『Step It Up』 The Bamboos

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年8月1日

現代ファンク最前線:The Bamboos編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Step It Up』 The Bamboos

『ステップ・イット・アップ』ザ・バンブース

Tru Thoughts (2006)

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さてドイツの次はオーストラリア。先週のコラムでも(わざとらしく)チラッと触れたこのバンドに行きましょう。ファンク・バンド、オーストラリア代表と言えばのザ・バンブース。すでに5枚のオリジナル・アルバムを発表、世界的に有名なオーストラリアのバンドとしてもAC/DCとかに次ぐポジションを確立した豪州の国民的バンド。所属レーベルが英国のクラブ・ミュージック名門Tru Thoughts(トゥルー・ソウツ)だってことも重要スね。Tru Thoughtsが出すんならチェックしなきゃ、って思わせるのがレーベルのブランド力ってもんです。

ギタリストのランス・ファーガソンを中心に2001年にメルボルンで結成。最初は7インチ・シングルだけのリリースだったんだけど、その頃に出した「Tighten Up」のド直球カヴァーが強烈でした。このご時世にこのベタベタなクラシックを、恥ずかしげも無くこんな青春真っ盛りなノリで、しかし押さえるべきツボはちゃんと押さえつつカヴァーして、ここまでカッコ良く仕上げてきやがった、ってことでシテやられた感たっぷりで嗚咽しながら聴いたもんです。ドロッとしたブラック・ミュージックの体臭を感じさせない、飛翔するみたいなフルート・ソロは鮮やかだったし、続くドラム・ブレイクでは血が滾らさせる感じ。小奇麗かつ刺激的。アカ抜けてるなぁ、っていうのはありきたりな表現だけど、体験したことの無いアカ抜け加減だったんで、もはやこれはアカ抜けを超越したズルムケだねこういうのが新世代のファンクの音なんだね、って納得したのを覚えています。

そのズルムケたファンク感覚は2006年のこのデビュー・アルバムでもいかんなく発揮されています。英国の歌姫アリス・ラッセルをフィーチャーした「Set It Up」は新世代のファンク・クラシックにふさわしい風格のアルバム・オープナー。低音安定したホーン・セクションも溌剌とした感じ。どんなアーティストの影響を受けたの?というインタヴューに、“最初はザ・ミーターズとジェームズ・ブラウン。その後セルジュ・ゲンスブールとかラロ・シフリン、サイケとかモッズみたいなロック&ソウルからも影響を受けたよ”と語るのはリーダーのファーガソン。確かに「Another Day In The Life Of Mr. Jones」とか「Tobago Strut」みたいなシンプルなファンクには‘60sモッズ的なインスタントな疾走感があってそれが小気味イイ。ホーンでカヴァーするのに最適な「Golden Rough」みたいなリフ・ナンバーも入ってます。でもやっぱアルバムのいちばん人気は「Tighten Up」かな。

このデビュー盤のヒットのあとの4枚のアルバムでは一作ごとに進化や変化、試みを見せてきたザ・バンブース。彼らにも“ファンクからその先へ”、って意欲がありありと見えて、それをセンスよく消化してる感じがしますね。

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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