『Po’k Bones & Rice: Unreleased New Orleans Funk 1969-1974』 Sam & The Soul Machine

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年10月10日

Funky Funky New Orleans!: サム・アンド・ザ・ソウル・マシーン編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Po’k Bones & Rice: Unreleased New Orleans Funk 1969-1974』 Sam & The Soul Machine

『ポーク・ボーンズ・アンド・ライス』サム・アンド・ザ・ソウル・マシーン

Funky Delicacies (2002)

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さて先週のミーターズに関連して、今日は“裏ミーターズ”と呼ぶのがぴったりのバンドのCDでもどうでしょうか。・・・はぁ?おまえザ・ゲイターズのコラムで“裏ミーターズ”って紹介しとったんちゃうんかいゴラァ!とおっしゃる方がいるかも知れませんので、やっぱ“影ミーターズ”にしときますね(汗)。ある意味、サンドイッチを作ったあとに残ったパンの耳がもったいないので揚げてみたらかなりウマかった。みたいな話です。いや、ちょっと違うか。

ザ・ミーターズの前身がネヴィル兄弟たちを中心としたネヴィル・サウンズであったことは先週書いたとおり。ネヴィル・サウンズがニューオーリンズ周辺でライヴ活動していたとき、念願だったNOの中心街フレンチ・クォーターでの箱バンが決まります。だがクラブ的にはヴォーカルとか無しのインスト・バンドしか雇えないという。それで仕方なく4人のリズム隊だけで演りはじめた、というのがミーターズ誕生のきっかけだったそうです。でも不満だったのははじき出された恰好になったヴォーカルのアーロンとシリル兄弟。ふたりはこんちくしょうてな感じで新たなバンド結成をもくろみ、オルガン奏者のサム・ヘンリーに声をかけます。そうこうしてできたのがサム・アンド・ザ・ソウル・マシーン。ネヴィル・サウンズのメンバーだったサックスのゲイリー・ブラウンもこっちに合流しました。

すぐにマシーン(略しました)は別のクラブでのレギュラーが決まり、クラブは人気で連日満席になったそうです。ヒット曲のカヴァーを巧みに聴かせるサムのアレンジがウケたみたい。さらにアラン・トゥーサンの口利きで初アルバムのレコーディングも決まった。1969年のことです。ミーターズがデビュー作を発表したのも69年だから、ほとんどスタートは同じ感じ。しかーし!なんたる不幸か、アルバムを録音した数週間後にそのスタジオが国税局に差し押さえになる、などの理由で結局このアルバムが発売されることはなかった。このCDで世界初公開されるまでは。というのがミーターズの影に隠れたかわいそうなマシーンの話。ついでに言えば、ミーターズ解散後に兄弟たちがネヴィル・ブラザーズを結成することを考えると、ミーターズとネヴィルズを結ぶミッシング・リンクなワケです。文字通りアルバムがミッシングしたんだからね。ちなみにアルバムの録音にはドラムのトラとして、ミーターズのジガブー・モデリステがもうひとりのドラマーとともに参加しています。これ大事なポイント。

その未発表アルバムにその後のシングルなど加えたのが今日の一枚。内容は山の頂から「最高だー!」と大声で叫びたくなるくらいファンキィです。パンの耳、超ウメぇって感じ。ミーターズでのツボに刺すみたいなアート・ネヴィルのオルガンと違って、こっちはもっと脂っこいオルガンが麺にからみつく感じ。ゲイリー・ブラウンのR&B流なんだけど異様にヌケが良くてモダンな感じのテナーがたっぷり聴けるのもうれしい。そしてなんといってもジガブー。嗚呼ジガブー。なんでそんなにオレの心のひだひだの裏側まで沁みわたるのかよ的な絶妙グルーヴ満載です。レゲエ調の「Water Hole」、グルーヴの綾みたいなもんが深い「Mercy-D」、殺人的なドラムのカッコよさに号泣な「Po’k Bones & Rice」、スライのカヴァー「Stand」など、ちょっと興奮し過ぎていつもより長くなっちゃいましたけど、CDが手に入るうちにぜひ。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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