『Yes We Can』 Lee Dorsey

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年9月26日

Funky Funky New Orleans!: リー・ドーシー編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Yes We Can』 Lee Dorsey

『イエス・ウィー・キャン』リー・ドーシー

Polydor (1970)

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コラム書くためにリー・ドーシーの曲をYouTubeでいくつか聴いてたんですけど、コメントのひとつに“リー・ドーシー様、ジャスティン・ビーバーのクソ野郎に音楽とは何かを教えてやってください”って書いてあって、ジャスティン君が神妙な面持ちでリー・ドーシー聴いてるのを想像して微笑んでしまいました。それでジャスティン君が“イエス・ウィー・キャン”って言うのかどうかは知りませんけど、まあドーシーさんほど人懐っこく、敷居を低くして、天然ともいえる所作で、音楽を聴く歓びの本質みたいなもんを伝えられた人はそういないのではと思います。というわけでアラン・トゥーサン・プロデュース+ミーターズがバックを付けるシリーズの続き。なんだか超有名盤紹介コーナーみたいになってきて恥ずかしい今日この頃です。

リー・ドーシーは1924年生まれだからトゥーサンより14歳も年上。でもツーさん(略しました)はこの先輩のヴォーカルが大好きで、潜在的なポテンシャルもよく理解してたんでしょうね。1960年代、自動車修理業の片手間に歌っていたドーシーに声をかけては幾度となく自分の曲を録音させます。ちなみに自動車修理業の前はライト級のプロボクサーで、キッド・チョコレートというリングネームでした。カッコイイ〜。ドーシー=ツーさんのコンビで作りあげた『The New Lee Dorsey』『Ride Your Pony』(いずれもAmy, 66年)あたりのアルバムも名曲満載、シンプルでソリッドなニューオーリンズR&Bの醍醐味たっぷり、ドーシーのハートウォーミングなヴォーカルの魅力むき出し、な感じで素晴らしいんですけど、ファンキィ度、成熟度でいえば70年発表のこのアルバムかな。

タイトル曲の「Yes We Can」はのちにポインターシスターズがヒットさせたナンバー。愛嬌があるのにどこか勇気づけられるようなドーシーの歌声は疲れた身体に沁みわたるようだけど、いっけんスカスカでシンプルなのに強力にグルーヴするというバンドも聴きどころ。例えば幾重にも重なった楽器の層と細分化されたリズムで小節を埋め尽くすようなジェームズ・ブラウンのファンクと比べるとずいぶんスッキリした音ですけど、実は緻密にアレンジされていて無駄が無く、キリリと締まっているファンク・サウンド。ホーン・セクションだってよくあるリフ吹いてるだけのバンドよりもずっと有機的な働きしてるのが分かります。ツーさんのアレンジャーとしての才能にも土下座だな。他にもヴァン・ダイク・パークスとかがカヴァーしてるものすごくニューオーリンズ的な曲「Occapella」、テナー・サックス・ソロがカッコいい高速ファンク「Gator Tail」など、いろんな人にカヴァーされまくっているツーさん名曲テンコ盛り状態。「Who’s Gonna Help Brother Get Further」はちょうど発売になったばかりのツーさんの4年ぶりの新作『Songbook』(自作ソングブック的なライヴ・アルバム)でも再演されてるみたいですよ。

アラン・トゥーサン『Songbook』をAmasonで購入する

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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