『The Hook And Sling』 Eddie Bo And The Soul Finders

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年10月24日

Funky Funky New Orleans!: エディー・ボー編

今回の”裏”Recommend Disc

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『The Hook And Sling』 Eddie Bo And The Soul Finders

『ザ・フック・アンド・スリング』エディー・ボー

Funky Delicacies (2011)

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“ワシはここニューオーリンズには神様からの音楽的な贈り物がさずけられておると本気で信じておる。神秘的な音楽の贈り物じゃ。ずっと昔のプレイヤーたちまで遡ってその演奏の感覚をモノにしたとき、おまえは同じ土俵の上に立って自分らしさを持ちこんでおるということじゃ。ワシが若いミュージシャンに言いたいことはどう聴けばいいかを学べってこと。そして聴いたことを自分のモノにする。演奏して、感じ取って、それで自分のモノにするんじゃ。ワシは今でもそうやって自分を磨いておる。その追求に終わりはないぞえ。グルーヴは無限に広がっておるからの。聴くこと、感じることが全てじゃ。そして客が来たときにはリラックスさせてやることじゃ。”

さすがにエディー・ボーともなると英文インタビュー訳してても脳内翻訳機が勝手に老師モードに変換してしまうので困りますぞえ。スター・ウォーズでいうとヨーダ。そんなニューオーリンズ界のジェダイ・マスターならぬファンク・マスターのヒット曲「Hook And Sling」(69年)は、いまやミーターズの「Cissy Strut」とならぶNOファンク・クラシックであり、JBの「Funky Drummer」とならぶドラムがエグいファンクとしてヴェテラン・ソウル・マニアから若手DJにまで広く認知されておりますが、この有名曲を筆頭に同様・同時期のアーリー・ファンク的ナンバーや未発表曲を揃えたコンピレーションが今日の一枚。1955年にデビューするも70年代後半になるまでアルバムを出す機会に恵まれずシングル中心でやってた人なので、実にクリエイティヴなファンク表現を繰り広げたこの時期を聴くにはこういうコンピが最適です。

大きなヒットやメジャー契約には恵まれませんでしたが、2009年に78歳で没するまで50年以上地元に根をはりNOミュージックの魅力を伝え続けた影の偉人がエディー・ボー。ピアニスト、シンガー、コンポーザーとしてだけではなくプロデューサーとしても活動しました。ユーモアやエンタテイメント精神を忘れないその音楽は父性さえ感じさせるヒューマンな温もりにあふれています。名ドラマー、ジェームズ・ブラックの強烈にシンコペートする8ビートと脱力なギターをバックにボー師が煽りまくる「Hook And Sling」はサビに入るホーン隊のパンチラインもクールなファンク。ヘッドバンキングして聴くと脳内にボー汁があふれてフォースが使えるようになります(ウソ)。ジェームズ・ブラウンのファンキィ・ソウルのNO化というべき「Sissy Walk」は途中に入るサックス・ソロまでメイシオ風。ブラックの強烈にスウィングするドラムに再び撃たれるゴーゴー・ファンク「If It’s Good to You, It’s Good for You」、セカンドライン風のベースラインが独特な「Check Your Bucket」、極めてNO的なピアノがサイケなファンク・サウンドに映えるインスト「Funky Jam」など、いずれからもボー師の「いいひと」感がにじみだす好トラック揃い。個人的にはミーターズ、ゲイターズ、そしてこのエディー・ボーを体験してこそNOファンク。聴くこと、感じることが全てぞえ。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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