【スタジオ・モニターYAMAHA HSシリーズ】エンジニア・レビュー第3回 五十川祐次

YAMAHA HSエンジニア・レビュー by サウンド&レコーディング・マガジン編集部/撮影 :八島崇 2017年4月14日

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圧倒的な音の解像度の高さを実現し
映像用の音声モニターとしてもマッチするHS5

“精確性”という設計理念を受け継ぎ製作しているYAMAHAのスタジオ・モニター。リニューアルされ登場したHSシリーズのラインナップは、5インチのHS5、6.5インチのHS7、8インチのHS8、8インチのサブウーファーHS8Sとなっている。今回から2回にわたりスクウェア・エニックスのサウンド・デザイナー、レコーディング・エンジニアとして活躍する五十川祐次氏に登場いただき、ゲーム・サウンド制作におけるHSシリーズのマッチングについて話を聞いた。ここでは、シリーズの中で最もコンパクトかつ軽量のモデル、HS5について詳しく語ってもらおう。
(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2013年10月号の記事に加筆・修正を加えたものです)

サウンドの精度を高める設計

HS5は、サイズが170(W)×285(H)×222(D)mm、重量5.3kgで、高域に1インチのドーム・ツィーター、低域に5インチ・ウーファーを採用した2ウェイ・バスレフ・タイプ。今回は、スクウェア・エニックス社内にある約18㎡のスタジオに設置してもらい試してもらった。五十川氏は、その第一印象を次のように語る。

五十川: このスタジオでは、今メインで使っているモニターのほか、YAMAHA NS-10Mを常設しているんですよ。それで、このHS5を鳴らしたとき、NS-10Mに100万円クラスのハイエンド・アンプをつないで鳴らしたイメージと一緒でびっくりしました。全体的な音の解像度の高さが圧倒的でしたね。特に、ボイスや歌に対してのBGM、効果音のバランスがすごく分かりやすかったので、これまでNS-10Mを使ってきた人は、このHS5が、かなりイメージが近いと思いますよ。しかも明確に個々の音の立ち上がりが分かり、よりくっきりした印象です。

もちろんHS5NS-10Mとでは、サイズからスペックまでかなりの差異はある。しかし、HSシリーズでは、サウンドの精度を高めるためにエンクロージャーは共振を低減する設計、三方留め構造が採用されているという。五十川氏が続ける。

五十川:実は、今使っているNS-10Mは、ユニット部に制振材を巻き、すき間を無くして箱鳴りを抑えるようにカスタマイズしていたんですよ。でもこのHSシリーズでは初めからその設計になっていて、しっかりユーザーの声にも応えてくれているんだと、うれしかったですね。

 

高い解像度を実現

普段、映像用の音声編集作業を多く手掛けているという五十川氏。今回の試聴では、映像と組み合わせるためのボイスや効果音の録音/ミックスのほか、ボーカル・レコーディングも行ったという。そういった映像用の音声編集におけるモニター・スピーカーで、重要視する点について聞いてみた。

五十川:映像用の音声は、音楽的に気持ち良いというのはあまり重要ではないんですよ。最終的にはテレビの音でいかに奇麗に鳴らすかというのを考えますので、そのミックス・バランスが取りやすいモニターがベストなんです。そういった意味でHS5は、十分パワフルなサウンドで鳴らすことができますが、BGMとボイスとのバランス、細かい楽器のニュアンスまで奇麗に聴こえるので、映像用の音声モニターとしてすごくミックスがやりやすかったです。サイズ的にも、HS5は自宅スペースなどのプライベート・スタジオで作業している人にとってピッタリなんじゃないでしょうか。

五十川氏が、「HS5が映像用の音声モニターとしてすごく使いやすい」と語るのは、“精確性”という設計理念が見事にマッチしたからに違いない。

 

▲HSシリーズのエンクロージャーは不要な共振を徹底的に排除するため、高剛性で均一な音響特性を持つ肉厚MDFが使用されており、その接合には三方留め構造を採用。単純な面の接合とは比較にならない強度を実現した

▲HSシリーズのエンクロージャーは不要な共振を徹底的に排除するため、高剛性で均一な音響特性を持つ肉厚MDFが使用されており、その接合には三方留め構造を採用。単純な面の接合とは比較にならない強度を実現した

 

【プロフィール】 五十川祐次
Isogawa

サウンド・デザイナー、レコーディング・エンジニア。スクウェア・エニックスのスタジオ管理をしながら、ゲーム音楽の録音からディレクション、MA作業まで幅広くこなし、これまでに、『ガンスリンガーストラトス』『ファイナルファンタジーX/X-2 HDリマスター』『ロマンシング サガ』シリーズなど多くの作品に携わっている

 

YAMAHA HS5

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SPECIFICATIONS
■構成 高域:1インチ・ドーム、低域:5インチ・コーン
■出力 70W(高域25W+低域45W)
■周波数特性 54Hz〜30kHz (−10dB)
■クロスオーバー周波数 2kHz
■最大入力レベル +24dBu
■入力インピーダンス 10kΩ
■外形寸法 170(W)×285(H)×222(D)mm
■重量 5.3kg(1本)
■価格 オープン・プライス
(市場予想価格 15,000円前後:1本)

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【問合せ】
株式会社ヤマハミュージックジャパン
プロオーディオ・インフォメーションセンター
TEL 0570-050-808  www.yamahaproaudio.com/japan/

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