アレンジのお話 6

書き屋石川芳の徒然鳴るままに by 編集部 2011年10月21日

☆ 季節を感じる音楽  ☆

『ピアノスタイル2011年12月号』に収録される曲の録音を無事終え、早くも1週間が経ちました。
“クリスマスとくれば!”といえるJ-POPの名曲や、想い出を重ね合わせながら”懐かしい “と感じていただける曲もありますので、楽しみにしていてくださいね。

毎年、私たち”書き屋”のクリスマスは、暑い夏の盛りに始まります。
『ピアノスタイル』のような、その季節の旬や流行をバッチリ押さえなければならない雑誌などの場合は、まさに今、この時期が制作真っ盛り!ということになりますが、大きなイベントや、音楽CD、すべての曲が新書きで構成される楽譜集などは、準備にかける期間がたっぷり必要なため、夏には立ち上がっていなければ、その年のクリスマスに間に合わない……というわけで、例年ならばクーラーをガンガンに効かせて、机の隅っこに小さなクリスマスツリーも飾ってみたりして、5線紙に向かっていたのですが、今年の夏は特別な思いを抱え、納戸に押し込んであった扇風機を引っ張り出して酷暑の中、アレンジ作業に励みました。
“平穏な日々を繰り返すことができる”という小さな幸せを噛み締めながら紡ぎあげた音楽たちが、どうか皆さんのもとへ届きますように。

さて! ここで、ちょっと面白い話題をひとつ。
日本の童謡、唱歌には、四季折々の景色や物語を綴った作品がたくさんありますが、大正8年に発表された「浜千鳥」は、いつの季節の歌でしょう?

浜辺や海を連想させる内容なので、ラジオの音楽番組やBGMなどで夏に流れることもあったりするのですが、千鳥は冬の季語、正解は冬なんです。

それでは次の問題。
「お正月」はどうでしょうか。

♪もういくつねるとお正月〜 ♪はやく来い来い、お正月〜
まだ年が明ける前の、きっと12月暮れも押し迫った頃に、子供たちが新年を待ち遠しくてたまらない気持ちを歌っている様子が描かれています。

♪年の始めの 例(ためし)とて……で始まる「一月一日(いちじつ)」は、出雲神社の宮司や東京府知事を歴任した千家尊福が作詞をしている歌で、言葉の持つ響きからも、新しい年の始まりを言祝ぎ、身の引き締まるような気分になりますね。

‥というわけで、「お正月」は冬の歌「一月一日」は春の歌に分類できる……という説を唱える方もいらっしゃいます。
身体に感じる気温やカレンダーで考える1月1日は極寒、冬真っ盛りという印象ですが、”初春 (はつはる)”という日本古来の文化的な匂いや響きも、素敵ですよね。

歌の成り立ちを調べていくと、興味深い話題に出会って、ますますいろいろな事柄を知りたくなってきますよね〜。
日本の歌謡史、童謡・唱歌の世界で “生き字引” とも称される長田暁二先生の著書『四季の歌暦 366』は、1年366日分のその日にちなんだ歌に関するあれこれが書いてあって実に楽しい本なので、ぜひお薦めしたい1冊です。
“あなたのお誕生日に生まれた歌よ” と、その曲をアレンジしてピアノ演奏をプレゼント♡なんて、とってもお洒落だと思いませんか?

では、また。

 

石川芳

幼少よりピアノ、エレクトーンを学ぶ。ネム音楽院(現ヤマハ音楽院)卒業後、ヤマハの海外デモンストレーターとして、世界各国で演奏活動および現地スタッフの指導にあたる。"ディズニー・クラシカルコンサート"でアレンジャーとしてデビュー。曲集の編曲や音楽専門誌の執筆など、幅広いジャンルで活躍している。ピアノスタイルでは、創刊号から編曲を手がける。



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