【ライブレポート】塩谷哲(2010.9.9@Bunkamura オーチャードホール)

ライブレポート by 編集部 2010年10月7日

ピアニスト、塩谷哲がプロデュースし、ギタリスト村治佳織、ボーカリスト河村隆一をゲストに行われた一夜限りのスペシャルコンサート、”幻奏夜”の模様をレポートします。

ピアニスト塩谷哲がプロデュースする一夜限りのコンサート”幻奏夜”。

これはギタリスト村治佳織とボーカリスト河村隆一を迎え、バンドには塩谷哲グループというメンバーで行われたスペシャル・ライブだ。

今回のコンサートは2009年の12月に、ほぼ同じメンバーで広島で開催されたイベントがきっかけで、その再演とも言えるもの。

そのメンバーが再集結すし、しかもなかなか観ることのできないミュージシャンのコラボレーションということで、期待感を持って会場であるBunkamuraオーチャードホールへ向かった。

入場時に曲目が来場者全員に配られ、今回のコンサートの全容を知ることができたが、どのようなサウンド、アレンジで聴かせてくれるのか、そう考えながら待っていると、1曲目「Delicious Breeze」が塩谷とベーシスト井上陽介のデュオでジャム・セッションのように始まった。

あうんの呼吸というか、曲という型にハマりながらも自由に演奏する様は絶品。

そして、2曲目は「Mr.Madonna」。
塩谷のソロピアノ作『Solo Piano = Solo Salt』の楽曲だが、田中義人(g)、田中栄二(d)、海沼正利(per)というほかのメンバーも加わり、バンド・アンサンブルで聴かせる。

塩谷は、お互いの顔を見合わせ、笑顔を見せながら”仕掛け”たり、メンバーのソロ回しではその演奏を一層引き立てる脇役に、そして自身のソロではダイナミクスにあふれた演奏で魅了する。

しかし、各ミュージシャンの素晴らしいテクニックとは裏腹に、とても楽しそうに演奏する表情がとても印象的だった。

ここで塩谷のMCが入り、今回のコンサートの趣旨などを説明。さらに最初のゲスト・ミュージシャンである村治が呼び込まれ、ソロで3曲を披露。

アコースティック・ギターの繊細さと芳醇なサウンドを見事に融合させ、たった6弦から生み出されたとは思えない素晴らしい演奏を聴かせてくれた。

そして再び塩谷が登場し、「主よ、人の望みの喜びよ」「Azami(薊)」をデュオで演奏。絶妙の間の取り方、そしてアンサンブルで、2つのアコースティック楽器が呼応する。その美しい調べに吸い込まれるように聴き入ってしまった。

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一部の最後は塩谷とバンド・メンバーによる「Evening Haze」。田中作曲のこの曲では、ギターとピアノとの掛け合いが聴きどころで、原曲にはない自由な発想で楽しませてくれた。

 第2部も塩谷とバンド・メンバーによるアンサンブルで「Skinny-Dipper」「あこがれのリオデジャネイロ」を披露。特にラテンのテイストをちりばめた「あこがれのリオデジャネイロ」では、各メンバーが圧巻のソロを聴かせてくれ、特に海沼のティンバレスとホイッスルのパフォーマンスには大きな歓声が上がっていた。塩谷ももちろん、オルケスタ・デ・ラ・ルスで磨きあげられたモントゥーノのピアノ奏やリズミカルなバッキングとバンドを熱く盛り上げる。そして次曲では一転塩谷のソロ「The Dew Of Life」をしっとりと聴かせた。静と動というべき変化を瞬時に操る演奏力は塩谷ならでは。「The Dew Of Life」が終わりそのまま、「Love is…」のイントロへつなげるピアノが奏でられる中、河村隆一が登場。マイクなしで1曲を歌い上げた。このときは塩谷のピアノもマイクはオフ。ステージから放たれた河村の唯一無二の伸びやかなボーカル、そして塩谷の繊細なピアノが会場を包みこみ、観客の心を震わせた。

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続く3曲はバンド・メンバーも加わり披露された。ギター以外がアコースティックという(塩谷のツッコミも)編成で聴く河村の歌は、LUNA SEAというロック・バンドのイメージがあったものの、全く違和感はなく、むしろ絶妙にマッチしていた。それは、河村の技術だけでなく、テクニカルに聴かせた楽曲とは違い、ボーカルを立たせるバンド・メンバーの演奏にも要因があったのだと思う。

そして、アンコールでは、河村が選曲した「見上げてごらん夜の星を」を、本日の出演者全員による演奏で披露された。もうここまで来ると、ただただ見入る、聴き入るのみで、この素晴らしいアンサンブルが終わってしまうのかと、感傷に浸ってしまった。最後に村治が「Tears In Heaven」のワンフレーズをはさみ、幕を閉じた。

塩谷のプロデュースの元、いろいろなジャンルの音楽、演奏を聴けた本公演。バラエティに富んでいた、と言えばそれまでだが、それ以上に、塩谷の関わる音楽、人、そして楽器の魅力を最大限に聴かせてくれた最高の一夜だった。

 

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曲目プログラム

【第一部】

M1 Delicious Breeze
M2 Mr.Madonna
M3 タンゴ・アン・スカイ
M4 ティアーズ・イン・ヘヴン
M5 The Way We Were(追憶)
M6 主よ、人の望みの喜びよ
M7 Azami(薊)
M8 Evening Haze

【第二部】

M1 Skinny-Dipper
M2 あこがれのリオデジャネイロ
M3 The Dew Of Life
M4 Love is…
M5 Brilliant Stars
M6 抱きしめて
M7 緑の詩

E.C. 見上げてごらん夜の星を〜Tears In Heaven

(photo by Riki Fujioka)

 

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