『Practice What You Preach』 The Poets Of Rhythm

塚本謙のFunk裏Recommend Disc by 塚本謙 2013年7月25日

現代ファンク最前線:The Poets Of Rhythm編

今回の”裏”Recommend Disc

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『Practice What You Preach』 The Poets Of Rhythm

『プラクティス・ワット・ユー・プリーチ』ポエッツ・オブ・リズム

Soulciety/Daptone (1993)

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たとえば現代ファンクでどのバンドがいちばんカッコいいか、ていう議論を仲間ウチでしてるとするじゃないですか。やっぱDaptone関係のバンドだよね、とかオレはニュー・マスターサウンズの方が好き、とかオーストラリアのバンブーズもヤバいっしょ、いう話になって、でもやっぱ元祖で最強っつったらポエッツしかないよね、ちげぇねえ、大事なの忘れてた、うんうん、一同納得。となりがちなのが今日のバンド、ポエッツ・オブ・リズムです。今日はあるあるネタから入ってみましたけどマジメな話、現行ファンク物大好きだけどこのバンドは知りませんでした、という方は、なんでもっと早く教えねぇんだバカ野郎、と怒りながら受話器を叩きつけると思われます。

元祖って言いましたけど、なにせこのデビュー盤が発売されたのが1993年。アシッド・ジャズやレア・グルーヴは最盛期だったけど、まだ今のような生音ファンク・シーンは何もなかった時代。おまけにアメリカじゃなくて、ドイツのミュンヘンが発信元だったから面白い。JBズやミーターズなどの影響のもとファンク・バンドを始めたドイツの若者たちのサウンドがいかに斬新だったか。それは、2006年にDaptoneがリスペクトを込めてこのアルバムを再発していることからも伺えます。今聴いても最近の現行ファンク物となんら遜色ない、っつうかアイディア面でも演奏面でもたいがい上回っていると思われるサウンドが詰まった早すぎた名盤。あと10年あとに発売されてたら日本でも世界でももうちょっとドカンと売れてたかもしれない。

新世代のファンク・クラシックスの風格漂う「Funky Runthrough Pt. 1 & 2」はピンと張った弓のような弾力を感じるホーン・セクションとタイトなリズム・セクションが完ぺきだし、モロにミーターズ風のナスティ・ファンク「North Carolina」ではキレのいいドラム・ブレイクも炸裂。パンチのきいた「Practice What You Preach」はJBマナーのお手本みたいなファンクだし、「More Mess On My Thing」はクール&ザ・ギャング的なインスト・ホーン・ファンク。カヴァーするにもモッテコイの曲揃いですよ。

ポエッツ・オブ・リズムはこののち2001年にセカンド『Discern / Define』を発表。アメリカはDJシャドウ擁するQuannum Projects、ヨーロッパではNinja Tuneという名門からリリースされるもポエッツとしての活動は休止。現在はバンドの中心人物であったホワイトフィールド兄弟によるザ・ホワイトフィールド・ブラザーズとして活動継続中で、ポエッツのようなストレートなファンク表現は減ったものの、ヴィンテージ・ファンク&ソウルに非凡なオリジナリティをプラス・アルファすることによって、いかに時代にフィットした現在進行形の音楽として再提示するか、みたいな分野における道なき道をざくざくと前進してる感じ。そのサウンドはやっぱり早すぎた、とか10年後に言われがちなのです。

 

 

塚本謙

CDリイシュー企画「Return Of Jazz Funk」主宰。モダン・ジャズ〜ジャズ・ファンク〜レア・グルーヴまでこよなく愛するレコード・コレクター。学生時代はベイシー・マナーのフルバンでサックス担当。



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