佐藤達哉がCADESON T-92を試奏

CADESON T-92

REVIEW by サクブラ編集部/写真=山下陽子(SLANG) 2011年9月5日

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圧倒的な”鳴り”が魅力の新モデル

製品解説

2011年7月に発売された最新モデルT-92は、サックスの本質である”鳴り”に関して徹底的にこだわり抜いた1本。まず注目したいのが、ネッ ク・ソケット部。材質に硬くて粘りのある洋白を採用し振動効率を高め、さらにネック・スクリューとライヤー・スクリューを繋げたネック・コネクション・ス クリューによりネックと管体の一体感をより強固なものにしている。この2つの加工によって非常に豊かな倍音を得られるため、吹奏感、コントロール性能など が各段に向上。また、キィ・ガードやベル支柱といった各部の止めネジは、すべて職人の削り出しによるBUZZ洋白ネジ・シリーズを装備。キィ・ポスト(支 柱)と管体を繋ぐ台座は、管体に金属板を貼り付ける”1枚取りタイプ”ではなく、振動への妨げが少ない”独立タイプ”となっている。また、サムフックの裏 側(管体接地面)を平面加工するなど、各パーツと管体の一体感をより高めるための工夫が随所に施されている。トーン・ホールは、カドソン・サックスではお 馴染みのカーリング・トーン・ホールを採用。パッド密閉度、音のつながり、キィ・レスポンスなどを高めている。他とは一線を画す極上のプレイ・アビリティ は、奏者をワンランク上の世界へ連れて行ってくれるだろう。

洋白製のネック・ソケット部分 ネック・コネクション・スクリュー カーリング・トーンホール
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 管体と分離しているため最も振動が逃げやすいとされているネックは、ソケット部を洋白製にすることで振動効率をアップ。楽器の鳴りはもちろん、レスポンス、音量、音程のとりやすさなど、さまざまな要素に大きく貢献している  ネック・スクリューとライアー・スクリューを1本に繋げるという、大胆な発想を実現(おそらく世界初の試み)。このネック・コネクション・スクリューをはじめ、各部に装備されたBUZZ洋白ネジは、1本製作するのに1時間半かかるという逸品  トーンホールの縁を丸く加工するという”カーリング・トーンホール”はカドソン・サックスでお馴染みの仕様。一部のビンテージ・サックスや高級機に見られる加工方法で、音色、音のつながり、レスポンスなどに劇的な変化をもたらす

佐藤達哉’s Report

音色、吹奏感、レスポンスなどビンテージの銘器を感じさせます

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鳴らしやすくサウンドも重厚

まず僕にとって、楽器はレスポンスの良さが何より大事なんです。今メインで使っているサックスは洋白製のブラック・ニッケル仕上げなんですが、その 理由も”レスポンスの良さ”が第一ですからね。真鍮製のウォームな音色も伝統的なサックスの味があってすごく好きなんですが、洋白に比べるといかんせんレ スポンスが遅い。ただ不思議と、真鍮製でもビンテージはレスポンスが早いんですよ。かつ音色も良いから、1940〜1950年代のものは特に人気があるん でしょう。ビンテージ楽器に感じる良さって人それぞれで違うとは思うんですけど、僕が思う魅力は、深い音色と素晴らしい吹奏感、立ち上がりの早 さ……そう いった部分ですね。

今回吹いたT-92は、鳴らしやすくサウンドも重厚で、ある意味でそういった良質のビンテージ楽器を感じさせますね。ただ、単純に設計や仕様がビン テージを意識して作られたというより、音色、吹奏感、レスポンスなどの要素を追求していった結果、吹いた印象がビンテージの銘器に近い状態になった、とい う表現が正しいですね。音の立ち上がりが早いからコントロールがしやすくて、レスポンスの早さだけで言えば僕のブラック・ニッケルに匹敵するかもしれな い。あとは吹奏感の設定が絶妙です。ノー・ラッカーは楽器が軽いぶん、吹奏感も必要以上に軽くなりがちなんですが、これは心地よい抵抗感があります。細部 のパーツ構成が生きてるんでしょう。あとは何と言ってもカーリング・トーン・ホール。音のふくよかさ、音のつながりが全然違う。普通のしか知らなければ何 の不満もないだろうけど、一度知ってしまうとこっちの方が断然良いですね。これは音色を深くするのにも、レスポンスの向上にも重要な要素だと思います。

ビ・バップやハード・バップを吹きたくなる

こういう渋いルックスにも憧れはありますし、見た目のイメージとも相まってビ・バップ、ハード・バップなんかを吹きたくなります。まぁ逆に、これで メロウなフュージョンを吹いちゃうのも意外性があってよいかもしれませんけどね。見た目や音色はアコースティックの気分だけど、レスポンスが早くてよく鳴 るからエレクトリックでも使いやすい。そういう意味では非常に万能なモデルです。今使っている楽器の反応が鈍くてもっと切れ味良く吹きたいという人、音色 が明るすぎて深い音色がほしい人、ワンランク上にいきたいという人などには一度吹いてみてほしいですね。グッとくると思いますよ。もちろん、初めてサック スを買う人にも最適です。初心者こそ良い楽器からスタートするべきですからね。このT-92は、カドソンというブランドがいろいろな素材のモデルを扱って きたからこそ生まれたモデルだと思います。

佐藤達哉(さとう・たつや)

自己のグループの他、原信夫とシャープス&フラッツ、エリック・ミヤシロEMビッグバンドなど、多数のバンドに参加。また、サックスの個人レッスン や洗足学園音楽大学ジャズコース講師、教本『超絶テナー・サックス ザ・スコア』(リットーミュージック刊)の執筆など、後進の指導にも当たる。故マイケル・ブレッカーと親交が深く、マイケル奏法の国内第一人者としても知られる

関連リンク

CADESON

T-92

393,750円(High F♯付)/409,500円(High F♯無し)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
中島楽器
TEL: 027-255-1885 http://www.nakajimagakki.jp/

【SPECIFICATIONS】
●カーリング・トーン・ホール採用、アンラッカー仕上げ、BUZZ洋白ネジ・フル装備、ネックソケット洋白製、手彫彫刻、マウスピース、リガチャー、セミハード・ケース付

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