『The Main Attraction』 Grant Green with Hubert Laws

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年11月28日

フルート・ファンクの世界: ヒューバート・ロウズ編

今回の”裏”Recommend Disc

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『The Main Attraction』 Grant Green with Hubert Laws

 

『ザ・メイン・アトラクション』グラント・グリーン・ウィズ・ヒューバート・ロウズ

 

CTI/Kudu (1976)

 

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ヒューバート・ロウズの紹介なのにグラント・グリーンとの共演盤を選んでしまうあたりにオノレのコテコテ血中濃度の高さを感じてしまう今日この頃ですが、でもこのアルバム、グリーン=ロウズ=マイケル・ブレッカーのソロ競演が楽しめるイイ盤なんだよな。Blue Note以降は評価の低いグリーンだけど、ジョージ・ベンソン的に成功する可能性もあったのではないかとこれ聴くと感じてしまう。まあグリーンさんのブルース血中濃度の高さがそうはさせなかったのかもしれませんが。

先週のハービー・マンとともに、ジャズ・フルートを代表する存在といえばこのヒューバート・ロウズです。大衆的で下世話でマッチョなマン氏と対照的に、繊細で優美で芸術性に富んだ印象のロウズ。クラシックの一流オーケストラにも所属していた経験を活かしたクラシック名曲のポップス化路線でブレイク、CTIを代表するアーティストのひとりになりました。当時のCTIが先導していた“黒人ジャズの都市音楽化”にも大いに貢献したと言えます。チック・コリアとはジュリアード音楽院時代の同窓生。サックス奏者のロニー、ヴォーカリストのエロイーズ、デブラら有名なロウズ兄弟の上から2番目のお兄さんでもありますね。

今日の一枚はそのCTIお得意の豪華スター競演ジャム・セッション形式で吹込まれたグリーン唯一のCTIリーダー作品。アレンジを手がけるのはジェームズ・ブラウン・バンドでシゴかれたあとのデヴィッド・マシューズで、ジョン・ファディス(tp)ら含むホーン隊がパンチの効いたバッキングを聴かせます。1曲目はレコード片面のサイズぴったりに作られた19分のスロウ・ファンク・ジャム「The Main Attraction」。ホーン・セクションはさながら夕日を浴びて輝く都会のビルディングで、ダウン・ビートに乗ってその間を駆け抜けるギター、フルート、テナー・サックス・ソロは最新のスポーツ・カーといったところでしょうか。なんたる陳腐な形容。ねちっこい反復フレーズ攻撃を繰り出すギター、小鳥フィーリングたっぷりにライト・タッチの優しさを表現するフルート、コルトレーンを理論的にビルドアップしたようなメカニカル・フレーズで埋め尽くすテナー、倍テンポで盛り上げるリズム隊と、くつろぎと興奮に満ちたジャズ・ファンク空間が形成されています。続く「Future Feature」はプレ・ディスコ的な4つ打ちファンク。ポワポワしたトラックをシメるようにブルージーなフレーズを放り込むグリーンがまるで高級フレンチ店でモツ煮込み注文するオッサンみたいで悶絶です。ラストの「Creature」はそんなオッサンのリクエストに応えるかのようなスロウ・ブルース。いつになくクロいロウズのフルートもテキサス生まれという出自を垣間見せて素敵です。

そんなヒューバート・ロウズ、NYに出てくるまでは地元ヒューストンで、あのザ・クルセイダーズの連中と一緒にバンド組んでたって知ってました?まだジャズ・クルセイダーズを名乗る前の話ですが。そんなクルセイダーズの特集をフィーチャーしたサックス&ブラス・マガジン最新号は本日発売だそうです!ウェイン・ヘンダーソンとウィルトン・フェルダーの妄想漫談書きましたよ。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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