『The Weapon』 David Newman

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年11月14日

フルート・ファンクの世界: デヴィッド・ニューマン編

今回の”裏”Recommend Disc

41TuFeSy-XL

『The Weapon』 David Newman

 

『ザ・ウェポン』デヴィッド・ニューマン

 

Atlantic (1973)

 

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ボビー・ラヴさんのヤサグレたフルートを聴いてるうちにほかのフルート物に手を出したくなった。というわけでニューオーリンズから離れて今週からは短期集中企画「フルート・ファンクの世界」をやってみたい。先週も言ったけど、フルートのサウンドとファンクは相性いいと思うのです。「サクブラでは基本的にフルートは扱っていません」という編集長ツッコミが聞こえてきそうですが、なるたけサックスやホーン隊が出てくる作品にするつもりです!と子犬のように震えながら涙目で訴えるつもりです。

で、なんとなくNOからの移行をスムーズにするためにも第一回はデヴィッド“ファットヘッド”ニューマンがNOナンバーを取り上げ、ドクター・ジョンも参加してNO的なピアノで盛り上げてるこの一枚から。ニューマン師匠はテナー・サックスだけじゃなくってフルートもクロくて達者だ、という話は以前もこのコラムで書きましたね。再登場となるこちらは許しがたいジャケのダサさでスルーされがちな作品だけど、Atlantic時代の師匠の作品に駄作無し。コーネル・デュプリー(g)、リチャード・ティー(key)、チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディ(ds)というグルーヴの守護神たちがバックを固め、めまいがするほど男くさくてダンディなソウルフル・インスト世界を盛り上げます。

1曲目「Missy」は素晴らしいテンポのビートに乗ったテナーがやけどしそうなブロウを聴かせるジャズ・ファンク。酔っぱらいが絡んでいくみたいにソロにちょっかい出すドクター・ジョンのバッキングが実にNO的で、それにちゃんと応えるテキサス男ニューマンとの言葉のない魂の会話、みたいなもんに胸が熱くなります。ストーンズの名曲「You Can’t Always Get What You Want」カヴァーでもグリッサントなピアノで濃密な南部的たそがれ感を演出。濃厚なチトリン・スメルがお部屋いっぱいに広がるようです。

アラン・トゥーサン・ナンバーを3曲フィーチャーしたB面はさらにNO風味満点。リー・ドーシーのヒット曲をフルートで歌い上げる「Yes We Can」が今日の目玉です。飄々としたドーシーのたたずまいが乗り移ったかのような軽妙な節回し。街角のブラザー達の冗談まじりの立ち話がそのまま音楽になったような猥雑なフィーリング。NOのカーニヴァル、祭り囃子の笛的なルーツ・サウンドに直結するみたいなフルート・サウンドはやっぱりファンク・ビートによく映えるのだ。しかしフルートにここまでクロいフィーリングを乗せられるのはやっぱり師匠ならでは。トゥーサン・クラシック「Happy Times」「Freedom For The Stallion」でも、朗々と歌い上げるテキサス・サックスがニューオーリンズに向かって敬礼してるみたいな豊穣な音楽の恵み感が味わえます。

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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