『Tombstone』 The Hot 8 Brass Band

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年8月15日

現代ファンク最前線:Hot 8 Brass Band編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Tombstone』 The Hot 8 Brass Band

『トゥームストーン』ホット8ブラス・バンド

Tru Thoughts (2013)

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“トゥームストーン”と聞くと反射的に“パイルドライバー!”と答えてしまうのはたぶんプロレスの観すぎとこの暑さのせいだと思うんですが、さて現代ファンク最前線は中南米からアメリカ、ニューオーリンズへ参ります。こんな酷暑のさなかに暑苦しい土地の名前出しやがってと考えたひと、音の方はもっとHOTなのでどうぞガリガリ君梨味でもかじりながら読んでくださいね。ちなみに“トゥームストーン”って墓石って意味なんで、あのワザは“墓石式くい打ち機”ってことですよ。

しかしニューオーリンズはどの時代もファンク・バンドの量産体制がハンパ無いなって感じがします。逆にいえばニューオーリンズ的なファンクを欲するリスナー層ってのがミーターズの時代から世界中に脈々と浸透し続けているってことでしょうか。最近なら豪腕ドラマー、スタントン・ムーア擁するファンク・ジャム・バンド、ギャラクティックはすっかり日本でもお馴染みの大箱系バンドになっちゃったし、ネヴィル・ブラザーズの息子たちという由緒正しいファンク・バンド、ダンプスタファンクもパワフルでアゲアゲなヘヴィー級ファンクで去年のFUJI ROCKを湧かせていました。ダンプスタはつい最近新作も出ましたね。新作と言えばまもなくVerveから3枚目のアルバムが出るトロンボーン・ショーティもいた。歌ってアゲれてヒップホップもロックもお茶の子でメジャーレーベル所属、というトロンボーン業界の常識を覆す若きエンターテイナーもニューオーリンズ出身。谷啓さん以来の逸材ですね。どのバンドも土地の文化と伝統がしっかり音楽に流れてるのがニューオーリンズらしさって気がします。

でもなんといってもニューオーリンズの顔といえばセカンド・ライン〜ブラス・バンドでしょう。重鎮ダーティ・ダズンも元気だけど、最近いちばん人気なのが今日の一枚のホット8ブラス・バンド。先週のクアンティックも在籍する英トゥルー・ソウツ・レーベルから世界デビューした8人組で、今年のFUJI ROCKでのパフォーマンスが圧巻だったって話は東京で泣きながら仕事してたオレの耳にも聞こえてきました。管体が破裂するのはないかと思われるほどのすさまじい出音を間近で体験して震え上がった人も多かったとか。95年に結成、セカンドライン・パレードやジャズ・フューネラルといった伝統行事に積極的に参加しつつ、ヒップホップやR&Bを取り入れた新しいブラス・バンド・サウンドを聴かせる彼ら。2005年のハリケーン・カトリーナで活動や生活に大打撃を受けながらも地域の復興のために声を上げ続ける彼ら。これまでに4人のバンド・メンバーを亡くし、うち2人は路上の暴力行為で亡くなるという悲劇を乗り越えてきた彼ら。正統派ブラス・ファンク「Wolf Burger」、ヒップホップなパーティ・チューン「Homies」など、そんな彼らのファンキィでナスティでイマドキなセカンドライン・ファンクが詰まった2013年最新作が発売中です。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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