『The Wild Magnolias with The New Orleans Project』 The Wild Magnorias

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年8月22日

Funky Funky New Orleans!: ワイルド・マグノリアス編

今回の”裏”Recommend Disc

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『The Wild Magnolias with The New Orleans Project』 The Wild Magnorias

『ワイルド・マグノリアス・ファースト』ワイルド・マグノリアス

Barclay/Polydor (1974)

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ニューオーリンズまで足をのばしたついでにちょっくら歴史探訪でもしよかいな。現代ものばっかやってるとフワフワするもんで、逆に歴史深い音を浴びて足場を踏み固めたくなるさかいに。という衝動で今週から新企画“Funky Funky New Orleans!”というのを考えてみました。地域シリーズ第3弾かな。タイトルはかつてリリースされていたニューオーリンズ・ファンクの名作コンピから拝借しております。いっぱつ目はニューオーリンズ(NO)の浅からぬ歴史とか混合文化を体現するようなこのユニットから。

NOの有名なカーニヴァルであるマルディグラのことは誰でも聞いたことあると思うんだけど、このお祭りのときに孔雀みたいなでっかい羽飾りの付いたアメリカン・インディアンの衣装をまとってパレードするド派手な人たち(主にアフロ・アメリカン)がマルディグラ・インディアン。ヴォーカル=コーラスのコール&レスポンスとパーカッションによる土着的な彼らの音楽はNOミュージック全般に影響を与えていると言われています。もともとは差別から逃れた黒人奴隷とネイティヴ・アメリカンが集団化・共生することで生まれたブラック・セミノールがこの文化というか種族のルーツなんだけど、ワイルド・マグノリアスはいくつか存在するマルディグラ・インディアンのトライブ(部族)のうちのひとつ。このアルバムはそのマルディグラ・インディアンの伝統音楽をモダン・ファンク〜R&Bの俎上でカッコよく仕立ててみたらどないやねん、というバンド・プロジェクトの第1弾。レア・グルーヴ〜ファンク史に燦然と輝くガンボ・シチュー的濃厚名盤であります。

大地深くどっしり根を生やした巨木。冒頭の「Handa Wanda」から感じるグルーヴの太さ揺るぎなさを表現するとそんな感じ。トライブの酋長であるボー・ドリスの野性的なリード・ヴォーカルとそれに応えるコーラス野郎軍団の合いの手がえんえん繰り返され、繰り返されるたびに熱を帯びて麻薬的に陶酔させられ、しかもバックをつけるバンドが最高にタイトでファンキィなもんだからもう髪も腰も振り乱してノリまくるしかないという無間のファンク地獄。そのバンド、“ニューオーリンズ・プロジェクト”を率いるはNOが誇るグルーヴ・マスター、ウィリー・ティー(key)。ギターのスヌークス・イーグリンもNOを代表するテクニシャン。同様のタタミかけるファンク波しぶきにさらされる「Soul, Soul, Soul」はブレイクビーツ・クラシックとしても有名な名曲です。“聖者が街にやってくる”をファンク化した「Saints」などで大活躍するサックスはウィリーの兄アール・タービントン。訛りの強い粘着系フレーズはイイ味出しててこのサウンドにぴったりす。バラードとかカヴァーとか何ですかそれ?というひたすらグルーヴ・オンリーでNO果汁100%な一枚。NO民謡としてあまりに有名な「Iko Iko」を含む5曲を追加したCD版がオススメ。清く正しいファンク生活に必須です。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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