膨大なパラメーターを自由にルーティング可能 シンセの新たな可能性を示すモンスター・マシン

JOHN BOWEN Solaris

キーボード・バイヤーズ・ガイド2014 by キーボード・マガジン編集部/撮影:星野俊 2013年12月10日

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Solarisは、数々のアナログ・シンセサイザーの開発にかかわってきた技術者ジョン・ボー
エンによるアナログ・モデリング・シンセ。オシレーターはモーグMinimoogやシーケンシャル・サーキッツProphet-5などの波系を4系統重ねることができ、多数のビンテージ・フィルターを自由にルーティング可能。設定できるパラメーターは1,200種以上と、まさにモンスター・マシンと言うべき1台だ。

浅倉 CDを贅沢に配置したパネル・レイアウトが印象的で、音を聴くのがずっと楽しみだったんですが、実際に出音を聴いて驚きましたね。オシレーターにはジョン・ボーエンが今まで手がけてきたウェーブテーブルや、流行のビンテージ・モデリング音色、それから7種類のノコギリ波を重ねたSawStackがあって、さらにインポートした波形のプレイバックもできるという、世の中に存在したほとんどの発音方式を網羅しているところが最大の魅力。そういった波系を、ローター・プロセッサーという機能を使ってクロスフェードで滑らかに切り替えることができるんです。これで作ることができる音色バリエーションはとにかく無限大ですね。また、パラメーターも膨大な数があるのですが、それらがディスプレイにほとんど呼び出せるので、迷子になることがありません。極め付けはとにかく出音が良いこと! ほかのシンセとは、格が違いますね。

複雑に音色を変化させるローター

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4系統のインプットに入力された信号を、シーケンスとしてに順番に切り替えるローター・プロセッサー。モジュレーション的な使い方のほか、高速で走らせて複雑な倍音を生み出すこともできる。

浅倉 VCOをクロスフェードでつなげられる。つまり、王道アナログ・ビンテージ・シンセやウェーブテーブル・シンセシスの波形を並べ、時間変化で滑らかに切り換えることができるんです。音作りの可能性に未来を感じました。

ビンテージ・フィルターを再現

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Minimoogタイプのラダーフィルター、Prophet-5 Rev.1と2のSSMチップなどのビンテージ・フィルターや、ボーカルフォルマント、23モードのマルチモードフィルターなど、多彩なフィルターを網羅。

浅倉 フィルターもものすごく種類が多くて贅沢ですね。しかも並列のほか、直列にも接続することができる。出音も低域から中域のふくらみが嫌みのない感じなので、ものすごく豊かなサウンドがしますね。

使いやすさを徹底追求

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Solarisがコントロール可能なパラメーターは1,200種類以上。操作の複雑さを回避するため、ツマミ1つ1つにディスプレイを連動させ、常に値を目で確認しながら音色をエディットすることができる。

浅倉 複雑なモジュレーションのルーティングも”Mod”ボタンを押せば一目瞭然。Solarisはモジュラーシンセのような音作りをも可能にした非常に考えられたユーザー・インターフェースだと思います。

Review for Solaris by 高山 博

名機のシミュレート・サウンドを
自由にルーティング可能

ジョン・ボーエンは、モーグ・システム・シンセサイザーのオペレーターからそのキャリアをスタートし、シーケンシャル・サーキッツ、コルグ、クリームウェアなどでさまざまなシンセサイザーの開発に参加した名シンセサイザー設計者だ。そんな彼が、自らの名前を冠した会社から発表したデジタル・シンセサイザーが Solaris。機能もサウンドも重量級、わくわくするようなスーパー・マシンだ。

Solarisは、4オシレーター、4フィルター、6エンベロープ、5LFO、4インサート+1グローバル・エフェクトを装備する。これらの豊富なモジュールだけでも、高級機と呼ぶにふさわしいものだが、さらに最大の特徴と言えるのが、シンセシスのキモとなるオシレーターとフィルターだ。オシレーターは、いわゆるSuperSaw(7系統のノコギリ波を重ねた波形)を含むSolarisオリジナルのマルチモード・オシレーターのほか、モーグMinimoog、シーケンシャル・サーキッツProphet-5といった2種類のビンテージ・アナログ・タイプ、さらに、ウォルドルフMicrowaveのWaveTableオシレーター、シーケンシャル・サーキッツProphet VSのベクトル・オシレーターの2種類のビンテージ・デジタルを再現したタイプに切り替えることができる。

フィルターでも、オリジナルのマルチモード・フィルターのほか、Minimoog、Prophet-5(初期型)、オーバーハイムSEMという3種類のアナログ・タイプ、さらにはコムフィルターとボーカルフォルマントフィルターが選択可能。なお、オリジナルに搭載されているローパス・フィルターもProphet-5の後期型やMicrowaveに搭載されていたカーティス・フィルターの特性になっている。

これらは自由にルーティング可能。モーグ・タイプに設定したオシレーターを3系統ミックスし、同じくモーグ・タイプのフィルターに入力するとMinimoogさながらの音作りができるし、それに残り1系統をWavetable+カーティスフィルターにしてレイヤーしてもいい。ほかにもProphet-5ライクなアナログ・サウンド+Prophet VSのベクター・サウンドなど、夢のような組み合わが実現できる。また、こういったルーティングでは、ミキサー出力を入力に戻してフィードバックさせたり、フィルターの前にエフェクトをかけることも可能。さまざまな方法で歪ませて、甘く、あるいは迫力のある音色が作成できる。

多数のツマミとディスプレイで
直感的な操作を実現

フィルターへのルーティングと並んで、シンセシスの要とも言えるのが、LFOやエンベロープなどによるモジュレーションだ。Solarisではオシレーターなどのさまざまなモジュールに、モジュレーション・スロットが用意されていて、自由にモジュレーション・ソース(LFOやエンベロープなど)をアサインすることができる。さらに、どれだけモジュレーションをかけるか、といったモジュレーションのアマウントや、モジュレーション・ソースのパラメーター(例えばLFOの速度など)にも自由にモジュレーションのアサインが可能。まるでパッチ・シンセのように、自由度の高い音作りを楽しむことができる。しかも、実際のパッチのように接点を経由することで起きる信号の劣化はなく、また当然ながらパッチングを含めての音色メモリーが可能だ。

モジュールの数が多く、複雑な音作りが可能となると、心配なのが操作性だが、このSolarisではディスプレイと連動した36ものつまみと99に及ぶスイッチで、ダイレクトなパラメーター操作を可能にしている。例えばProphet-5のツマミ数が26であることを考えると、いかに多くのツマミがあるか分かるだろう。実際の操作でも、一般的なシンセのパラメーターは初期状態で直接アクセスできるし、デジタルならではの深い階層へのアクセスも多数のスイッチで簡単に行うことができる。

Soralisのサウンドは、まさに高級機に相応しい。ビンテージの名機を踏襲しているが、必要以上にローファイであったり、歪みが多くなることは全くない。もちろん必要ならそのような音作りも可能だ。またジョン・ボーエンによるものであろうプリセットも非常に魅力的で、アナログ、ウェーブテーブル、ベクター・シンセシスの魅力がいっぱいに詰まっている。サウンドの幅や太さも十分に確保されているが、プリセットにはエフェクトを駆使したものも多いので、試奏の際はエフェクトをバイパスした音も試してほしい。このシンセの素性の良さが分かるだろう。ちなみにバイパスは、マスター・ボリューム横の専用ボタンによりワン・タッチで行える。大迫力のサウンドトラックから、ダンス・ミュージックやロック・ポップスにいたるまで、あらゆるシーンでメインになり得るシンセサイザーの登場だ。

JOHN BOWEN Solaris

JOHN BOWEN

Solaris

オープン・プライス (市場予想価格:549,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
福産起業
TEL: 03-3746-0864 http://www.fukusan.com/

【SPECIFICATIONS】
●鍵盤:61鍵ウェイテッド(イタリアFatar製 TP-8鍵盤、ダイナミックバブルコンタクト、モノフォニックアフタータッチ)●オシレーター:4系統=マルチモード(スタンダード波形、コンビネーション、ノコギリ波スタック)、ウェーブテーブル(Waldorf Micro Waveからのウェーブテーブル1から64)、サンプル再生(RAWフォーマット)、CEM VCOチップモデル(Prophet-5 Rev3.x)、Prophet-VS、Minimoogモデル●フィルター:4系統=マルチモードフィルター(23モード 4,3,2,1,ポールのローパス&ハイパス、バンドパス、バンドリジェクト/ノッチ、SSM VCFチップモデル(Prophet-5 Rev.1と2で使用されていたモデル)、Minimoogモデル(ラダータイプフィルター)、Oberheim SVFモデル(ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドリジェクト/ノッチ)、コムフィルター(2タイプ、ポジティブ&ネガティブフィードバック)ボーカルフォルマントフィルター●ミキサー:4チャンネルミキサー(任意のオーディオソースを自由にアサイン可能)●接続端子:MIDI入出力(IN/Out/Thru)、エクスプレッションペダル、サスティンペダル、USB端子、CFカードスロット×1 (CFカード×1枚付属)●980(W)×425(D)×150(H)●重量:約15kg

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