アレンジのお話 2

書き屋石川芳の徒然鳴るままに by 石川芳 2011年6月3日

☆愛すべき分身たち(1人目)☆ 

6月号の特集”K-POPの音楽グループ最前線”を読みながら、実はちゃんと音楽を聴いたことのないグループの紹介もあって、ドキッ!!
乗り遅れずにいろいろ勉強しなくちゃイケマセンね~、と思っていた矢先、8月号に収録するために、超勢いのあるガールズグループの編曲依頼がきました。その曲についてのお話はまた次の機会に……ということで、今回は6月号に掲載された「ジェットコースターラブ」のアレンジと、その周辺のあれこれについて綴ってみますね。

まずは、いつものように、届いた音源資料を聴きながらピアノで追いかけてみます。
リクエストは”難易度A”。
私なりの難易度ゲージに沿って、
(1)調号を見ただけで退き腰になってしまうようなキーではないか?
(2)繰り返し記号を使って、頃合のよいサイズに収めることができるか?
(3)ピアノでこのビート感を再現できるか?
ということを考えながら、聴き込んで、弾き込んでいくうちに、ポイントは(3)の項目に絞られていきました。

実は、”難易度A”はアレンジャー泣かせなんです。
“悩み度”なら”ウルトラC”と言いたいところ(笑)。

すでに練習して楽しんでくださっている方も多いと思いますが、特に左手に細かく指示されたアーティキュレーションをヒントにすると、自然に”らしさ”が出てくるようになっているのが今回のアレンジの特徴です。

ピアニストの香澄さん (大神香澄さんのこと。普段そう呼んでいます) は、切れのあるリズムと明るい音色を作ることがとても上手なので、模範演奏のCDを聴いていると”さらりと弾けちゃう楽譜なのかも”と思ってしまいそうですが、実は、アレンジャー厳馬朗(げんま・あきら)君は、かなりのいたずらっ子。
両手のアーティキュレーションがずれずれになっていたり、左手はレガート気味なのに右手では”♪もっと~”っていう歌詞のニュアンスで弾くようになっているなど、”脳トレ”になりそうな仕掛けを作るのが大好きなのです。

ヘヘヘッ、実は厳馬君、私の分身(ペンネーム)のひとりなのです。音源資料を聴きながら、”演奏をお願いしたいピアニストの顔が浮かぶ”、ということはすでにお話ししたと思いますが、私の中では、”アレンジャーを誰にする?”ということも同時に考えているのです。厳馬君の得意ワザは、リズムが前面に出ていて、”それこそがアレンジのキモになるぞ!”と思えるような曲。
見かけ(!?)によらずロマンチストでもありますゆえ、”ラブラブ・バラードも時には書きたい……”と申しております(笑)。

っという訳で、「ジェットコースターラブ」でも、私のアタマの中にある”厳馬朗”の音楽的語法のネタを詰め込んである引き出しや箱を開いて、ドラムのフィルにいたるまでドレミに置き換えたりしながら、厳馬君になりきってピアノを弾きまくることから始めました。

そうそう、アレンジ内容も固まって、”これでいく!”と決めて五線紙に音符を書き始めると、私はもうピアノを弾くことはほとんどなく、静かに真剣に机に向かっているんですよ。
なので、書きながら徐々に”石川芳”に戻っていきます(笑)。

“♪ピアノを弾いて元気になろう!”をテーマに掲げた6月号では、”がんばろう”に由来する名を持つ厳馬君が大活躍でした。

 

石川芳

幼少よりピアノ、エレクトーンを学ぶ。ネム音楽院(現ヤマハ音楽院)卒業後、ヤマハの海外デモンストレーターとして、世界各国で演奏活動および現地スタッフの指導にあたる。"ディズニー・クラシカルコンサート"でアレンジャーとしてデビュー。曲集の編曲や音楽専門誌の執筆など、幅広いジャンルで活躍している。ピアノスタイルでは、創刊号から編曲を手がける。



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