『Life Love And Faith』 Allen Toussaint

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年9月12日

Funky Funky New Orleans!:アラン・トゥーサン編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Life Love And Faith』 Allen Toussaint

『ライフ・ラヴ・アンド・フェイス』アラン・トゥーサン

Reprise (1971)

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例えば「王将」みたいなところに行くと食べたいものが多すぎて注文するまでエラい時間がかかるうえに、注文したあとも「あ〜、やっぱあっちにしとくべきだったかも」とかウジウジ考える情けない奴いますよね。それ僕です。「富士そば」の券売機の前で悩み過ぎて次の人に順番譲ったりします。今日の選盤も3日くらい迷いに迷ってコレになりました。

ひとつ前のアルバム『Toussaint』(Scepter, 70年)だと先週のアール・タービントンとかドクター・ジョンも参加してるし、エスター・フィリップスがカヴァーした大好きな「From A Whisper To A Scream」とかルー・ドナルドソンがカヴァーした「Everything I Do Gonna’ Be Funky」が入ってるからバッチリなんだけど半分インストだしホーンの録音が弱いんだよなぁ、という案と、これのひとつあとの『Southern Nights』(Reprise, 75年)こそトゥーサンの最高傑作と言われているアルバムでタイトル曲はグレン・キャンベルが取り上げてヒットした名曲だし、これと同じくミーターズがバックバンドでバッチリなんだけどいまさら書くのが恥ずかしいレベルの大名盤だしロック〜SSW的な雰囲気も強くてファンク度がそんなに高くないんだよなぁ、という案があって、結局間を取ってこちらに落ち着いた次第。そんな選考過程はどうでもいいんですけど、まあニューオーリンズR&Bの大黒柱的巨匠のこの3枚のアルバム押さえておけばニューオーリンズの半分くらいは手に入れたようなもんだよ、というのが言いたかったわけです。大物のアルバムになると色々気ィ遣うよね。

50年代、まだティーンの頃にピアニストとしてのプロ活動を始めたアラン・トゥーサンは、60年代に入ってレコード制作の仕事を始めると、作曲、アレンジ、プロデュース、スタジオ・ミュージシャンとして精力的に活動。アーマ・トーマス、アーロン・ネヴィル、リー・ドーシー、ミーターズらの名作を世に送りだします。この人は裏方仕事をしてる方が性に合ってたみたい。(ブーイングを承知で言うと)小室哲哉みたいですね。70年代に入ってようやく自分のリーダー作を作りはじめての2作目が今日の一枚。ニューオーリンズの歴史を背負った颯爽たるピアノとジェントルなヴォーカル、それを支えるレイドバックした重いビートと肉厚でタイトなホーン・セクションが最高なファンキィR&B。天才的な楽曲の良さ、これ以上ないアレンジの適切さ、渇いていてスキマだらけなのに粘着しているという絶妙なリズム隊のグルーヴ、などなど聴きどころが多いNOファンク名盤ですけど、ホーン奏者的にはサックスのゲイリー・ブラウンにも注目。ピーター・バラカンさんいわく“もしトゥーサン制作のソロ・アルバムが出ていたら、デヴィッド・サンボーンにも負けないものがあったと思う”と書かれている彼のよく歌うソロは例えば「Goin’ Down」とかで目立ってます。昨年10月のトゥーサン来日公演でも久々に帯同、艶のあるプレイを披露してましたね。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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