【新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー】 vol.8 イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』

新人編集者I子の鍵盤名盤レビュー by キーボード・マガジン編集部 2019年12月6日

8_solidstatesurvivor

Album Profile

1979年9月に発売されたイエロー・マジック・オーケストラのセカンド・アルバム。匿名性を持たせていた1作目『イエロー・マジック・オーケストラ』とは一転し、メンバーの姿が写ったジャケットを含め、3人の個性が打ち出された作品となった。当時は海外での発売は見送られたが、ジャケットや収録曲の変更なども協議されながら、3年後の1982年にヨーロッパとオーストラリア、さらに10年後の1992年にアメリカで発売が開始。国内では、発売後に行ったワールド・ツアーの成功も相まって評価が次第に高まり、ミリオン・セールス・アルバムとなった。

 

Disc Review

本作の発売は1979年。筆者はまだ生まれる前だったのでリアルタイムでは聴けていないが、それでもテレビのBGMで使われる「ライディーン」や、“TOKIO!”が強烈な印象を残す「テクノポリス」は幼いころから自然と耳にする機会があった。

本作はテクノを日本に普及させた代表的な1枚であるが、同時にジャンルを超越した多面性が非常に魅力的だ。「アブソリュート・エゴ・ダンス」の沖縄民謡のような邦楽的要素もあり、一方で鮎川誠がギタリストとして参加したビートルズのカバー「デイ・トリッパー」や「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」などロックの要素も大いに含まれる。

「ビハインド・ザ・マスク」はボコーダー、ローランドVP-330を使って坂本龍一が歌っているが、エリック・クラプトンのカバー・バージョンでは明らかにロックで、マイケル・ジャクソン版を聴くとこの曲がポップやR&Bの素質も持つと気付かされる。

そうかと思えば、「キャスタリア」のようにアンビエントな深く重い空気感も生み出すなど、曲ごとに緻密に作り込まれた作品であることを痛感する。それと同時に、影響を受けたアーティストとしていまだに名前が挙がり続けるYMOが音楽シーンに与えた功績の大きさを改めて実感した。

TUNECORE JAPAN