ヤマハサウンドシステム主催「ホール改修セミナー」レポート

レポート by サウンド&レコーディング・マガジン編集部 2019年9月30日

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 9月27日に東京都中央区にある八重洲カンファレンスセンターにて、ヤマハサウンドシステム(以下YSS)主催のホール改修セミナーが行われた。YSSの社員のほか、空間創造研究所の草加叔也氏、愛知県芸術劇場の浅野芳夫氏が講師として登壇。計画、実施、予算という観点から、ホール改修の現状や課題、そしてそのソリューションについて解説してくれた。

ホールの改修傾向や検討課題と対策

▲空間創造研究所の草加叔也氏

▲空間創造研究所の草加叔也氏

 まず登壇したのは、空間創造研究所の草加叔也氏。劇場コンサルタントとして、銀座セゾン劇場、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館など多数の劇場施設作りに携わってきた実績を持つ。建築物の企画設計段階から解体再利用という一連の過程の中でかかるコストの総計を意味するライフ・サイクル・コスト(LCC)をキーワードに、“ホールの改修傾向や検討課題と対策”について話してくれた。氏は、ホール運営では建築費に目がいきがちだが、実際は保全費、運用費といったランニング・コストの方が、LCCにおいて多くの割り合いを占めることを強調。経年劣化のほか、技術の進歩によって生じる機能劣化や、時代の変遷に伴って求められる性能劣化などにも留意する必要があるとし、中長期にわたる維持管理計画の策定と、過去に行った改修履歴の整理の重要性を訴えた。“改修では休館といった不便をかけてしまうため、カーペットの張り替えや内壁の補修など一般の利用者にも分かる変化を盛り込むことも重要である”という言葉が印象的であった。

▲築後年数と建て替え、改修の必要度をグラフで説明

▲築後年数と建て替え、改修の必要度をグラフで説明


 

 

劇場職員からみた舞台改修

▲愛知県芸術劇場の浅野芳夫氏

▲愛知県芸術劇場の浅野芳夫氏

 続いて登壇したのは、愛知県芸術劇場で劇場運営部長を務める浅野芳夫氏。“劇場職員からみた舞台改修”と題し、愛知県芸術劇場の改修事例を紹介した。改修にあたっては利用者、劇場の技術スタッフ、そして運営の意見を集約することが肝要と語る浅野氏。定期的に公演を行ってくれる利用者のもとには直接伺い、改修の同意をもらうことも不可欠だと、自身の経験に基づくノウハウを解説した。また、改修工事中に発生する運営側の業務の一つに、備品の移動/保管の手配があると紹介。その費用も多額になるといい、愛知県芸術文化劇場の場合、2年にわたるピアノの保管だけで大きなコストがかかったという。最後に、改修へ対する批判や、想定と違ったというトラブルも起こるが、スタッフや利用者と一丸になって進める改修には、その苦労を越える楽しみがあると結んだ。

▲愛知県芸術劇場の改修事例を紹介

▲愛知県芸術劇場の改修事例を紹介

 

改修におけるリース活用術

▲音響機器リースのメリットを紹介する榎本氏

▲音響機器リースのメリットを紹介する榎本氏

 次に、YSSが認知を図っていきたいという改修における音響機器リースについて、同社の榎本氏が解説。YSSがリースを推奨する背景には、音響機器の改修をしたくても予算確保が難しいというホールの事情があるという。そこで、毎月一定額を支払うことで費用を平準化できるリース方式を紹介。保守点検もサービスに含んだ形でのリースが可能な上、貸与期間満了後に再度改修リースしシステムを最新の状態に維持できる点などのメリットも挙げた。リース契約の方法も複数種類があるといい、YSSが手掛けるリース事業の柔軟性の高さと保守の手厚さをアピールした。

 

ホール音響設備の改修事例

▲YAMAHA独自の音場支援システム、AFCが導入される施設の改修事例を解説

▲YAMAHA独自の音場支援システム、AFCが導入される施設の改修事例を解説

 最後にYSSの冨士田氏が登壇し、同社の施工事例を紹介した。YSSはこれまで日本全国のさまざまなホールや文化施設などの音響設備を手掛けており、セミナーではその内3施設での具体的な改修をピックアップ。ある施設には、自然な音の広がりを実現すべくYAMAHA独自の音場支援システム、AFCの導入が予定されているという。実際にAFCを使用した音源とそうでないものとの聴き比べも実施。セミナー来場者が耳をそばだてている姿が印象的であった。最後には、YSSが改修などで実際に導入している同社オリジナルの製品シリーズ、HYFAXを紹介。電動吊りマイク装置のMHL-30やマトリクス・プロセッサー/コントローラーのLDM1など多彩なラインナップで、今後のさらなる進化と拡張性を感じた。

 

▲今回のホール改修セミナーでは、YAMAHAの最新ポータブルPAシステム、Stagepas 1Kが使用されていた

▲今回のホール改修セミナーでは、YAMAHAの最新ポータブルPAシステム、Stagepas 1Kが使用されていた

 
■問合せ:ヤマハサウンドシステム 03-5652-3600 www.yamaha-ss.co.jp

 

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