【ライブ・レポート】〜sumika『Chime』Release Tour〜地元・神奈川への想いが溢れた初の横浜アリーナ公演

ライブレポート by キーボード・マガジン編集部 撮影:後藤壮太郎 2019年7月9日

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2019年3月にアルバム『Chime』を発売したsumikaが、全24公演に及ぶ “sumika『Chime』Release Tour”を開催した。今回は6月9日に横浜アリーナで行われた公演の様子をレポートする。

会場に入ると、ステージ上にはログハウス型のセットが建ち、ジャズが流れ、まるでキャンプに来たようなワクワクした気持ちになる。開演時刻になると、色とりどりの照明とともに「ピカソからの宅急便(Instrumental)」が流れ始め、メンバーが登場。会場の期待感が高まったところで、「10時の方角」がスタートすると、大歓声が沸き起こる。『Chime』の1曲目でもあるこの曲は、リリース・ツアーのオープニングにふさわしく、アルバムの世界観をリアルに感じられる幕開けとなった。片岡健太(vo、g)が“飛ばしていくよー!”と煽ると、「フィクション」「1.2.3..4.5.6」「グライダースライダー」と、アップ・テンポなナンバーが立て続けに披露され、会場はますますヒート・アップ。メンバーの演奏にも熱が入り、小川貴之(k、cho)も立ち上がってローランドRD-2000を弾き鳴らす。さらに勢いは止まらず、黒田隼之介(g、cho)がステージを駆け回り、荒井智之(d、cho)が激しくリズムを刻み、小川がハモンドSK1で加勢していく「ふっかつのじゅもん」でも会場の熱気を上げ続けていった。

次のナンバー「MAGIC」では観客の手拍子も重要な1つのパートとして鳴り響き、続く「Monday」では片岡がハンド・マイクを持ってステージ横の客席間近で歌い、観客とメンバーとの距離が一気に近づいていく。

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sumikaの魅力の1つは楽曲の作り出す温かい空気感だと思うが、その一方で尖ったサウンドを奏でるクールな一面にもまた惹きつけられる。特に今回のライブで彼らの演奏のキレの良さを見せたのが「Strawberry Fields」。ジャジーなアコギの音色で始まるこの曲中には各メンバーがアドリブで演奏するソロ・パートが用意されていて、小川の軽快なピアノ、黒田のテクニカルなギター、荒井の躍動感のあるドラム、さらにサポート・メンバー井嶋啓介(b)の太くて厚いベースでの掛け合いが白熱する。演奏後には思わず片岡も“かっこいいー!!”とメンバーを賞賛していた。

sumikaは全員が神奈川県出身であり、バンド初となる横浜アリーナでのワンマン・ライブには特別な想いを持って臨んでいるということが公演中の随所から伝わってきた。それは、メンバー紹介のコーナーで語られた1人1人の言葉でも明らかだった。そして、夜の森の中のようなステージ・セットへと転換し、雪のようにきらめく照明と共にシンセ・サウンドが華やかさを引き立たせる「ホワイトマーチ」を披露し、そのまま疾走感満点の「ファンファーレ」へ。

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盛り上がり続けたところで、ここからはリラックスして聴いてほしいと一旦観客に座るように促し演奏したのは「リグレット」。片岡はアコースティック・ギターでその1音1音を大切に、心を込めて演奏する。そして、小川のピアノに乗せて「ゴーストライター」を歌い出す。柔らかなピアノの音色と優しい片岡の歌声が会場全体に響き渡り、観客は前半の盛り上がりとは対照的に、曲に込められたメッセージを受け取ろうと熱心に聴き入っていた。それに応えるように、メンバーはしっとりと「秘密」を演奏し、想いをストレートに届けていった。

「Hummingbird’s Port(Instrumental)」に乗せてステージ・セットが再び転換し、序盤で外側から見ていたログハウスの内側が明らかになる。部屋の中にはしゅうまい型のクッション、横浜DeNAベイスターズや横浜F・マリノスのユニフォームなどご当地アイテムを揃えてあり、細部まで遊び心が満載だ。そして、いよいよライブは終盤へ。「Lovers」ではステージ上を飛び跳ねるなど、全員がその楽しさを全身で表現する。小川のキーボードの周りを他のメンバーが囲んで和気あいあいと演奏する場面なども見られた。その明るい雰囲気を保ちながら「Flower」「ペルソナ・プロムナード」を演奏していく。そして、片岡が18歳の頃に作ったという「「伝言歌」」、『Chime』の最終曲「Familia」で締めくくり、ピースフルな余韻を残しつつライブ本編は終了した。

その後、鳴り止まないアンコールにメンバーが再登場。ここで演奏されたのは、この日がライブ初披露の新曲「イコール」。ドラムの心地良いビートにこれからの季節にぴったりの爽やかなピアノやギターの音色が重なる。続いて“横アリでこの曲を披露する日が来るとは”と言って演奏したのは「Amber」。ライブ当日は生憎の雨模様であったが、雲間に光が射すような照明のもと、“この曲があったから活動を続けてこられた”という「雨天決行」でライブは幕を閉じた。公演中何度も“楽しい”、“幸せ”という言葉を口にしながら笑顔で演奏するメンバーを中心に、会場全体が多幸感に包まれた一夜であった。

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