第43回 ジャジィな音色にはかかせないサブトーン①

伊勢賢治のサックス初級ドリル by 伊勢賢治 2013年7月1日

今週からサブトーンに突入です。

サブトーンはスタン・ゲッツなどに代表される「ブシュー」というあの音です。

息が漏れているような音で、なんとも味のある音質なので、バラードなどには最高です。

サブトーンを出す前に、その原理を勉強してみましょう。

サブトーンの音色

 

上記トラックはサブトーンありとなしでロング・トーンをしたものです。2種類のロング・トーンのうち、どちらも2回目に吹いているのがサブトーンです。

やり方は、以前やったアンブシュアやタンギングのときのことをちょっと読み返してもよいでしょう。

サブトーンはリードの振動幅をそのままに、強制的に厚く、重くする奏法です。

ほとんどの人が今頭に「?」が浮かびましたよね?

順を追って説明していきます。

リードの振動幅を考えてみましょう。

リードはリガチャーでマウスピースに固定されており、そのリガチャーの端からリードの先端までが振動する幅となります。

この振動幅が短ければ高い音が出るし、長ければ低い音が出ます。

テナーとアルトのリードはテナーの方が長いですよね? そういうことなのです。

では、その振動幅をそのままに強制的に厚く、重くする方法とは?

これは下唇を使用します。

乱暴な話ですが、リードを削って薄くすれば、薄く軽い音がします。

周波数でいえば、中域より下がなくなり、ぺらぺらとした音になっていきます。

そこで逆を考えてみましょう。

下唇とリードを一体化させられれば、リードは厚く重くなります。

一体化する方法は簡単です。

普通、アンブシュアは下の歯で下唇を巻き込み、リードが良く振動するように、下唇を下へ引っ張ってリードに下唇を極力触れないようにしています。

ですので、その逆を実戦すればOKです。

下の歯、つまり顎の力を抜いて、下唇でリードを支えれば良いのです。

今までは下唇の下から、歯でリードへ直接圧力を加えていましたが、その歯の圧力を弱くし、そのぶん下唇でリードを支えるイメージです。

そうするとリードに触れている下唇の部分が多くなり、結果、下唇とリードが一体化すると言う方式なのです。

とはいえ、まずはその音をイメージできないといけません。

下の写真を見てください。

 サブトーンを出す奏法

ise43_1

これは本誌でも紹介した写真ですが、写真01のように吹いてみましょう。

これは無意識に下唇とリードを一体化させるようになるフォームです。

このように楽器を持ち上げて吹く事によって意識しなくても、下唇がリードに多く触れるので、サブトーンを擬似的に体験できます。

 

ise43_2

ただし、上写真のように顔の向きまで変わってしまうと意味がありませんので注意しましょう。

 

ise43_3

最終的には上のような形になります。ちなみに下は普通のアンブシュアです。

ise43_4

これはまた次回にお話しします。

まずは原理をよく頭でイメージして、疑似体験して雰囲気をつかんでおいてください。

伊勢賢治

松任谷由実をはじめとする有名アーティストのツアーやレコーディング、セッションに参加するほか、楽曲提供やホーン/ストリングス・アレンジ、編曲なども行っている。サックス以外にも管楽器全般、ボーカル、パーカッション、ドラム、ピアノ、指揮法など、数種類の楽器を担当するマルチ・プレイヤーでもある。また、個人レッスン・吹奏楽部への指導なども行っている。サックス&ブラス・マガジンで『サックス初級ドリル』も連載中。



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