北園みなみ×KORGコラボ曲をG-ROKS 80s Roomで録音!

特集 by 編集部 撮影:八島崇 2016年8月25日

東京・下高井戸にある音楽スタジオ=G-ROKS。5つのスタジオを備える同スタジオは、2005年の営業開始以来、プロからアマチュアまで、多くのリハーサルに利用されているほか、各種音楽教室も開催されている。 2016年初頭よりリニューアル工事が行われ、4月より装いも新たにオープンしたG-ROKSには、“80′s Room”と名付けられた、1980年代の希少なビンテージ楽器が使用できるスタジオ・プランを新たに設定(STUDIO3を利用)。

▲STUDIO3は通称80's Roomとして新規オープン。シンセ、キーボード、ドラムなど各種ビンテージ機材を使用できる

▲STUDIO3は通称80′s Roomとして新規オープン。シンセ、キーボード、ドラムなど各種ビンテージ機材を使用できる

そんな希少な楽器を使用し、7月にミュージシャンの北園みなみが同スタジオでKORGとコラボした新曲「On the Sunny Side Up Street」のレコーディングを行った。エンジニアは谷明巳氏が担当。ここでは、そのレコーディングについて、2人に話を聞いた。

ーー今回の楽曲で、ビンテージ系のキーボードをどのように使おうと考えていましたか?

北園 シンセサイザーはそれぞれ得意な音色を適材適所に使うのが理想でした。それ以外のYAMAHA CP-80やRHODESなどは、なるべく未加工で本来の音を使おうと計画していました。

▲80's Roomに置かれた鍵盤楽器類。この中から北園は、KORG Kronos、Wave Station、Polisix、YAMAHA DX7、CP80、RHODES Student Model、SEQUENTIAL Prophet-5、Prophet-600を使用した

▲80′s Roomに置かれた鍵盤楽器類。この中から北園は、KORG Kronos、Wave Station、Polisix、YAMAHA DX7、CP80、RHODES Student Model、SEQUENTIAL Prophet-5、Prophet-600を使用した

ーー楽曲の聴きどころは?

北園 曲の展開に伴って楽器が入れ替わりそれぞれの持ち味を聴かせる内容となっています。使用楽器を推測しながら聴くのが面白いと思います。

ーーでは、この80′s Roomで使用した機材についての解説をお願いします。

北園 KORG Kronosは、曲を通して聴けるFM系のRHODESで使用していますが、内蔵のコーラスで広がりを出して、CP80とほぼ同じボイシングかやや高いボイシングで主に演奏しました。YAMAHA DX7はマリンバとパンフルートに使用。いずれも出番は少ないながら効果的に使われているので、きっと分かると思います。それからKORG Wavestationはちょい役のベルなどに使用しました。プリセットでいけそうだと予想していましたが、こだわり始めると重ねた複数の音色のバランスに試行錯誤する運びとなりました。ベルはリリースは短めにして、場面によってリバーブで余韻を調整する形をとり、1つの音色に複数の役割を担当させています。ユニゾンでSEQUENTIAL Prophet-600のベルも重ねました。ぴったり合わせるのに気を遣いましたね。SEQUENTIAL Prophet-5は、曲中では控えめな存在のブラスに使っています。トランペットやトロンボーンにそのまま演奏させても自然なフレーズになっていますが、多重録音の形を取らずに演奏するのはキーボーディストではない僕には難しいところでした。シンセ・ベースとシンセ・リードにはKORG Poly-sixを使用しました。ベースはフィルターなどを変化させる効果を積極的に取り入れています。リードはソフトなブラスの音色で、主旋律ですからリズムの揺らぎも存分に味わいとして残しました。

ーー録音、ミックスでこだわった部分を教えてください。

北園 録音の趣向はエンジニアの谷さんにお任せしました。プレーンに録っていただけたと思います。ミックスもほぼお任せしましたが、最終確認のミックス立ち会いの微調整では、リバーブの質や、ドラムの音色を重点的に意見しました。80’s Roomに入れば同じ音で演奏できる、という見本市のような仕上がりになっています。

▲今回の楽曲「「On the Sunny Side Up Street」の録音、ミックスを担当したエンジニア、谷明己氏

▲今回の楽曲「On the Sunny Side Up Street」の録音、ミックスを担当したエンジニア、谷明己氏

ーー谷さんが今回の録音で使用した機材についての使用法とその解説をお願いします。

 基本的には、KORGの80’s Roomの鍵盤類を使って楽曲を構成するという企画でしたので、あまり録りの段階で加工しないように考えてマイクプリ・アンプのみ、TL AUDIO Ivory 5001、Dual Valve Preampを持ち込みました。共に真空管仕様でしたが、真空管のサチュレーションがあまりかからないようにして、ナチュラルな場合はIvory 5001、少し味付けしたいときはDual Valve Preampを使いました。

▲谷氏が今回のレコーディングに持ち込んだ機材。右からTL AUDIO Dual Valve Preamp、 Ivory 5001、SPL Transient Designer、AVID HD Sync、192 I/O

▲谷氏が今回のレコーディングに持ち込んだ機材。右からTL AUDIO Dual Valve Preamp、 Ivory 5001、SPL Transient Designer、AVID HD Sync、192 I/O

ーー1980年代のキーボードを録音する際、気を付けた部分などありましたか?

 通常音源を録音する場合は楽曲の意図に合わせてEQやコンプなどで加工するのですが、それぞれの鍵盤の音色を妨げないように(鍵盤のキャラクターの違いが分かるように)極力そのまま録音するように努めました。

ーーミックスのポイントとは?

 今回の楽曲が1980年代始めのメロウで構築感もあるフュージョン指向というコンセプトでしたので、それぞれの存在感に気をつけつつ、派手になり過ぎないようにしました。プラグインでは主にコンプを多用しましたが、かけ過ぎて曲中での奥行き感やダイナミクスがなくならないように気をつけました。また、1980年代の鍵盤が曲の大半を占めていたので、中域に音像が集まり過ぎないようにも心がけました。

ーー1980年代の鍵盤を使用して録音するメリット(ソフトと比べて)を感じる部分はありますか?

 やはり、今回のアナログ・シンセにしてもFM音源やPCM音源にしても、ソフト音源にない自然な揺れや粗さが楽器らしさを主張していると思います。それにライン録音でも空気感を感じさせる倍音の厚み、そういったものが演奏に体温みたいなものを付加してくれていると思います。 北園 曲を聴くと楽器それぞれが安定した音色で鳴っているのがお分かりいただけけると思います。レコーディング中には、ビンテージ・シンセならではの機材のトラブルも少なからず起こりました。今回の曲調からして、例えばピッチが酷く揺らいだ状態の音色を使用するわけにはいきませんでしたが、一方で意図せず音色が生まれるのは、なかなか代えがたい魅力と感じました。それもビンテージの質感のために価値があるのだと思います。

▲80's Roomにはキーボードのほか、ドラムやギター/ベースのアンプも備えている

▲80′s Roomにはキーボードのほか、ドラムやギター/ベースのアンプも備えている

 

▲今回のレコーディングでは使用されなかったが、G-ROKS 80s Roomでは、1980年代のドラムの名器、YAMAHA YD9000Rも使用できる

▲今回のレコーディングでは使用されなかったが、G-ROKS 80s Roomでは、1980年代のドラムの名器、YAMAHA YD9000Rも使うことができる

TUNECORE JAPAN