『(I Need) Altitude』 James Black

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年10月31日

Funky Funky New Orleans!: ジェームズ・ブラック編

今回の”裏”Recommend Disc

51o5l4-pgeL

『(I Need) Altitude』 James Black

 

『アルティテュード』ジェームズ・ブラック

 

Night Train (2002)

 

Amazonで購入する

“親父のバンドにいた連中のなかではドラムのジェームズ・ブラックがいちばん好きだった。「The Magnolia Triangle」みたいな曲を書く才能があった。でも興奮しやすいタチで、いつも何らかのトラブルに巻き込まれていたし、ちょっとしたことでケンカになっていた。なにをしでかすかわからない、予測不能な人物だったよ。でも7歳か8歳の子供にとっては好きになる要素が常にあった。彼はトランペットも演奏したんだ。僕は彼の音楽に影響を受けてるよ。「A Love Song」のような彼の曲は最高だ。”———ウィントン・マルサリス

先週のコラムを読んでもらった人ならば、エディー・ボー師畢生の名ファンク「Hook And Sling」のところで名ドラマー、ジェームズ・ブラックって太線で書いてたのを覚えてますよね。テストに出るっていいましたよね(ウソ)?あれ実は今週へのフリだったんですけど、ウィントンにも影響与えるレベルの伝説的ドラマーであった彼の音楽が非常にユニークなので紹介させてください。

ウィントンの父親であるエリス・マルサリスがニューオーリンズきってのジャズ・ピアニストだってことは有名だと思うんですけど、ブラックは当時のNO随一だったこのマルサリス・コンボで長年ドラムを叩いていた人。ナットとキャノンボールのアダレイ兄弟がNOに赴いてレコーディングした『In The Bag』(Riverside, 62年)でもドラムを叩いているほか、2曲のオリジナルも提供しています。60年代中盤には一時期NYに出てユセフ・ラティーフやライオネル・ハンプトン楽団にも在籍。60年代後半にNOに戻って以降はセッション・ドラマー的にいくつものR&B系の録音に参加しています。リー・ドーシーやアラン・トゥーサン関係のセッションにも起用され、ジャズからファンクまで対応可能な度量のでかさで彼の地のトップ・ドラマーとなったそうです。88年にドラッグのオーヴァードーズで夭逝して以降はNOの音楽シーンの伝説として語りつがれる存在に。

生涯一枚もリーダー作を残す機会に恵まれなかったブラックの今日の一枚は、ボー師が「Hook And Sling」(69年)を残したScramレーベルのハウス・ドラマーだった時期の未発表曲を中心とした作品集。冒頭のブラックのオリジナル「Mist」からしてビバップだかモードだかブーガルーだかわからないヘンテコな曲。聴いたことないヘンテコなビート。奇妙なエフェクト音が入ってるのも相当イカレてる。思わずノケゾるほどエグいのがドラム、ベース、ギターでひたすらファンク・ビートを続けるだけの「Tune #6」。ブリッジには意味不明なホーン・リフも。これはドラム好きじゃなくても即昇天です。ボー師のヴォーカルが微笑ましいさわやかソウル「That Certain Someone」もあるけど、ブラックがダミ声ヴォーカル披露するファンクもあり。この編集盤を入門編として、ブラックの痛快なドラムと非常人的発想の作曲に注目してみるのもいいんじゃないかな、と先生思うワケです。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



TUNECORE JAPAN