ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「LANケーブル」

ACOUSTIC REVIVE連載 by 山田ノブマサ、吉川昭仁、大島 su-kei 撮影:川村容一 2019年7月25日

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“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回のクロス・レビューのテーマは、同社LANケーブルのエントリー・モデル、R-AL1だ。

第9回「LANケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

MERGING Pyramix(DAWシステム)におけるDSD 11.2MHzの録音時やPA用デジタル卓のDante規格など、大容量のデータ伝送には従来のデジタル・ケーブルでは対応できず、より多くの芯線が必要になったため、8芯構造のLANケーブルが使われ始めました。しかし既存のLANケーブルではデータの伝送はできるものの、粗悪な導体や絶縁体、シールド、シース素材によって情報が大きく変質してしまいます。

ACOUSTIC REVIVEのLANケーブルR-AL1は、鍛造(たんぞう)製法によって結晶の方向性を電気が流れる横方向に連続させた導体“PC-TripleC”を採用。絶縁体には、一般のLANケーブルが採用する塩ビ素材に対して比誘電率に優れ、圧倒的な伝送スピードを実現するテフロンを採用。シールドにはオーディオ帯域のシールド特性に優れた銅箔を使い、シースにも一般的な塩ビではなくPE(ポリエチレン)を採用。優れた素材と超高精度の構造により、100mを超える長さでも伝送ロスや変質が一切発生しない圧倒的な特性を誇ります。

なお、一般的なCAT7のLANケーブルは自己認証であり、実際の特性と音質的なクオリティは有しておりません。R-AL1の特性はCAT7を優にクリアしており、音質的なクオリティを劇的に向上させることが可能です。

<Price>
R-AL1:18,500円(1m/写真)、58,500円(5m)
※長さの特注可。0.5mあたり5,000円

 

Cross Review

Recording/Mixing Engineer
山田ノブマサ
NY

<Profile>エンジニア。LOVE PSYCHEDELICOやmoumoonの制作では、ミュージシャンとしての手腕も発揮。ジャズのハイレゾ音源に注力したamp’box Lableを主宰する。

音のフォーカスが定まり
立ち上がりの速さが増した印象

R-AL1は、オーディオ・グレードの素材を集めて製作されている。そのため、安価なプラグなどを使ったLANケーブルにありがちな、接触不良によるデータ転送エラーがほとんど起こらない。これはケーブルとしての信頼性の一つに挙げられるし、大量のデータ転送を頻繁に行うプロの現場では絶対条件となる。

自身のスタジオで、ルーターとコンピューターの接続に5mのR-AL1を使い始めてから、データ転送時の渋滞が軽減されたように思える。音質面については、海外から配信されるストリーミング方式のネット・ラジオをよく聴いているが、R-AL1導入以降は音のフォーカスが定まり、立ち上がりのスピードが増したように思う。音のよどみが取れてクリアな音色になり、ダイナミック・レンジが広がり、奥行き感やステレオの幅も増して聴こえるのだ

R-AL1は、その曲の本来の音質を限りなく100%に近い状態で再現するLANケーブルだと思う。ご自身のLANケーブルに満足していない方は試してみてはどうだろう?

 

 

Mastering Engineer/Drummer
吉川昭仁
Y

<Profile>Studio Dede代表。スターリング・サウンドでの経験を経て、自身のSTUDIO Dede AIRでマスタリング・エンジニアとして活動。KANKAWAのドラマーでもある。

位相の乱れが改善され
クリアな低域と滑らかな高域を実現

筆者はDAWシステムとしてPyramixを使っており、今回は専用のオーディオI/Oとコンピューターをつなぐ用途でR-AL1と一般的なLANケーブルを比較しました。11.2MHzのDSDフォーマットでチェックしてみたところ、あらためてものすごい“差”を実感。キャンバスがこれだけ広く、高解像度になればいろいろと見えてくるものですが、最も差を感じたのは高域の痛さと低域のにじみです

一般的なLANケーブルだとチリチリした感じと言いますか、高域にピークを感じます。低域のにじみに関しては、これまで“DSDの特性上、にじみやすいのかな?”と思っていましたが、R-AL1に換えると印象が変化。音の柔らかさを保ちつつ、ピッチを感じさせる帯域からその下のサブ帯域まで、きちんと再生されたのです。また高域も滑らかで伸びやかな音に改善され、ボーカルなどセンター定位のパートも位相がばっちり合うようになりました。先の“にじみ”は、一般的なLANケーブルによる位相の乱れが引き起こしていたのだろうと、あらためて感じた次第です。

 

 

PC Builder/Sound Producer
大島 su-kei
SO

<Profile>音楽機材、ソフト、パソコン・パーツに精通し、多くの著名クリエイターのDAW用パソコンを設計。近年では奥華子、96猫、清水ミチコなどの楽曲制作も手掛ける。

特筆すべきは中域や位相の再現性
シンセの実力を十分に引き出す

今回は7mのR-AL1を試しました。テスト環境は、DIGIGRID DigiGrid DLI(オーディオI/O)+DigiGrid Q(ヘッドフォン・アンプ)とUNIVERSAL AUDIO Apollo 8P(オーディオI/O)+BEHRINGER PowerPlay 16 P16-M(キュー・モニター・システム)+PowerPlay 16 P16I(インプット・モジュール)の2パターンです。まずはケースからケーブルを取り出して、ビックリしました! 今まで触ってきた高品位なLANケーブルはすべて硬く、分厚いイメージでしたが、R-AL1はオーディオ・ケーブルそのもの。柔軟性がありつつも堅ろうな作りとなっており、さらには取り回しを向上させる“細さ”まで備えているのです

まずはDIGIGRIDのネットワーク・オーディオ・システムで試してみましたが、音質の変化はなかなか聴き分けられない印象。転送距離がスタジオ配線としては短く、ネットワーク・オーディオがバッファーを持つシステムであるからだと思われます。次にもう一つの環境でチェック。インプット・モジュールとキュー・モニター・システムの接続に使ってみたところ、こちらには違いを感じました。何度聴き直しても、やはり違いがあるように思えます。個人的には歌いやすく、演奏しやすいモニター音に近付いた印象を受けました。

R-AL1へのリプレイスは、完全リアルタイム転送のデジタル接続では、AES/EBUやS/P DIFのようなケーブルの交換と同じく極めて大きな影響があると思います。一方、バッファーを含む転送規格であるネットワーク・オーディオの場合、長距離転送時やバッファー設定をシビアに詰めていく際にエラーを最小限にする要因となるでしょう。

 

 

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE LANケーブル

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2018年5月号からの転載となります)

 

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