Low End Theoryラップトップ・パフォーマンス・セミナー・レポート

The Choice Is Yours by サンレコ編集部 2013年6月7日

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本誌連載『THE CHOICE IS YOURS』連動ブログ。5月25日に代官山UNITにて開催され、ビート・メイカーのショウケースBeat Invitationalやジャパニーズ・レジェントDJ KRUSHの参戦など、盛況のうちに幕を閉じたLow End Theory Summer Edition 2013。イベントに先立って、Low End Theory主宰のダディ・ケヴとロサンゼルスの新鋭ビート・メイカー=トーラス・スコットを招き、“ラップトップ・コンピューターを使ったパフォーマンス・セミナー”が開催されました。ここではその模様をレポートします。 Photo:Hideo Seiki


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会場のSaloonには、熱心な観客に加えてアーティストやDJも多く姿を見せた。まずはラップトップ・コンピューターを使ったパフォーマンスを始めたきっかけや、Low End Theoryの成り立ちなどについてケヴとスコットの2人に話を聞いていく。

 

ラップトップをライブで使い始めたきっかけについて、ケヴは「初めはバイナルを使っていわゆる普通のDJプレイをやっていたが、より自由な表現を求めてコンピューターを使うようになった」と語る。
「使用機材は時代によって変わってきた。機材やソフトウェアも進化していて、例えばエフェクトは従来のディレイ/リバーブだけでなく、ビートそのものを組み替えるようなエフェクトが使えるようになった。またコントローラーもタッチ・スクリーン式のAPPLE iPadなどが出てきたことで、よりダイナミックなパフォーマンスが可能になったと思う」

一方「自分はデジタル・エイジ」と言うスコットも、「ラップトップは何より、自作ビートをクラブのサウンド・システムでプレイするために必要だった」と語る。
「僕は初めからコンピューターを使ってビートを作っている。だから、それをそのままクラブに持ち込んでプレイする……ラップトップを使ってパフォーマンスすることは、僕にとっては自然なことなんだ」

 

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続いては“ライブの場”としてのLow End Theoryについて。「プロデューサーにライブ・パフォーマンスの場を与えたかった」とイベントを始めた経緯について語るケヴは、同イベントがここまでの広がりを見せた理由については次のように分析する。
「Low End Theoryは単にパフォーマンスを披露する場ではなくて、それを見たオーディエンスがインスピレーションを受け、何かを“持ち帰って”ほしいと考えていた。そのためにはレジデントのアーティストが常に高いレベルを維持しなければならない。俺はD・スタイルズのような超絶的なテクニックは持ち合わせていないが、常に独自性を発揮しようとコントローラーやプレイするビートを進化させてきた。そうしたレジデント同士の切磋琢磨がオーディエンスを刺激し、そこからフライング・ロータスやノサッジ・シング、ガスランプ・キラーなどの才能ある若者が出てきたのだと思う」

 

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その後セミナーは実演に移り、まずはトーラス・スコットがLow End Theory本編と同じ機材を使用してパフォーマンスを行った。ソフトはNATIVE INSTRUMENTS Traktorで、同社Maschine MKIIのコントローラーと、スクラッチも可能なプラッターを装備したS4で制御。オーディオ・インターフェース機能も備えるS4からの出力はDJミキサーPIONEER DJM-800に入力され、ミキサー側でエフェクトをかける局面もあった。もともとビート・メイクのために開発されたMaschineのコントローラーだが、「パッドの操作性がとてもよい」との理由でTraktorの制御に使用。16パッドは4バンク仕様になっており、バンクごとにA/Bデッキのキュー・ポイントや4段階のロール(連打)などをアサイン。ほかにもノブでエコーなどのエフェクトを操るなど、まるでTraktor専用機のようなMIDIマッピング/カスタマイズの深さが印象的だった。

 

 

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続いてはダディ・ケヴのセミナー。バイナルのインターフェースでラップトップ内の音源ファイルを操るSERATO Scratch Liveシステムを使用しており、DJミキサーはScratch Liveのインターフェースを内蔵したRANE TTM57SL。リズムをバラしたり連打するためのScratch Liveの内蔵エフェクト“Breaker”“Repeater”などはAPPLE iPadにインストールしたHEXLER Touch OSCで制御。ケヴは「コントローラーとしてのiPadはワイアレスであることが最大のメリット。観客にiPadの画面を見せることで、アクションと出音の変化をリニアに感じてもらえる」と語る。パフォーマンス時にはラップトップとiPadは同じWiFiネットワーク内にあることが必須となるが、「これまでの経験から言うと、小さな箱になるほど通信/接続の問題が起きやすい。WiFiルーターは必ず有線でラップトップに接続しておく必要がある」など現場感あふれるTipsを語ってくれた。

 

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2人のパフォーマンス後は質疑応答に移る。ここでNATIVE INSTRUMENTS Japanの協力により、最も良い質問をした方にMaschine MKIIを進呈するというサプライズが! それもあってか、ロサンゼルスのビート・シーン全般に関する質問から、スコットにMIDIアサインの方法についてさらに突っ込みが入るなど、熱の入った質疑応答が予定時間をオーバーして行われた。Maschine MKIIは、ケヴにプロのパフォーマーとしての心構えを問うた男性がゲット! こうして90分以上に及んだセミナーは幕を閉じたが、参加者はその後のLow End Theory本編を、より深い理解をもって楽しめたに相違ない。

 

※Sound & Recording Magazine 2013年8月号(7月15日発売)では、DJ Krushとダディ・ケヴの独占対談やLow End Theory Japan Summer Edition 2013のレポート記事を掲載します。お楽しみに!

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