので、低域に音を積んでいくときの迷いが軽減され、あれこれ悩むことなく制作に臨むことができます。

低域のタイトさゆえ無駄な振動が減り、音の解像度が上がったのも特徴です。一つ一つがしっかりと見えてきて、それに伴い中域や高域の位相感も良くなり、音がこちらへとまっすぐに飛んでくる印象。このようにさまざまな帯域が整理されたので、曲作りの際もミキシングにおいてもいろいろな判断が今まで以上にやりやすくなりました

そしてスタジオに高品位なスピーカー・スタンドが設置されていると、部屋が一気にプロフェッショナルな雰囲気に変わると思います。形から入ることも、ときには大事!

 

 

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE スピーカー・スタンド

 

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2018年7月号からの転載となります)

 

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