第3回 『Texas Thunder Soul 1968-1974』 Kashmere Stage Band

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2011年9月7日

“アメリカ音楽史上最強のアマチュア・バンド”と呼ばれたテキサスの少年少女たち

今回の”裏”Recommend Disc

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『Texas Thunder Soul 1968-1974』 Kashmere Stage Band

Now-Again (2006)

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テキサス話が続きます。テキサス、そして学生バンド、とくればレア・グルーヴ〜ファンク・マニアが愛して止まないカシミア・ステージ・バンドを紹介しないわけにはいかないでしょう。

テキサス州ヒューストンの黒人居住区カシミア地区。そこにあったカシミア高校の音楽教師、コンラッド・ジョンソン先生は、1967年にオーティス・レディングのステージを観てこう思ったそうな。「ウチの学校のビッグバンドもジャズばっかりちごて、こういう若い子らが聴くようなソウル・ミュージック演ったらええんちゃうの」と。何で関西弁なのかは不明だけど、そう、この頃にはジャズはちょっと時代遅れの音楽になりつつあって、若者達はソウルとかファンクとかに夢中になってたんです。そこでジョンソン先生はジェームズ・ブラウンの「Super Bad」とかスライ・ストーンの「Thank You」みたいな当時のヒット曲を片っ端からビッグバンド用にアレンジして学生らに演奏させた。ついでに「Take Five」みたいなジャズ曲までファンク・アレンジにしてしまうという暴挙っぷり。果てには「全国の学生にも聴かせたい」つうことでレコードまで出してしまった(なんと通算8作も!)。

まあ当時はどの地域にもレコーディング・スタジオやレコード・プレス工場が存在していて、学生ビッグバンドがレコードを出す、というのは決して珍しいことでは無かったみたいだけど今じゃあ考えられないですよね。で、そういうレコードは当然ながらプレス枚数も少なくって、希少なモノになってくるんだけど、特にカシミア・ステージ・バンドのそれがレコード・コレクターのあいだで異常に高騰している(10万円くらいする!)のは何といっても高校生らしからぬ高度な演奏力と純粋無垢な青春がぶつかってくるような無反省なパンチ力、そしてジョンソン先生の卓越したアレンジ/プロデュース力に因するのです。

もはや5拍子ではない8ビート解体ファンク再構築化された「Take Five」とかバラエティーに富んだホーン・アンサンブルが満喫できる高速ファンク「Thunder Soul」、トロンボーン・ソリのバックでドラム・ブレイクが炸裂する「Do You Dig It, Man?」など、全編「どひゃー」とうめきながら聴くしかない悪鬼のごときグルーヴは、今や10万円出さなくてもベスト盤CDで聴けるようになりました。めでたし。この話、次回も続きます。

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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