アレンジのお話 7

書き屋石川芳の徒然鳴るままに by 編集部 2011年12月27日

☆ サイズ出しは難し~い ☆

『ピアノスタイル2012年2月号』に収録される曲の中に、原曲は4楽章で構成されていて、各々が10分をゆうに超える大作の中からの編曲……というものがあります。さて、何でしょう?

それは、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」です。
編集部からのオーダーは、まずメールで「全楽章から、知っているメロディが含まれていて美味しいとこ取り、演奏時間はあまり長くなく」……無謀かつ大胆なオーダーがやって来ます。
それを確認して茫然としているところを観察しているかのような (笑)、 絶妙なタイミングで電話がかかってきて、選曲の理由や、もっと具体的な希望や、その曲の担当の方が描いているアレンジ内容など、聞かせてもらいます。

フィギュアスケートの試技で使われる曲は、毎シーズン、大人気ですね。
「シェヘラザード」も、多くのスケーターの皆さんが取りあける名曲。
ストーリー性が高くて、演出上の見せ場も作りやすいことがあるかもしれませんが、”オーケストレーションの魔術師”と称されるリムスキー=コルサコフの音楽は、物語の情景、色や香りまでも表現されているようで、私もとりわけ好きな曲のひとつです。

さて、実際に編曲作業に入ると、以前にもこのコラムで書きましたが、オーケストラスコアを眺めながら、CDを聴き込みます。
今回は、全体からではなく、ロマンチックな雰囲気で始終する第3楽章に絞り込みました。
4、5分程度の長さにアレンジするために、楽曲分析をしながら、解説書の類いも必ず読みます。
「知っているメロディー」だけを繋ぐだけではなく、音楽的に間違いのない、しっかりした構成で組み立てられているか?を考えるためです。

この部分を取り入れると、次に繋がる調性はこっちになるから、Mumm、もうひとしきり語らないと収まりがつかない(長くなりすぎる)な~とか、オーケストラの様々な楽器の絡みが特徴的な部分を、ピアノで演奏しても、ちゃんと同じように立体的な響きも得られて綺麗かしら? などなど。

そして、大体の骨組みができあがったところで、オーケストラスコアを見ながらピアノを弾いて、弾きまくって、アタマの中でしっかりまとまったら、一気に書くんですね。
5線紙に向かうと、もうほとんどピアノを弾くことはありません。
手元には、辞書を引くような感覚で、オーケストラスコアを置いています。

伊賀ちゃん(いつもそう呼んでいます)が、とても怪しくも美しく、素敵なピアノ音楽として仕上げてくれましたよ。
皆さんの演奏も、ぜひ、聴かせていただきたいなぁ。

このアレンジ原稿を編集部に提出したあとで、浅田真央さんのSPの演技をテレビで観ました。
うわっ、なんて楽しい編曲 !!  そして優雅なスケーティング !!
とても感動したのでありました。

真央さんのお母様の御冥福をお祈りするとともに、真央さんの今後の活躍にエールを贈り続けたいと思います。

 

石川芳

幼少よりピアノ、エレクトーンを学ぶ。ネム音楽院(現ヤマハ音楽院)卒業後、ヤマハの海外デモンストレーターとして、世界各国で演奏活動および現地スタッフの指導にあたる。"ディズニー・クラシカルコンサート"でアレンジャーとしてデビュー。曲集の編曲や音楽専門誌の執筆など、幅広いジャンルで活躍している。ピアノスタイルでは、創刊号から編曲を手がける。



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